第2227回 鳥が運ぶもの
①https://gigazine.net/news/20180615-storks-baby/より引用の赤ちゃんを運ぶとされたコウノトリのイラスト
私たちが子どもの頃に、大人の人にに対して無邪気に、兄弟が生まれました時に「赤ちゃんはどうやってできるの」と尋ねますと答えは「コウノトリと言う鳥さんがいて、神さまから赤ちゃんを預かり、うちに授けてくれるのよ」と教えられました。それは12月24日のクリスマスイブの夜に、子どものいる家に、サンタクロースのお爺さんが、その家の子どもが悪いことをせずに、親の言うことを聞いていましたら、ご褒美に叶えて欲しい物をプレゼントとして持ってきてくれ、翌朝25日の朝、枕元には欲しかったものが届いている。と教えられる様なものでした。今ではそんな夢のある話しはされないと思います。これは西洋から届いたお話で、西洋では鳥を運んできますのは、コウノトリでなく、仲間のシュバシコウになります。
②-1.https://mobile.wbsj.org/activity/conservation/research-study/greenfund-seed-dispersal/greenfund-20trees/より引用の赤い実をつけたイチイの木
②-2.https://mobile.wbsj.org/activity/conservation/research-study/greenfund-seed-dispersal/greenfund-20trees/より引用の黒い実をつけたクスノキ
②-3.https://mobile.wbsj.org/activity/conservation/research-study/greenfund-seed-dispersal/greenfund-20trees/より引用の別名ロウノキことハゼノキ
野鳥が運ぶものとして、一番多いのは、種子散布される可能性が高いと思われる木の実の一部を紹介します。いわゆる共生になるのですが、野鳥が木の実を種子ごと丸呑みし、消化されない種子はあらゆるところに散布され、樹木が広がることになります。②-1.の写真のイチイは北海道から九州に分布し、アカゲラ、アオゲラ、カケス、ヤマガラ、ヒヨドリ、エナガ、メジロ、ヒレンジャク、ムクドリ、シロハラ、アカハラ、ツグミなどで、②-2.の写真のクスノキには本州中南部、四国、九州に広く分布しています。また、神社に植えられているほか街路樹としも多く利用されています。カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、コムクドリ、シロハラ、アカハラ、ツグミなどで、②-3.の写真のハゼノキは西日本を中心に関東以西に分布しています。コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、コムクドリ、アカハラ、ツグミ、ジョウビタキ、ルリビタキ、ジョウビタキなどがいます。主要な散布の樹木は他に22種あり、ヤマモモ、エノキ、ムクノキ、アケビ、ヒカサキ、ヤマザクラ、ノイバラ、ナナツカマド、カラスザンショウ、サンショウ、ヌルデ、クロガネモチ、ツルウメモドキ、コマユミ、ミズキ、キヅタ、ヤマグワ、エゴノキ、ネズミモチ、ムラサキシキブ、クサギ、ガマズミの計25種。
③-1.http://www.forest-akita.jp/data/2017-jumoku/23-egonoki/ego.htmlより引用の微毒のサポニンを含む他の鳥が嫌うエゴノキの実が大好物のヤマガラ(体長約14㌢)
③-2.http://www.forest-akita.jp/data/2017-jumoku/81-yadorigi/yado.htmlより引用の寄生樹のヤドリギが好物のレンジャクたち(写真はキレンジャク体長約17㌢)
また、反対に殆どの野鳥が、その木の実を嫌うと言うことがあります。代表的なもののひとつとして、③-1.の写真のエゴノキの実があります。全国に分布し、晩秋に実が熟すと皮が割け、茶褐色の種子が露出しますと以下の野鳥も食べ始めます。
カケス、ハシボソガラ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ツグミなどですが、それまでは硬い殻に覆われていますのと、その殻の周りにはサポニンと言う石鹸の材料となる薬物が含まれていますので、殻を綺麗に割ることができるヤマガラの独占的な木の実です。これよりもっと嫌われていますのが、③-2.の写真の寄生樹のヤドリギです。冬枯れの公園や森を歩いていると、樹上の枝に丸く繁茂する緑がよく目立ち、遠くから見るとクマ棚のようにも見えますが、近づくと緑色をしているのが、ヤドリギです。ヤドリギはブナやミズナラ、クリ、サクラ、ケヤキなどに主に寄生します。葉は革質で厚く、竹トンボのように枝先に対生する。晩秋から冬にかけて黄色い実をつけます。その実をレンジャクの仲間のヒレンジャク、キレンシャクが好んで食べて種子を散布してくれます。ヤドリギの実はネバネバしていますので消化が悪いのですが、なぜレンジャクの仲間だけが好んで食べるのか解っていません。
④-1.https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20180607_01/より引用のナナフシを食べるヒヨドリ(体長約27㌢)
④-2.https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_05_29_01.htmlより引用のナナフシの分布拡大のメカニズム
④-1.の写真はナナフシといいます。昆虫にしては珍しく、ほかの昆虫には背中に翅がありますのに、カマドウマやこのナナフシにはありません。翅のある昆虫はいまいるところより離れた場所に産卵することができますが、このナナフシには それが出来ませんので、鳥に食べられて子孫を拡散させるという手段を使います。ナナフシは木の枝そっくりに擬態して、じっとしています。ちょっと見ただけでは木なのか昆虫なのか分かりません。ナナフシは飛ぶための翅がないので、長距離の移動は苦手なので、自然界の法則で、ナナフシの卵は硬い殻を持っていますので、鳥に捕食されても数%が消化されずに排出され、④-2.のような構図で遠くの範囲まで、メカニズムを持てます。
⑤-1.https://blog.goo.ne.jp/miracle_nature_amami/e/f3159314120cfcf3e59985ec1b8a3cdcより引用のカタツムリを食べるイソヒヨドリ(体長約25㌢)
⑤-2.https://horikawad.hatenadiary.com/entry/20110719/1311033250より鳥の糞の中に生きているカタツムリ
以前から動物学者の間では、カタツムリは孤島にも存在していますが、泳ぐことができないのに「一体どうやって島に到達するのか」というのが研究の中で謎だったそうです。またナナフシと同様にナメクジを食べる鳥は少ないのですが、カタツムリは⑤-1.の写真のように、イソヒヨドリも食べますが、カモメ、カケス、コマドリ、ムクドリ、ツグミ、ミヤマガラス、キジなどがそうです。カタツムリもナメクジ同様に雑食性で、草花や野菜はもちろん、キノコや苔、驚くことにコンクリートなどもエサにしてしまいます。というのも、カタツムリの殻は「炭酸カルシウム」でできているため、殻の栄養のためカルシウムを取らなければならないからです。殻があるかないかが、カタツムリとナメクジの違いなのですが、圧倒的に捕食率はカタツムリが高いです。考えられますのは鳥はカルシウム不足といわれ、殻の付いていますカタツムリはカルシウムが含まれていると言うことです。そのカタツムリを捕食した鳥は当然のように、捕食した物を消化し、⑤-2.の写真のように糞として排出します。カタツムリの胎内に宿した卵が孵化し、海の向こうの孤島に渡ります。