楽しみ方が違っても一緒に機嫌よく過ごすことはできるよ、という話
昨日、映画館が怖くて長年遠ざけていたという記事を書いた。
その記事の最後にも書いたが、今はトラウマを克服している。夫と一緒に映画を観に行くのは、二人の楽しみの一つだ。
もはや鑑賞前後の行動まで、お決まりの1セットになりつつある。
私と夫の定番映画デートコース
まず、夕方の上映を観に行くことが多いので、鑑賞前にどこかのレストランで昼食をいただく。
ただし、食べすぎには注意。眠くなる、という理由もあるが、もう一つ別の理由がある。
映画館へ到着すると、夫は「必ず」ポップコーンを購入するからだ。直前に食事をしていたとしても、夫は必ずポップコーンを買う。なので、食べすぎには注意しなくてはいけない。
一度「お腹いっぱいだし、買わなくて良いんじゃない?」と言ったら、それはそれは悲しそうな顔をした。
ブンブン振っていた尻尾が↓ペショーン↓となる幻覚が見えるくらいだったので、それ以来、何も言わないようにしている。
ポップコーンを買い、お手洗いも済ませたら着席する。
携帯電話の電源も切って、さあ準備万端!となったところで、おもむろに私達は互いの手をにぎる。
後ろの席の方の迷惑にならないよう、姿勢はまっすぐの状態のまま、肘置きの空間で手をにぎるのが、いつの頃からかお決まりになっていた。
夫曰く「手を握っておくと、映画を見てどう思ったのか、喋らなくてもリアルタイムで分かるから面白いんだよね」とのこと。
確かにそうなのだ。なにか琴線に触れるシーンがあれば、手を少しギュっとにぎる。そうすると、相手からも同意するように握り返される。
大興奮のアクションシーンや緊迫するシーンでは、互いの握力が否応なしに増していくので、文字通り手に汗握ることになる。
別に意識的に「このタイミングでこう握ろう」などと思っているわけではない。映画にのめり込んで感情移入した結果、自然とそうなってしまうのだ。
毎回、映画の世界に没入している証拠に、夫は映画鑑賞後、ポンコツになってしまう。
魂が抜けてしまうというか、疲れ果ててしまうというか。
場合によっては、家に帰る気力もない場合があるので、エネルギーを補給するため甘いものを食べにいく。
糖分を脳に補給しつつ、映画の感想を話し合う。
ただ、この時も少し注意が必要だ。
私は「面白かったものを言語化して、なぜそれを面白いと感じたのか言葉にしたい」タイプなのだが、夫は「すぐに言語化はせず、自分の中で一度じっくりと噛み締めたい」タイプなのだ。
なので、私はあまり性急に言葉にしすぎないように気をつけて話す。夫は夫で、黙り込みすぎないように気をつけてくれているように感じる。
書きながら思ったが、私と夫は他人だから当たり前なのだが、考え方や価値観が違う。
若い頃には、このあたりの折り合いが上手くつかなかった。恋人になったから、夫婦になったから、と言って突然、互いの違いがなくなってビターッ!と全部くっつく訳がない。
たくさん喋りたい私と、黙っていたい夫がぶつかり合って、不機嫌になることもあった。
けれど、何事も経験。一緒に暮らして、たくさん場数を踏むうちに、私達は「互いが心地よく過ごすにはどの程度の塩梅が必要なのか」を掴み始めたようだ。
それは、どちらかがどちらかに対して凄く譲歩したり遠慮する、とかではなく、互いが無理なく過ごせる丁度良いポイントを見つけるのが上手くなった、というべきか。
映画の定番コースの話から随分逸れてしまった。
と言っても、後は帰宅するのみだ。私も夫も、お酒はあまり飲まないし、買い物にも興味がそれほどない。なので、映画鑑賞が終わって美味しい甘いものを食べたら、大満足して帰宅する。
・・・まぁ、もともとが私達は、似た者夫婦だったのかもしれない。