第2106回 冬鳥がさえずる
①https://www.photolibrary.jp/img185/52745_1157311.htmlより引用の雪の中でさえずる鳥のイラスト
鳥がさえずりますのは、たとえば、ウグイスの有名な「ホー、ホケキョ」という鳴き声は、これがウグイスのさえずりです。春を告げる鳴き声として人間は聴いていますが、ウグイスにとっては、メスへの求愛と縄張り主張する二つの意味があります。メスに求愛するわけですから、さえずるのはオス。春先はウグイスの繁殖期のスタートなので、たくさん鳴いてメスを誘い、縄張りを宣言しているのであり「春が来たよ」とお知らせしているのではありません。これはウグイスの例ですが、他の鳥も春は繁殖期にあたり、さえずらない鳥も、別の方法でつがいになって貰いたいメスに対し求愛します。しかしこの回では、①のイラストの様に、非繁殖期の冬にさえずる鳥がいます。
②-1.https://www.birdfan.net/2021/02/05/81200/より引用のタゲリ(体長約32㌢)
②-2.https://www.birdfan.net/2016/10/28/47088/より引用のユリカモメと間違われるミヤコドリ(体長約45㌢)
②-3.https://www.birdfan.net/2020/03/13/77956/より引用の旅鳥か冬鳥のシギチの代表タシギ(体長約27㌢)
非繁殖期の冬にさえずるとされます鳥は水辺に多いようです。②-1.の写真はチドリの仲間のタゲリです。田んぼの貴婦人ともいわれ煌びやかな色彩を放つ基本的には越冬に来ます冬鳥で、肉食の強い雑食です。縄張りの上空を「ピーウィーと」鳴きながら宙返りします。また②-2.の写真もチドリの仲間のミヤコドリです。日本には冬鳥か旅鳥としてやってきます肉食の鳥で「キュキュキュキビキビキビ」と鳴きます。他にチドリの仲間はコバシチドリ「キッキッキッ」。三つ目以降はすべてシギの仲間です。代表として、②-3.の写真は春秋の渡りの際に立ち寄る旅鳥もしくは冬鳥で、やはり肉食の強い雑食です。陸の鳥たちとは違い水辺の鳥は冬でも生息している水溶生物や魚介類がいるから雑食です。タシギの鳴き声は「チクッチクッチクッ」と鳴き「ミュミュミュー」と尾羽を鳴らし急降下し、子山羊の声に似ています。他のシギの仲間の鳴き声は、メダイチドリ「ギギギ、ギイウイ」オグロシギ「キュキュキュ」オオソリハシシギ「キュイイイ」チュウシャクシギ「ポーポーピルルル」ホウロクシギ「ポーォ、ポポポ、ポーポー」アオアシシギ「キュイ、キュイ、キュイ」クサシギ「キュイピピ」タカブシギ「ピチュ ピチュ」キアシシギ「ピピピ、ピピュ、ピピュピピピ」キョウジョシギ「キョイ、キョイ、キョリョリョリョ」ハマシギ「ジュジュジュ」など
③-1.https://www.birdfan.net/2018/12/21/66948/より引用のセキレイの仲間のイワヒバリ(体長約18㌢)
③-2.https://www.birdfan.net/2015/01/16/32297/より引用のオオモズ(体長約24㌢)
③-3.https://www.birdfan.net/2020/03/13/78076/より引用のホオジロにそっくりなカシラダカ(体長約15㌢)
③-4.https://www.birdfan.net/2009/03/06/3605/より引用のミヤマガラス(体長約47㌢)
冬鳥がさえずるのはみんなチドリやシギの仲間だけとは限りません。日本には冬鳥として飛来するセキレイの仲間の③-1.の写真のイワヒバリや、同じく仲間の漂鳥であるビンズイも鳴くといいます。前者は「チュクチュクチーチー、クリヒークリヒー、チョリチョリチョロリ」で、後者は「チチロツイツイツイチョペチピー」です。二者共に肉食が強い雑食で、地中のミミズなどが好きです。また③-2.の写真のオオモズは日本では冬鳥または旅鳥として渡来し、日本の留鳥のモズと同じく肉食の鳥です。「チュチュリ、チュチュピィー」と鳴きます。三番目の写真は③-3.の冬鳥として飛来するホオジロの仲間のカシラダカです。ホオジロにもスズメにも似ています。上記の鳥たちとは違い、植物性の強い雑食です。「ピョヒョロリキュルルヒッ」「ピーチュク、ビルビル、チー」とヒバリのような複雑な声でさえずります。負け時とミヤマホオジロは「チィチュリチュリ、チィチチチュルリリ」ヒバリのように鳴きます。冬鳥が鳴くのは何も小さな鳥だけではありません。③-4.の写真の冬鳥のミヤマガラスは、大規模な群れを形成し、コクマルガラスと混群を形成することもありまり、空を黒く染めることがあり、ちょくちょく、新聞やテレビを賑わせます。食性は昆虫類、鳥類の卵や雛、果実、種子等を食べる普通の雑食で、このカラスは「カー」ではなく「クヮクヮクーン クヮクヮクー」と鳴きます。
④-1.https://blog.goo.ne.jp/toritoridaisuki3/e/759a895d1695f94c578364ea08b67c19より引用の左一羽がキレンジャク(体長約19㌢)と右の三羽がヒレンジャク(体長約17㌢)
④-2.http://bird-sakai.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-3141.htmlより引用のつがいのアトリ(左がオス、右がメス共に体長約16㌢)
④-3.http://www.cec-web.co.jp/column/bird/bird66.htmlより引用のつがいのマヒワ(手前がメス、奥がオス共に体長約12㌢)
もうひとつの冬鳥でさえずる鳥の仲間は、まず④-1.の写真の姿形もそっくりな、キレンジャクはヒレンジャクと仲の良い本州中部以北に多く飛来し、木の実を求めてどの程度南下するかは途中の木の実の量に影響され、またその年の木の実の豊凶によって繁殖数が変動するという習性を持ちます。鳴き声は「ヒリヒリリ、チリチリ、ジュッジュッ」です。この仲間は④-2.の写真のアトリの仲間の代表的な存在のアトリで、キレンジャク同様に渡来する個体数は年による変化が大きいとりです。「チッチッ、ビィー、チッチッ、ビィーン」と鳴きます。アトリの仲間で④-3.の写真の日本では冬季に越冬のため飛来する冬鳥で、北海道や本州中部以北では繁殖する留鳥というマヒワは「チルチュルチルチーイ」、最後もアトリの仲間のアカマシコは日本では数少ない旅鳥として飛来します。その頭頂や顔が赤い日本猿のようなこの鳥の鳴き声は「ピチピチ、ピチュピチュピー」アトリの仲間は同じく冬にやってくる不安定な鳥です。
⑤-1.https://www.birdfan.net/2014/03/14/27022/より引用の口をつむぐツグミ(体長約24㌢)
⑤-2.http://y-arisa.sakura.ne.jp/photo-diary/Pr2-031.htmlより引用のつがいのジョウビタキ(真ん中がオス、両脇二羽がメス共に体長約15㌢)
⑤-1.の写真は「達磨さんが転んだ」で有名な、冬鳥として、日本には越冬のためにやって来ますツグミです。このツグミの名前の由来は、繁殖期にはさえずっていたであろうに、しかし、日本に飛来する頃はさえずることをしませんので「口をつぐむ」から「つぐみ」となったと言われています。鳴き声は「キョロン、キョロン」「ポピリョン、ポピリョン」と、同じ仲間でも夏鳥のクロツグミと同じような鳴き声を日本を離れる直前に鳴くといいます。また西日本の山地でも少数が繁殖しているという仲間の冬鳥シロハラも「キョロン、キョロン」「キョロロン、キョロロンツリリ」と、アカハラより濁った声で鳴きます。またこれらのツグミの仲間は、街中に進出で有名となりましたイソヒヨドリと同じくヒタキの仲間でもあります。そのヒタキの仲間の代表格が⑤-2.のジョウビタキです。あの昔話にも裏話として「ボー、ボー」と鳴くサンカノゴイと一緒に悪賢い悪戯狸の背負った薪の束に兎が火打石で火を付けたとされるその音が鳴き声の「カチカチ、カチカチ」と地鳴きする冬鳥です。全国各地で繁殖の報告があり、写真の様にメスをつがい相手に選ぶあに「ヒチチューチョイチュウ」とさえずります。
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