第1210回 野鳥の枕詞 ⑵
①https://hiyokoyarou.com/tag/寝る/より引用のイラスト
②https://i-zukan.jp/columns/157より引用の換羽したオオタカ
と〜な) 26) 枕詞 飛ぶ鳥の(とぶとりの) 被枕
明日香 飛ぶ鳥のように早く帰ってくるように。イスカと音が似る
❶ 飛ぶ鳥の 明日香の川の 上つ瀬に 生ふる玉藻は 下つ瀬に 流れ触れらばふ・・・ 万葉集 (27) 枕詞 遠つ人(とほつひと) 被枕 雁(かり) 松 松浦 雁を、遠く旅する人に喩える。
❶ 今朝の朝明秋風寒し遠つ人雁が来鳴かむ時近みかも 万葉集
(28) 枕詞 鳥屋帰る(とやかへる) 被枕 鷹 鷹は羽が抜け替わるとき、鳥屋に帰るから ❶ とやかへる鷹の尾山のたまつばき 霜をば経とも色はかはらじ 新古今和歌集 (29) 枕詞 鳥が鳴く(とりがなく) 被枕 東(あづま)
鳥が囀るような東国方言のわかりにくさ。
❶ 鶏が鳴く 東の国に 高山は 多にあれども・・・ 万葉集
(30) 枕詞 鳴く鶴の(なくたづの) 被枕 たづね、音
❶ きみを思ひおきつの浜に鳴く鶴の たづね来ればぞありとだに聞く 古今和歌集
③https://www.google.co.jp/amp/s/somagatto.exblog.jp/amp/23539090/より引用の寂しげに鳴く鵺(トラツグミ)
に〜ぬ) (31) 枕詞 庭つ鳥(にはつとり) 被枕 鶏(かけ) 庭つ鳥は鶏。
❶ 庭津鳥 かけの垂り尾の 乱れ尾の 長き心も 念ほえぬかも 万葉集
(32) 枕詞 鳰鳥の(にほどりの) 被枕 息長川(おきなががは) カイツブリは息が長いので。
❶ にほどりの おきながかはゝ たえぬとも きみにかたらむ ことつきめやも 万葉集
(33) 枕詞 鳰鳥の(にほどりの) 被枕 潜(かづ)く
❷ にほ鳥の 潜く池水こころあらば 君にわが恋ふる情示さぬ 万葉集
(34) 枕詞 鵼鳥の(ぬえどりの) 被枕 のどよふ(か細い声を出す)、片恋 物悲しく、人を恋い慕うように鳴く
❶ ぬえ鳥の のどよひ居るに いとのきて 短き物を 端切ると・・・ 万葉集
(35) 枕詞 ぬえ鳥の(ぬえどりの) 被枕 うらなく
❷ あおによし 奈良の我家(わぎへ)に ぬえ鳥の うらなけしつつ 下恋に 思ひうらぶれ 万葉集
④http://blog.livedoor.jp/rh1-manyo/archives/49714518.htmlより引用の初雁
の〜は) (36) 枕詞 野つ鳥(のつとり) 被枕 雉(きぎし) 野の鳥であるキジの意
❶ ・・・雨は降り来 野つ鳥 雉はとよむ 家つ鳥 鶏も鳴く 万葉集
(37) 枕詞 箱鳥の(はこどりの) 被枕 かく 「はこはこ」と、春先に鳴く
(38) 枕詞 鷂(はしたか)の 被枕 端山 初狩 篠 すずろ 羽の端で「端山」 鷹狩の鈴から「篠(すず)」
❶ はし鷹の篠の篠原狩り暮れて 入日の丘に雉子鳴くなり 万台和歌集
(39) 枕詞 初雁の 被枕 はつか(僅か) 同音で
❶ 初雁のはつかに声をききしより なかぞらにのみ物を思ふかな 古今和歌集
(40) 枕詞 浜洲鳥(はますどり) 被枕 足悩む(あなゆむ) 浜辺にいる鳥は、よたよたと歩きにくそうにみえるので
❶ 人の児の愛しけ時は浜洲鳥 足悩む駒の惜しけくもなし 万葉集
⑤http://blog.livedoor.jp/tosakatsuo/archives/cat_721325.html?p=78より引用の荒磯のミサゴ
は〜み) (41) 枕詞 浜千鳥(はまちどり) 被枕 跡(あと) ふみおく 浜千鳥は砂浜に足跡を残すので、筆跡(手紙)を意味 する『跡』に続けた。
❶ 浜千鳥 跡はみやこに かよへども 身は松山に 音のみぞ鳴く 上田秋成
(42) 枕詞 時鳥(ほととぎす) 被枕 飛幡(とばた) ほとほと 飛ぶことから、地名の飛幡
❶ 霍公鳥 飛幡之浦に しく波の しくしく君を みむよしもがも 万葉集
(43) 枕詞 真鳥住む(まとりすむ) 被枕 雲梯(うなて)の杜 「まとり」は立派な鳥、主に鷲。生息していた「雲梯の森」から ❶ 真鳥住む雲梯の杜の菅の根を 衣にかき付け着せむ児もがも 万葉集
(44) 枕詞 鶺鴒(まなばしら) 被枕 尾行き合へ(をゆきあへ)
❶ 鶺鴒 尾行き合へ 庭雀 うずすまり居て 今日もかも 古事記歌謡
(45) 枕詞 鶚居る(みさごゐる) 被枕 磯 荒磯 沖 渚 ミサゴは海辺に住み魚類を捕る
❶ みさご居る沖つ荒磯に寄する波 行くへも知らず我が恋ふらくは 万葉集
⑥https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1504.htmlより引用の秋風のヤマドリ
み〜わ) (46) 枕詞 水鳥の(みづとりの) 被枕 青葉(あをば) 水鳥の羽は青いことから。
❶ 秋の露は移しにありけり水鳥の 青葉の山の色づく見れば 万葉集
(47) 枕詞 水鳥の(みづとりの) 被枕 鴨 鴨は水鳥を代表する鳥。
❷ 水鳥の 鴨の羽色の 春山の おぼつか無くも 念ほゆるかも 万葉集
(48) 枕詞 山鳥の(やまどりの) 被枕 を ひとりね 山鳥は尾が長く、夜は雄と雌が峰を隔てて寝る
❶ 秋風の吹きよるごとに山鳥の ひとりし寝ればものぞかなしき 古今和歌六帖
(49) 枕詞 呼子鳥(よぶこどり) 被枕 よび 声になきいで
❶ ひとりのみ恋ふれば苦し呼子鳥 声になきいでて君に聞かせむ 五撰和歌集
(50) 枕詞 鷲の住む(わしのすむ) 被枕 筑波の山
❶ 鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津の その津の上に 率ひて・・・ 万葉集