第646回 ケリ、鳧、計里、水札
①今では田んぼや畑で見られるケリ(体長約36㌢)
ケリと言う名の野鳥の漢字表記は1.「鳧」2.「計里」3.「水札」の三つです。1.は形象文字の一文字で、漢字の下の部分の『几』は脚の長い『鳥』を表して「鳧」だそうです。2.は『里』を『計』はからう野鳥、つまり自分の住処をわきまえた野鳥。そして3.の「水札」は水田の管理をしているように警戒心が強いということか、何処にも記載されていません。水田に巣を作るので、人の手によって壊されることもあり、壊されても何度も作り直すのだそうです。そこからの名前かも…
②田んぼの貴婦人タゲリ(体長約32㌢)
一方のこの②の写真のタゲリは当然ケリの仲間です。ケリという名前の由来はケリの鳴き声から来ています。「ケリッ けリッ」という鳴き声で鳴くことからケリという名前が付けられました。ケリの特徴はって聞かれたら、長い足と黄色、クチバシは黄色で先が黒くなっています。また目の周りは黄色で目は赤橙色です。そのケリに対して②の写真のタゲリは田んぼの貴婦人と呼ばれています。同じ仲間のケリが男性色がきついのに対して、タゲリはご覧いただきますと女性的です。
③https://rakutai.jp/wp-content/uploads/2018/11/03satoyama-01.jpgより引用の翼爪を持つケリ
もう一つのケリの不思議さは、まだ恐竜時代の爪が翼に残っているということです。それがこの③の写真です。雌雄同色の野鳥ですが、「小翼羽」と呼ばれる翼の一部に、人間の親指にあたる羽に爪があります。この爪の大きさや色で雌雄の区別をつけるらしいです。このケリが珍しいのは、この日本には翼爪が生えているのはケリだけです。世界にはツバメケイやスグロトサカゲリがいます。ツバメケイは幼鳥まで爪があり、成鳥になるとなくなります。
④http://kawasemi22.blog.fc2.com/blog-entry-3462.html?spより引用警戒心の強いケリの抱卵
ケリはよく凶暴だと評価されます。どんな風に凶暴なのか理解してあげないといけないと思います。「キリキリ、キッキッキ」こんな鳴き声は敵を威嚇する時に主に鳴いています。気性が荒い鳥なので甲高く鳴きます。特に繁殖期が一番気性が荒くなると言われており、つがいで縄張りに入ってきた敵に威嚇、攻撃をしにいきます。まず一羽が攻撃しに行き、後を追うように他のケリも攻撃しに行くそうです。上空から急降下して敵を襲っていくのだそうです。
⑤https://proverb-encyclopedia.com/keriwotukeru/7より引用のケリをつけるのケリ
このケリは人間の言葉にも「けりをつける」と「かたをつける」はどちらも「物事を無事に終わらせること」を表します。同じように使えますが、「かたをつける」は特に金銭的に物事を解決させる場合に使うらしく「けりをつける」の意味は「簡単に決められない物事を、何らかの結論を出して結末をつけること」です。「けり」は「物事の最後」、「つける」は「ある状態にさせること」を意味します。このように言葉にまで関係するケリはその行動が言葉を示しています。