第1152回 迷い鳥
①https://www.skillots.com/search/work_images/212052?locale=jaより引用の迷鳥のイメージ
迷鳥というのは悪天候などの特殊な事情で本来の生息地ではないところに飛来した鳥のことを言います。群れからはぐれた渡り鳥の個体などが多いですが、稀に他の地域の留鳥が迷鳥になることがあります。迷鳥かどうかの判断は容易につきにくいです。アカガシラサギ、アネハヅル、ヒレアシシギ、アメリカホシハジロ、イエガラス、インドガン、オオグンカンドリ、カタシロワシ、カナダヅル、カラフトアオアシシギ、キガシラシトド、クロウタドリ、クロツラヘラサギ…まだいます。
②島根県で見つかったクロハゲワシ(体長約100〜110㌢)
クロハゲワシはヨーロッパ南部からトルコ、中央アジア、チベット、中国東北部に分布し、大部分の個体は留鳥ですが、一部の個体は冬季インドや西南アジアへ渡ります。中国南部や朝鮮半島に飛来した記録もあります。日本では迷鳥として、北海道から沖縄まで各地で記録があり、殆どが冬季に記録されています。日本で記録されたタカ科の鳥の中で最大級です。一般的に日本人はハゲワシと言いますと、アフリカ大陸で屍肉を漁るスカベンジャーの代表的な野鳥だけにびっくりです。
③茨城県で見つかったアネハヅル(体長約90㌢)
アネハヅルは現在確認されている鳥類の中では特に高々度、五千から八千mもの高さを飛ぶ鳥として知られており、ヒマラヤ山脈も越える渡りをします。チベット高原など旧北区の温帯域で繁殖し、インド亜大陸や北東アフリカ、中東などで越冬します。日本には稀に迷鳥として渡来することがあります。2007年6月青森県としては33年ぶりに飛来しました。江戸時代にも捕獲され、将軍へ献上された記録があり、絵図が描かれているといいます。また体長約90㌢と鶴の仲間では小さいです。
④千葉県で見つかったキガシラシトド(体長約17㌢)
「シトド」というのはホオジロの仲間のことを指します。キガシラシトドはアラスカ、カナダ西北部から中部で繁殖し、冬期にはアメリカ西部に渡り越冬します。日本では迷鳥で、今まで1935年12月に東京都での観察例しかなかったですが、その後北海道、新潟県、大阪府等で記録されました。日本のホオジロより少し大きなだけで、小さい部類の渡鳥です。ホオジロは顔の頬の部分が白斑があるから「頬白」と漢字表記ですが、キガシラシトドは頭頂中央部に黄があり「黄頭鵐」です。
⑤沖縄県で見つかったクロウタドリ(体長約28㌢)
クロウタドリはビートルズの『バイバイブラックバード』で世界的に有名になりました。ホシムクドリがモーツァルトにより有名になったのと同じくらいです。ツグミの仲間で、さえずりは上手です。ヨーロッパ全土、アフリカの地中海沿岸、中近東、インド、中央アジア南部、中国東南部、オーストラリア東南部、ニュージーランドに生息し、ヨーロッパ西部では留鳥として年中見られます。日本では旅鳥または稀な冬鳥として、北海道から沖縄県まで記録があり、人気もあります。
⑥https://zoopicker.com/animals/16797より引用の2006年に日本国内で見つかったミツユビカワセミ(体長約14〜17㌢)
ミツユビカワセミは低地の森林に広く居住し、インド亜大陸と東南アジアに広く分布しています。こんなカラフルなカワセミを見つけましたらどなたでも驚くに違いないと思います。まだまだ迷鳥はあります。あの方向感覚が鋭い野鳥が天変地異により迷い鳥となるほどの悪天候なのですから。迷鳥が良く確認される場所は、石川県舳倉島や長崎県対馬、山口県見島などの日本海の離島は、渡り鳥の中継地点であるため他の鳥の群れに混じるなどして、珍しい迷鳥が観察されて有名です。