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第2035回 カワウとサギ
①-1.https://www.agara.co.jp/sp/article/7345より引用のカワウとシラサギの集まり
①-2.https://www.birdfan.net/2018/10/05/65264/より引用の左がダイサギ(体長約89㌢)と右がカワウ(体長約81㌢)
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①-1.のタイトル写真には沢山のカワウとシラサギがひと塊りになって、魚を主食とする鳥が「漁」をしているように見えます。何かカラ類の「混群」を思い起こすような光景が浮かびます。写真では黒いカワウと、好対照に白いサギが一堂に会していますので、何ごとが起こったのかと思われる方も多いのかと思います。①-2.の写真ではダイサギとカワウが仲良く並んでいます。サギ同士は仲が良いのはわかるんですが、この二種は異種なので不思議に思います。どちらの鳥も肉食で、主食が魚介類という本来ならライバルです。
②-1.https://www.birdfan.net/2018/07/06/63604/より引用のつがいのカワウ(左がオス、右がメス)
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②-2.https://www.google.co.jp/amp/s/namicoocean.seesaa.net/article/a13400232.html%3famp=1より引用のカワウとウミウ(体長約84㌢)の違いのイラスト
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②-1.の写真のカワウは言わずとしれますウの仲間です。カラスも黒い鳥でウも黒いです。二種の共通した漢字表記は「烏」です。カラスともウとも読みます。「鳥」という象形文字の顔の部分に横線が一本足らないのは、二種の鳥とも黒くて黒い目が見えないことから来ています。またカワウとウミウの違いは②-2.のイラスト図解のように身体の大きさと頭部のクチバシと目をつなぐ黄色い基部の裸出部の形だけの違いです。カワウは雌雄同色ですが、繁殖期になりますと、雌雄ともに婚姻色で、頭部が白くなり、腰の両側に白斑が出現れます。繁殖の時期は地域によって異なるので、繁殖羽になる時期も地域によって変化します。大体東京では1月頃から始まり、下北半島では9月で終わるといいますから、約9ヶ月も繁殖期だということです。産卵は通常3〜4個産み、雌雄交代で抱卵します。卵は約一ヶ月で孵化し、雌雄で育雛します。ヒナは通常およそ30〜45日で巣立ちます。
③-1.https://www.birdfan.net/2020/02/14/77116/より引用の左がコサギ(体長約61㌢)と右がダイサギ
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③-2.https://www.grey-heron.net/forum/19-morphology/より引用のつがいのアオサギ(左がメス、右がオス共に体長約93㌢)
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一概にサギといっても、シラサギもいれば、そうでもないサギもいます。私たちが身近に感じるサギは、留鳥で殆どの河川に分布しています③-1.の写真のコサギやダイサギ、③-2.の写真のアオサギが皆さんも見たことがあるサギだと思います。雌雄同色のサギの繁殖期になりますと、婚姻色で頭部に白と黒、足の付け根に白い羽毛が出て、目の下から喉の黄色い皮膚は一部が赤くなり、斑点が目立ち、色もオリーブ色になります。また繁殖期間は2〜9月でカワウ同様の魚介類主食の肉食であります二種ともに、繁殖期間は他の野鳥と比べても長いと思います。やはり水の中にいる魚は一年を通じて捕食でき、子育てにも寒くなっても給餌する事が出来ます。これがサギの繁殖形態です。
④-1.https://blog.goo.ne.jp/yocchi-bird/e/6f3670f822d5fa4bdc35f5f348118fe3より引用の繁殖期で婚姻色になったオスのカワウ
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④-2.https://www.birdfan.net/pg/kind/ord04/fam0400/spe040014/より引用の繁殖期に目元がピンクの婚姻色になったコサギ
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④-1.の写真のカワウにしろ、④-2.の写真のコサギにしろ、繁殖期には②項や③項で紹介致しましたように、両種には婚姻色が表れます。これはコサギ以外のダイサギにしろ、アオサギにも現れる共通の特徴で雌雄共に表れます。樹上生活や地上生活をする陸上の野鳥では、相手のメスに対して、さえずりや、ドラミング、クラッタリングで自分の意思を伝えることが出来ますが、水辺にいる野鳥でありますカワウやサギなどはさえずりしませんので、このような婚姻色でメスを惹きつけ、サギに至っては後頭部に飾り羽が生えます。
⑤-1.https://yamap.com/activities/6427024より引用のカワウの営巣
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⑤-2.https://blog.goo.ne.jp/knbk_photo/e/a130d0f7251e897a80a813d308257c12より引用のダイサギの子育て
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⑤-3.https://www.city.minato.tokyo.jp/ryokukasuishin/tayousei/kansatukai/20190601_torinoshima_houkoku.htmlより引用のカワウとサギのコロニー
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カワウは群れで溜まる場所をいくつか持っていて、そこで休息と睡眠をとります。夜明けには採餌のために群れを成して餌場に向かい、夕方になると再び群れでねぐらに戻ります。⑤-1.の写真のように、カワウの巣作りはその非繁殖期のねぐらをそのまま営巣にします。すなわちコロニーを結成するのです。コロニーは人でいいますと集合住宅で、外敵が近づいても周りの仲間が騒ぐので自分は危険退避できますし、また子育ても安心です。⑤-2.の写真のダイサギは繁殖期には、クチバシの色が黒く、顔色が緑青になる以外に、首下の羽が長くなり、背にみの状の飾り羽根が見られたりしてとても綺麗です。非繁殖期には背と首の飾り羽がなく、クチバシ全体が黄色で、顔色は黄緑色をしています。4〜6月に、大きな木のある林に巣を作り、3〜5個を産卵し、雌雄交代で抱卵し卵は約25日で孵化します。孵化したヒナは20日ほどで巣立ちます。巣立ったヒナは、20日ほどで飛べるようになります。カワウとサギの仲間は⑤-3.の写真のように呉越同舟の異種間でコロニーを結成する仲の良さです。①-1.の写真のカワウとサギの集合はカワウが川の中に潜って魚の狩をします。その時にカワウの側に構えるサギたちは、カワウの狩から逃れた魚を咥えて捕獲す連携作業です。