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美術館に行くと、妻は笑い夫は怯える。
私は現代アートが好きだ!
全く理解できない意味不明な作品も大好きだ!
なぜこんな作品を作ろうと思ったのか?イミフでやばたにえん、と思ったが最後、笑いが堪えられなくなる!作品を見ながらニヤニヤクスクス笑っている不謹慎な客、それが私だ!
私は旅行が好きだ!
行ったことない場所に行って、見たことないものを見て、食べたことないものを食べてみたい!
出不精で体験したことのないものに対して警戒心MAXな夫とは対照的な人間、それが私だ。
ところで、好きなものが2つ組み合わさったら、楽しいに決まってると思いませんか?
私は楽しいに違いないと思い立ち、数年前に夫と直島へ行った。
アートの島「直島」
直島は島全体がアートスポットとなっている。あちこちに大きなアート作品が設置されていたり、「直島銭湯〈I♥湯〉」という銭湯があって浴室全てがアート作品だったり(もちろん、入浴可能)
私にとって、一度は行ってみたかった夢の島、巨大なアミューズメントパークのような島だ。この島で過ごした時間は、本当に楽しかった!
天候にも恵まれ、レンタルした電動自転車で風を感じながら島中を走り回った。島に設置されたアート作品を発見しては「なんだ、これ?!」と夫と騒ぎ、笑ったり感動したりして一日を過ごす。
ロックフェスに行ったことのある人なら、分かると思う。好きなものにだけ包まれて一日を過ごす、あの多幸感が味わえる島なのだ。
一緒に行った夫も、大層楽しんでくれて旅行は大成功だった!
ただ、一箇所を覗いては。
「これ、怖い。これ、レイドボスだ」
直島のメインスポットの一つである地中美術館。
その一室に入室した途端、夫が私の腕を引っ張って退室したいと促してきたのだ。とにかくやたらと怯えており、仕方がないので二人で部屋を出た。
そこに展示されていた作品、それはウォルター・デ・マリア作「タイム/タイムレス/ノー・タイム」だ。
この作品は凄く特殊な作品で、言葉での説明が難しい。
安藤忠雄による天井からの自然光のみで鑑賞する、吹き抜けの広大な空間。そのど真ん中にデーーーーンと鎮座する、巨大でツヤツヤの黒い球体。その周りには、礼拝堂をイメージさせるような金箔貼りの木彫が多数設置されている。
その黒い球体が、夫曰く「レイドボスのようで怖い」らしい。
レイドは、英語で「強襲」「急襲」を意味する"Raid"から生まれた用語。「レイド」はオンラインゲームにおいて、多数のプレイヤーが協力し、少人数では到底倒せない強敵を攻略する事を指す。
しばらく時間をおくと、彼は再度入室できるようになって、その後は二人で作品を鑑賞することが出来た。
だが、その後も彼はずーーーっと「タイム/タイムレス/ノー・タイム」のことを「レイドボス」と評し「恐ろしいものだった」と言う。
なんなら、今でも言う。
その証拠に、先程、夫に「直島で一番、思い出に残っているものは?」と聞いたら、即答で「レイドボス」と答えた。すでに何年も経過しているのに、彼の中でレイドボスの印象は薄れていないようだ。
個人的には、そこまで空間や作品の放つエネルギーを感じ取って影響されるだなんて、感受性の強い夫だな、と感心してしまう。
作品のもつ様々なエネルギーを、彼の中のアンテナが強烈に受信した結果、退室したくなるほど怖くなったのだろう。
ある意味、ちょっと羨ましいくらいだ。
これからも、夫と一緒に色んな体験をして、走馬灯の内容を豊富にしていきたい。