第1054回 新来訪者ツリスガラ
①アフリカからの来訪者のオスのツリスガラ(体長約11㌢)
ネットで野鳥のことをチラ見している時に、最近小さな身体の野鳥でありますのに「スリガラス」って言う(間違えてそう読んでしまったのですが)可愛らしくスズメの仲間の名前を何度となく眼にしていました。実はその名前はツリスガラでした。「スリガラス」と入力しても行き当たりません。当たり前ですが間違えていたのです。ツリスガラの仲間はスズメと同じく、アフリカ大陸の出身で本種はヨーロッパ東部から中央アジア、中国北東部まで広く分布して、日本まで辿り着きました。
②http://blog.livedoor.jp/miruf4ej-jobijobi/archives/48355354.htmlより引用のツリスガラのメス
ツリスガラの漢字表記は「吊巣雀」で、別名をかつてはスインホーガラと言ったみたいです。やはり日本に上陸したので和名が付いたのかもしれません。①の写真のツリスガラのオスの頭部は灰色で顔は白く、嘴から目元を通過する黒過眼線が目立ちます。背中は赤褐色で、②の写真のメスは頭部や過眼線がやや褐色がかっています。以前は大陸からの迷鳥で情報は多くなく、1970年代から冬期に渡来する数が増え、現在では九州地方を中心とした西日本では普通の冬鳥となっています。
③過眼線がもうひとつ濃いならモズ(体長約20㌢)
ツリスガラは群れを作って生活し、水辺に近い河口、川岸、海岸のヨシ原に生息し、葦の茎の鞘をクチバシで剥ぎ、中にいる昆虫類、冬季の枯れた葦の葉鞘と茎の間の間隙にいるカイガラムシの仲間のビワコカタカイガラモドキを食べます。そのため、生息しているアシ原ではパチパチ音が聞こえることがあります。ツリスガラによく似た野鳥はどんな鳥かといいますと、③の写真のモズが上がります。モズをご覧になってお分かりいただけるように、やはりモズも過眼線があります。
④http://www.avitopia.net/bird.ja/index.php?img=452520105より引用のニシツリスガラ
また、④の写真はツリスガラの仲間のニシツリスガラです。スズメのようにアフリカ大陸を出発点として、世界各地に生息を広めたそのひとつの生息地のヨーロッパにいる種です。同じ種ですからよく似て当たり前なのですが、ツリスガラは過眼線ですが、ニシツリスガラは過眼線というより、黒い仮面を被っているように見えます。ほかに北米に棲むアメリカツリスガラとか、やはり出身地であるアフリカにその多くが生息しています。日本でもスズメの仲間のモズに過眼線があります。
⑤ツリスガラの営巣である「吊り巣」
⑤の写真はツリスガラの名前の由来となる「吊り巣」です。巣には二つの入り口があります。一つは子育て部屋につながる外から見えない閉じられた入り口。もう一つは、外から丸見えですぐ行き止まりになる大きく開いた入り口。では、なぜすぐ行き止まりになるような入り口をつくるのでしょうか。ひとつの穴を天敵から欺く何もない穴だけのもので、もう一つを子育て用に使います。これに似た巣ではなく寝ぐらですが、キツツキは今までの巣穴をもう一つ作り外敵から逃れます。