第793回 雌雄モザイクって?
①https://wired.jp/2010/03/12/右と左で性が違う:「雌雄モザイク」ニワトリの/より引用の雌雄モザイクの鶏
この①〜⑤の写真を普通の写真サイトで拝見した時は、全くこれが真実だと思わずに、うまく合成してあるなという感じでした。どうですか、こんな真っ二つ左右にはっきりくっきりと模様が分かれているなんて、いまやパソコンでデジタル処理してしまう時代ですから、私にはどうしても写真を合成であるとしか思えませんでしたません。雌雄モザイク"gynandromorph"とは、生物に於いて一つの個体の中にオスの特徴とメスの特徴を持つ部分が、はっきりと分かれていることです。
②http://karapaia.com/archives/52141517.htmlより引用の雌雄モザイクのナナフシ
大多数の生物は、同じ種でも個体に性別という区別が存在します。オスとメスとで細胞の遺伝的構成は異なり、多くの場合、オスの特徴とメスの特徴は一つの個体で併存することはありません。その例外の一つが雌雄モザイクです。節足動物や鳥類で観察され、発生や組織形成時の体細胞分裂で性染色体の脱落がおき細胞レベルでの性表現が異なる組織がモザイク状になることや、性染色体・常染色体を問わない体細胞突然変異による性ホルモン受容性が変化しモザイク状になります。
③http://karapaia.com/lite/article/52141517/image/1527681より引用のロブスター
②の写真は雌雄モザイクのナナフシですが、蝶や蛾、甲虫、蜂などの昆虫では、雌雄モザイクが比較的良く観察されることから「昆虫には性ホルモンは無く、細胞ごとに性別が決定する」という説が昆虫学では定説となっているようですが「昆虫にも性ホルモンがある可能性がある」とする研究者もいます。③の写真はロブスターですが、この特徴を持つベニズワイガニが水揚げされました。エビやカニといった節足類にも、このような雌雄モザイクの例が出ています。
④https://matome.naver.jp/m/odai/2138067912760461501/2139225235405834503より引用のミドリガメ
これらの説は、原因は遺伝子の異常によると考えられますが、①の写真の鳥類である鶏に関してはこれらとは異なる説があるみたいです。その説は、オスの遺伝子を持つ精子とメスの遺伝子を持つ精子の二つが卵子と同時に受精し、一つの卵の中にオスとメスの二つの胚が形成され、それが融合することで雌雄モザイクの鶏が生まれるというものです。またカエルなどの両生類や爬虫類であるヘビやカメはこれはヘビやカエルは雌雄を簡単に見分けられないので少ないとされてきました。
⑤https://entert.jyuusya-yoshiko.com/siyumoza/より引用の雌雄モザイクの飼い猫
しかし、この④のミドリガメは爬虫類です。甲羅の識別ではっきり雌雄モザイクであると判ります。また高度な遺伝子を持つ哺乳類は最も少ないと言われているこの⑤の写真の三毛猫ははっきりした雌雄モザイクです。三毛猫は本来遺伝子の関係でメスしか存在しないと言われていましたが、雌雄モザイクが現れた時点で覆されました。この場合は昆虫や、節足類、鳥類と場合が違って、遺伝子異常が関係していると言います。この三毛猫は遺伝子異常の末のメスのみだったのです。