第1137回 未知の飛べない鳥カグー
①http://tokyo.ecochil.info/2019/12/02/y1912nogeyama-zoo/より引用のカグー(体長約55㌢)
皆さんは飛べない鳥と言えばどの鳥を思い浮かべるでしょう。ペンギン、ダチョウ、キーウィ、ヤンバルクイナ、ニワトリなどなどと思います。世界は広くまだまだ未知数の鳥は存在します。今回紹介しますのは、私にとっても未知の鳥カグーです。カグーは別名カンムリサギモドキという、フランス領ニューカレドニアの固有種です。この島は生態系が盛んであり、様々な固有種が生息しています。羽毛等の目的による乱獲で、約600〜700羽しか生息していません。また、そのほとんどが保護区域で保護されています。同国の国鳥です。
②https://eikajapan.com/journal/flightless-bird/より引用のニューカレドニアの紙幣
何の知識もなく、最初に①の写真を見た時の感想は地味としか思いませんでした。また調べているうちに鳥なのに飛べないし、その外観も地味。一つとして魅力を感じる事はできませんでした。もっと深く調べていくうちに、このカグーはニューカレドニアの国鳥で、また②や③の写真にもある通り、紙幣や硬貨に盛り込まれているのです。それほど、ニューカレドニアの人々はこのカグーを国鳥として、または自国の誇れるマスコットとして、前面に押し出しているのかもしれません。
③https://eikajapan.com/journal/flightless-bird/より引用のニューカレドニアの硬貨
では、その地味で大人しくて、どことなく下を向いていて暗い雰囲気だし、鳥なのに飛べない。しかし、自国の人はおろか、世界中の人々を魅了する本質はどこなのでしょう。人が感じる、鳥への憧れの多くは、その飛行能力でした。あんな鳥のように自由に行きたいところに飛んで行きたい。しかしカグーは飛べません。飛べない変わりに本質的な美しさを持っている。その美しさは隠し持っておくべきで、必要な時、必要な相手”に注ぐべきだという事が愛される事かもしれません。
④https://eikajapan.com/journal/flightless-bird/より引用のカグーのつがい
飛べない代わりにカグーには何があるというのでしょう。ダチョウみたいに車のように高速で走れるわけでもありませんし、ペンギンみたいに、翼と蹼(みずかき)を使って潜れるわけでもなく、またキーウィみたいにフルーツの名前になるくらい可愛らしい体格もしてないし。一体、カグーのこんな地味な身体に何が隠されているというんでしょう。カグーを見るなら、日本では神奈川県横浜市の野毛山動物園に雄の二羽のカグーが飼育されているみたいです。つがいでいて欲しかったです。
⑤https://eikajapan.com/journal/flightless-bird/より引用のカグーの冠毛を逆立てた姿
カグーは頭部から後方へ、羽毛が伸長する冠羽を持っています。種小名jubatusは鬣(たちがみ)のあるの意です。ヤツガシラやキクイタダキなどの野鳥の頭頂にある冠羽は広がって大きく見せるものですが、このカグーは冠羽と言うより、立ち上げて⑤のような美しい体型になります。それはニューカレドニアの自然界に於いては、繁殖相手に対するディスプレイでもあり、また繁殖期の相手探しや、縄張り確保の際に現れるライバルに対する威嚇を表す行動といえます。鬣が美しい鳥です。