音色

川辺で寝そべって昼寝をしていた…
夢うつつの中、夢なのか現実なのか異世界なのか、分からない空間にいると、川の向こうの森の方から小鹿が現れた…

目が合うと飛び跳ねながら、川を渡りこっちまでやって来る…

小鹿はわたしの側へ来て…
その光景すらも夢なのか現実なのか?意識が朦朧とする中、夢の続きを見た…

それは若い日々に型どられた感覚では分からないような…音色をしていた。
水の波紋のような響き方をするが、何にも共鳴しない、一つの世界を壊さない個性をした音楽だった。

雨の雫がしたたるようなピアノの音色や、決して規則正しくはないが、美しいトランペットのリズム

それが小鹿が見せた夢だったのか幻だったのか?

起きた時には小川も森も音色さえもなく…
ただ白い世界に小鹿と私だけいた、小鹿の頭を撫でてやると、急に駆け出して…その世界の全て連れていった…

私はその見せられた音色だけ心で見つめていた。

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