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第2017回 鳥がつく地名の読み方

①http://www.mapion.co.jp/smp/map/japan.htmlより引用の日本地図のイラスト

   日本の国には「鳥」という漢字がつく地名は少ないように思われますが、意外にもあると思います。私は関西に住んでいますので、まず思い浮かびますのが、山陰地方に存在致します「鳥」取県が一番広域な地方名で、あとは昔の呼び方で、奈良県のことを飛「鳥」地方と呼んだりしました。また三重県には伊勢で有名な「鳥」羽もあります。「鳥」を取る鳥取(とっとり)県、飛ぶ「鳥」の飛鳥(あすか)地方、「鳥」の羽の鳥羽(とば)と、関西地方やその周りには有名な「鳥」に因んだ地方名が三つもありますし、全国的には「鳥」の名が付く、地方名はまだまだ、あることは確かです。

②https://myouji.jp/%E9%B3%A5%E7%BE%BD/より引用の漢字イラストの「鳥羽」

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   「鳥羽」はよくある地名で「とば」は谷の入口(とばくち)、あるいは川の渡し場(渡場=どば)、貯木場、流木を陸揚げするところ(土場=どば)などの転とされ、また鳥羽と記す「とば」の語源説について「日本国語大辞典」は曲亭馬琴の『玄同放言』を引いて「トマリ(泊)、ミナト場、ヤトバ(野渡場)の義か」と紹介しています。三重県の鳥羽市や京都市の鳥羽(鳥羽、伏見の戦いの舞台となりました)などは広く知られています。全国にはたくさんの「鳥羽」と名のつく地方名はまだまだあります。   1.  茨城県:東茨城郡茨城町  鳥羽田(とりはた)
茨城町の南部、鉾田市との境に位置し、涸沼(ヒヌマ)に注ぐ寛政川(カンセイガワ)の支流、逆川(サカサガワ)が地内を流れています。                             ※  古くの地名は「鳥膚」(とっぱた)ともいわれた   2.  群馬県:前橋市  鳥羽町(とりばまち)
前橋市の西部、高崎市との境に位置                             3.  千葉県:香取市  鳥羽(とっぱ)
香取市のうち、旧佐原市地区の南部、下総台地北部の丘陵地に位置

③https://kokugo.jitenon.jp/word/p24692より引用の漢字イラストの「初級」

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   4.  岩手県:二戸市  似鳥は?
ヒント→読みは「ニトリ」ではありません。岩手県の北部、青森県境に位置する二戸市にあり、馬淵川の支流、安比川の流域を占めます。幕末~明治初頭頃は漆陟氈E藍・煙草などが特産でした(新撰陸奥国誌より)                                                        5.  岐阜県:揖斐郡揖斐川町  有鳥
読みは「アリトリ」ではありません。揖斐川町の南部に位置します。古くは岐阜県揖斐郡谷汲村有鳥でしたが、平成17年1月に揖斐川町と谷汲村など周辺の諸村が合併して、新しい揖斐川町が誕生したため、今は揖斐川町「谷汲有鳥」といいます。6.  岐阜県:本巣市  水鳥は?
読みは「ミズドリ」ではありません。本巣市の北部にあります。淡墨桜で有名な根尾谷の一角を占め地内には樽見鉄道樽見線の水鳥駅があります。

④https://kokugo.jitenon.jp/word/p32793より引用の漢字イラストの「中級」

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   7.  滋賀県:彦根市  鳥籠山は?
近江国(=現在の滋賀県)の歌枕です。『万葉集』巻四には「淡海路の鳥籠(チョウロウ)の山なる不知哉川(イサヤガワ)  日(ケ)のころごろは恋ひつつもあらむ」同じく巻十一には「犬上の鳥籠の山にある不知也川  不知(イサ)とを聞こせわが名告らすな」の歌が載り、鳥籠山は不知哉川(不知也川)と併せて詠まれました。不知哉川は滋賀県彦根市(=かつての近江国犬上郡が中心)を貫流する芹川にあたるとされ、また芹川の北方を流れる小河川とする説もありますが、鳥籠山は芹川が流れる彦根市大堀町(オボリチョウ)にある大堀山にあてる説が有力です。大堀山に鳥籠山の小字が残ることが、その根拠の一つですが、隣接する同市正法寺町にあった小丘陵(正法寺山。現在は削平され、ほとんど原形を留めていません)にも鳥籠山の小字が残り、この正法寺山を「鳥籠山」にあてる説もあります。ただし、歌枕としての「鳥籠山」の読みは「チョウロウザン」ではありません。なお『日本書紀』には、壬申の乱に際して大海人皇子軍の村国連男依らが、近江方の将秦友足を「鳥籠山」で討ったとの記述があり(天武天皇元年7月9日条)、鳥籠山は同乱の戦場ともなりました。さて読み方は?

⑤https://kokugo.jitenon.jp/word/p23972より引用の漢字イラストの「上級」  

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   8.  岐阜県:高山市  上小鳥は?
高山市街の西方、旧大野郡清見村地区の山間、飛騨高原を縫うように流れる「小鳥川」(宮川の支流)の流域に位置します。北方、小鳥川の下流にあたる飛騨市の旧吉城郡河合村地区には小鳥川を堰き止めて誕生した「下小鳥湖」があります。一帯を古くは「小鳥郷」と呼んでいました。                   9.  岩手県:一戸町  小鳥谷は?
岩手県の北部、二戸郡一戸町にあります。馬淵川と支流の平糠川の合流点を占め、地内にはIGRいわて銀河鉄道の「小鳥谷駅」があります。古くは「小治谷」と記し「コチヤ」(新撰陸奥国誌)「コヂヤ」ともいいました。                                           10.  広島県:庄原市  小鳥原は?
庄原市の北部、鳥取県境に位置します。西城川の支流、小鳥原川流域の高原地帯を占めます。かつては比婆郡西城町に属していましたが、平成17年に同町など比婆郡の五町と庄原市、甲奴郡(コウヌグン)総領町が合併して新しい庄原市が誕生。現在は庄原市「西城町小鳥原」といいます。



③ 初級の答え   4.  似鳥→にたどり                        5.  有鳥→あっとり   6.  水鳥→みどり

④  中級の答え   7.  鳥籠山→とこのやま

⑤  上級の答え   8.  上小鳥→かみおどり                      9.  小鳥谷→こずや   10.  小鳥原→ひととばら

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