第967回 (続) 野鳥の和名
①https://www.axismag.jp/posts/2020/03/180849.htmlより引用のイラスト
②オオタカ(体長約50〜56㌢)
(13)鷹(タカ)→猛(たけ)き鳥から 高く飛ぶ ツマカタ(爪堅)の反じて ツメイカ(爪厳) 凡鳥でないところからケタカシの義 手飼鳥(タカドリ)から (14)千鳥→チヨチヨ、チンチンという鳴き声から
千羽単位の群れがたくさんいるのでチヂドリ(千々鳥) チガヘドリ(交鳥)(差鳥) コチドリ、ケリなど
(15)鶴→古くは口語でツル、文語で田鶴(タヅ)と言った。鶴は鴻(コウ)を含めた広義の名だったので、特に田鶴と限定した。富山では鶴も蔓(ツル)もツリと言う。蔓の原義は『細り、筋』だが、鶴も同趣旨でほっそりした鳥。連なって(つるんで)飛ぶ
連なり飛ぶので、ツラナル 諸鳥に優れるので、スグルの略転 諸鳥に優れ丈高く立つので、タツ、ラクの反 つるむ(交尾)に由来。鳴き声のクルルルから 朝鮮語のトゥルミから タンチョウ マナヅル等
③コハクチョウ(体長約120㌢)
(16)鳥→飛翔(とびかけり)の中略。『と』は『上に登る』と言う意味の登(とん)や『空中に上がる』と言う意味の騰(とん)から。『り』は飛び立って地上を離れるので離(り)のこと。朝鮮語の鶏から (17)白鳥→古くからシラトリとも呼ばれていた。
安土桃山時代からハクチョウ。白鳥の音読み。
(18)鳩→ハヤトリ(速鳥)を略してハト。いつも二羽が離れず八の形をなすところから。鳴き声から
羽音のハタハタから。 (19)ヒタキ→火の焼けるように赤味の色があるから「火焚」ジョウビタキ 石叩きからの訛り 声が火打石を叩く音に似る。ジョウビタキ
④カワラヒワ(体長約14㌢)
(20)ヒワ→小さく繊細なこと、古語『ひわやか』から。弱いことをヒワヒワシというところから、弱鳥 ヒワヅ 『ひ弱』から 篭で飼うとすぐに死んでしまうことが多い。ハシハヤの反、嘴の先の速いところから マヒワの鳴き声ビインビワンから。
(21)マシコ→猿子と書き、猿の古名(まし)に由来。
猿の顔のように赤い羽色。 (22)ミミズク→奈良時代から「つく」羽角が付く、突き出ている 平安時代から「みみつく」
江戸時代から「みみずく」ツクは本来フクロウの一名。八丈島ではフクロウをツクと言う。
アオバズクには耳羽がないが、それでもツクと呼ぶのはそのため。フクロウの鳴き声をツクグルホーコーとも聞くが、そのツクグルという声を略してツク。耳付 耳突 ミミツク(耳鳥)
⑤キレンジャク(体長約19㌢)
(23)ムシクイ→見た目は似ているが、囀りが異なっている(鳥)。
(24)ヨシキリ→室町時代から「よしすずめ」安土桃山時代から「よしどり」「よしはらすずめ」「あしすずめ」江戸時代前期から「よしきり」
江戸時代中期から「おほよしきり」と「コヨシキリ」ヨシクグリ(葦潜) 葦を裂くような鳴き声の漢語、剖葦から ヨシの葉を切り裂いて中の虫を食べるから。
(25)レンジャク→平安時代からレンジャク 江戸時代中期からヒレンジャクとキレンジャクに区別。
連尺は物を背負うための背負子。この連尺を担ぎ各地を往来する行商が渡り鳥のようだから。
(26)鷲→悪い鳥なのでアシ(悪し)から。強引に物を奪う悪鳥 走ることをワルシとも言った。強力な飛翔力で群鳥を追い詰め捕らえるところから、走(ワ)シノ鳥の意。自分の羽の素晴らしさを知っているところから、ワサシリの反。ワサは姿。シリは知る。動作が敏捷であるところから、ハシ(捷)の義。
動物は皆強い者に殺されるが、鷲は敵無しであるところから、ワシ(我死) ヲソロシ(恐)の略転
ウヱハミサシ(飢喰嘴) 輪過ぎ(輪を描いて空を過ぐる)→わす→わし 車輪のように飛ぶことをワシ(輪如)というから。