第717回 モズ(13回目)の早贄
①http://karapaia.com/archives/51516824.htmlより引用のノネズミを「早贄」するモズ
私のもうひとつの好きな野鳥にモズがいます。モズは大阪府の府鳥でもあります。愛称は大阪らしく『もずやん』です。その大阪府の堺市には『百舌鳥町』があります。また南海高野線の駅名にも『百舌鳥』、世界遺産登録された百舌鳥・古市古墳群もあります。また当然に漢字表記も「百舌」「百舌鳥」「鵙」の三つが挙げられます。大阪では「百舌鳥」でしょう。そのモズの最大の『謎』の有名な「早贄(はやにえ)」があります。
②https://blog.goo.ne.jp/jokichi-/e/dc0ebab761371931558ea88d3dbf5411より引用のカエルの「早贄」
モズの「早贄」の例が①〜⑤の写真です。①は小さな哺乳類のネズミ、②は両生類のカエル、写真にはないですが、爬虫類のトカゲ、③のスズメバチ、バッタや芋虫、蛾や蝶、甲虫の部類。④は魚介類のザリガニ、勿論小魚も、⑤は猛禽類の面目躍如のスズメです。モズは自分の身体よりも大きなヒヨドリも対象とすると言われています。その「早贄」には『貯食』説と『縄張り』説の二つがあり、いろんな鳥類学者が研究を重ねていますが、まだ決定的なことはわかっていません。
③https://matome.naver.jp/m/odai/2139761060491725501/2139761843197384703より引用のスズメバチの「早贄」
モズは「鷹になれなかった雀」とよく揶揄されます。猛禽類の中のトビは体長約47〜60㌢もある大型の部類に入るタカですが、狩はいたしません。しかしこのモズは体長約20㌢の小さな身体ですが、積極的に狩をします。決定的に猛禽類と違うのは体長もさることながら、モズには鉤爪がありません。最小の猛禽類はツミで、ハトより小さく、体長約26〜30㌢で鉤爪があります。しかし猛禽類にはなれなかったモズには狩を証明すべく「早贄」があり。私はモズの証明と思います。
④https://matome.naver.jp/m/odai/2139761060491725501/2139761843197384403より引用のザリガニの「早贄」
「早贄」には⑴ 貯畜説→冬に備え、干物として貯える。秋~冬に多く作る ⑵ 縄張り説→他のモズに、自分のなわばりを示している。見せしめ ⑶食べ残し説→後で食べるつもりが忘れた ⑷ 本能説→小動物を襲い、刺して食べるのが本能的習性 ⑸ 結納説→オスの「早贄」をメスが食べているのが観察されている ⑹ 毒消し説→カエルやイモリの粘液腺に含まれる毒を消すため ⑺ 好き嫌い説→ペリットと「早贄」で、差があることから捕まえた獲物のうち嫌いなものを「早贄」にするなどなど…
⑤YouTubeより引用のスズメの「早贄」
また⑻ 処理方法説→丸呑みできない大きな獲物を引き裂くための処理方法。獲物を素早く始末 ⑼物真似歌唱力の向上→「早贄」を多く消費したオスほど早口で歌える、この九点があります。しかし、⑴ 夏鳥のアカモズにもこの習性がある ⑵ 相手は食べてしまい効果がない ⑶ 春や夏にあまり「早贄」が残っていない ⑷ 春や夏にあまり「早贄」を作らない ⑺「早贄」の中には特別な採餌法を必要とするものもあり、たまたま嫌いなものを「早贄」にするだけとは考えにくい ⑻ 小さい獲物を「早贄」にすることもある。とかまだまだモズの「早贄」は論議されます。