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第1353回 ユリカモメって
①http://teppou13.fc2web.com/hana/narihira/ise/now/ise_ns9.htmlより引用の『伊勢物語』の「九段 東下り」での『都鳥』ことユリカモメの絵画
①の絵画は『伊勢物語』の「九段 東下り」です。この絵画の中でも左上の方に水鳥が描かれています。この鳥を九段では『なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。(中略)さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、「これなむ都鳥。」と言ふ』と白い身体で、クチバシと趾が赤く、体長約40㌢全国の大きさだと…
②ユリカモメが写真のミヤコドリ(体長約45㌢)と呼ばれた?
「ユリカモメ」のことを古代・中世に「ミヤコドリ」と呼んでいたという説があり、古今和歌集に登場するミヤコドリはユリカモメの可能性があります。クチバシと趾は長くて赤く、身体の上面は黒く、胸から腹、翼に白い部分があります。かつて日本では旅鳥または冬鳥として主に九州に渡来していました。クチバシは上下に平たくて先が鋭く、わずかに口を開けた二枚貝に素早くクチバシを差し込み、貝柱を切断して殻を開け、中身を食べて、ほかにカニやゴカイなども食べます。
③ユリカモメ(体長約40㌢)の左端が夏仕様
対して、③のユリカモメは日本では冬鳥として、北海道から南西諸島まで広く渡来します。趾とクチバシは赤色で、夏羽は頭部が黒褐色になります。冬羽は頭部が白く、目の後ろに黒い斑点があるのが特徴です。魚や甲殻類、オキアミを食べるが、カモメ科としては珍しく様々な環境に対応できるので雑食性です。京都市の鴨川でも多くの個体が観察され、鴨川のものは比叡山上空を通過し、琵琶湖で夜を過ごします。ユリカモメは集団行動をするため、遠い距離移動も何のそのです。
④http://1943-1947nanda.blog.jp/archives/18815537.htmlより引用の手前がミヤコドリ、奥側がユリカモメ
④の写真をご覧になればお分かり頂けると思いますが『伊勢物語』の中で「白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ」とありますが、白い鳥はどれかと、クチバシと趾が赤いのはちょっと迷うかもしれませんが、魚を食べるという点では、二枚貝を食すミヤコドリに対して、魚や甲殻類を食すとありますユリカモメが当てはまります。「京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず」は人が水辺に立ち寄る夏にはいなく、冬鳥だからこその表現だと思います。
⑤-1.https://note.com/hiho2351/n/n8e7282ace314より引用の新軍団抗争の手前ユリカモメ対奥側ハシボソガラス(体長約50㌢)
⑤-2.https://irotoritor.exblog.jp/24033464/より引用のトビ対ユリカモメ
古き昔はユリカモメは『ミヤコドリ』でありました。現在のユリカモメはといいますと、カモメの仲間なのに、川辺や湖畔などにも進出し、小さな虫や雑草の種子など食べる雑食性。鴨川に姿を見せ始めたのは、1974年の事で、それまで鴨川の川辺を縄張りにしていたトビやそのトビと食物事情でかち合うカラス、この二種とやはり食物事情が重なるユリカモメ。そのユリカモメと⑤-1.のカラス、⑤-2.のトビと三竦みの闘いは、カラスが有利と思われましたが、ユリカモメが数で勝ります。