第1386回 冬は危険いっぱいの野鳥
①https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32204001104より引用のイヌワシの捕食
前回までは冬に備えて、鳥たちが冬の激寒に耐えうる身体になるために「換羽」という着替えをすることや、どんな生き物でも生きていくためには、自然界の中で、食糧が乏しくなるので、餌の乏しい冬の間に、食糧確保のために「貯食」することをご紹介しました。この項では、その生きていくには厳しい冬の時期に野鳥たちはどのようなた生き抜くのでしょうか。①の写真は冬の景色が季節の中で一番視界良好で、獲物を捕らえることが出来、お腹を満たすであろうイヌワシです。
②-1.https://ichiharaminami-reien.or.jp/blog/冬の落葉樹/より引用の冬の落葉樹の風景
②-2.http://morilabo.com/2013/01/130123.htmlより引用の冬の森
猛禽類のように肉食の野鳥は冬でもある程度の食糧は確保出来ます。②の写真は秋まではいっぱいの葉を蓄えていた広葉樹、落葉樹もしっかり葉を落としてしまいまる裸の状態となります。しかし、③の写真の常緑樹に一年中葉があります。こういう樹木にはまだ実を着けているものもあります。雑食性の小さな野鳥達は昆虫やクモ、ミミズなどの獲物を諦めて、植物食を中心に探すことになり、落葉樹の落葉の下や、常緑樹の木の枝に命の糧となる食べ物を探しにやってくるのです。
③https://www.google.co.jp/amp/s/kijiijik.exblog.jp/amp/19199499/より引用のカラ類などの混群
当然に、やはり冬の時期にはお腹を減らした猛禽類が昼日中は空から獲物を探しています。オオタカ、チュウヒ、 チョウゲンボウ、ツミ、ノスリ、ハイタカ、ハヤブサ…場所は違えど猛禽類も生きていくには食べなくてはなりません。自然界の法則です。また、冬の空からの奇襲を受けやすい中でも、特に小さな野鳥たちも採餌に行かないと生きてはいけません。そこで、自然界の知恵というか教えなのか、小さなカラ類の野鳥たちには種を越え、餌を探しに行くため「混群」を形成します。
④https://amamoto.at.webry.info/201904/article_11.htmlより引用の寒さ対策にもなるエナガ団子
混群には色んな仲間が集まることで有名です。カラ類の混群で筆頭は、簡単な文章を作って言葉を話すと言われるシジュウカラです。よく耳にするのが「ヂヂヂヂ」で集まれとか、さらに「スィー」という声は猛禽類が上空に現れた時に発し、群れはこの声を聞くと枝の密集した藪に逃げ込みます。「ピーツピ」という声には首を左右に振りながら周囲を確認するとか、この鳴き声に近い種のヤマガラ、コガラ、ヒガラ、いつも居場所が一緒のキツツキのコガラ、この群れで一番小さなエナガ、甘いもの好きなメジロまで集合です。
⑤-1.https://39598513.at.webry.info/201502/article_3.htmlより引用のアトリとカワラヒワの混群
⑤-2.http://hijiki-to-oudon.com/kongun/より引用のカモ類の混群
また種を越えての「混群」だけが冬の防衛手段ではありません。④の写真のように同種のエナガだけが集まる「エナガ団子」、スズメが集まる「スズメの押しくら饅頭」メジロだけの「メジロ押し」なども寒さ対策も含んでいます。またカラ類だけでなく、⑤-1.のアトリとカワラヒワの混群、また同じくシメとイカルの混群、水鳥でも冬羽への換羽が終わり、エクリプスが始まったカモ類のオス達の混群などがあります。派手なカモ類のオスはこの時期メスのような地味な姿になります。