第1203回 俳句のなかの野鳥 ⑵
①https://vivre-media.jp/3838より引用の俳句
②https://hokusetsu-wildbirds.blogspot.com/2019/11/blog-post.html?m=1より引用のぶら下がるキクイタダキ
き〜け) (47) キクイタダキ 松毟鳥(冬)
注釈 まつむしり キクイタダキの別称。
松の緑をむしるとされる。「菊戴」と呼ぶ場合は、菊の花にちなんで秋の季語のことも。
ぶらさがり ぶらさがりつゝ 松毟鳥 (伊藤麦城) (48) ❶ キジ 雉(春)
注釈 きぎす 奈良時代にはきぎしが多く、平安時代以降きぎすが多い。身を隠せず、すぐに所在を知られてしまう鳥とされる。
雲下りて 湖の嶋山 きぎす啼く (飯田蛇笏)
愛しけれ きぎすの玉子 手にとりて (杉田久子)
❷ キジ 雉(春)
注釈 きじ 子を思う親の愛情の譬えとして詠まれることが多い。代表的な猟鳥で、猟と関連付けると冬の季語。 父母の しきりに恋し 雉子の声 (松尾芭蕉)
(49) キジバト
鳩の声 身に入みわたる 岩戸哉 (松尾芭蕉)
(50) キセキレイ(秋)
峡の田の 苗代に下り 黄鶺鴒 (水原秋桜子)
(51) キツツキ 啄木鳥(秋)
注釈 木を突く音がもの寂しく響くから秋の季語
啄木鳥の こぼす木屑や 雪の上 (野村泊月)
(52) キビタキ 黄鶲(夏)
注釈 鳴き声が男性的で、オオルリの京女に対し、東男と呼ばれる。
黄鶲や 沢辺に多き 薊の座 (秋桜子)
(53) クイナ 水鶏(夏)
注釈 緋水鶏は戸を叩くような高音で鳴くので、水鶏叩くと表現することも多い。
縄朽ちて 水鶏叩けば あく戸なり (高浜虚子)
(54) クロツグミ(夏)
黒つぐみ 桃の枝より とび翔ちし (皆川盤水)
(55) ❶ ケリ 鳧(夏)
鳧の子を 野水にうつす 植女哉 (加舎白雄)
❷ ケリ 水札(夏)
水札鳴いて 日陰ちろつく 流哉 (嵐雪其袋)
③https://www.google.co.jp/amp/s/plaza.rakuten.co.jp/nande13/diary/201902120000-amp/より引用の夜に鳴くゴイサギ
こ) (56) ゴイサギ(夏)
稲妻や 闇の方行く 五位の声 (松尾芭蕉)
(57) コウノトリ
鸛の巣に 嵐の外の 桜哉 (松尾芭蕉)
(58) コガモ(冬)
日あたりの 入江にたまる 小鴨哉 (正岡子規)
(59) コガラ 小雀(夏)
朝夕や 峯の小雀の門 馴るゝ (小林一茶)
(60) ゴジュウカラ(夏)
むづかしや どれが四十雀 五十雀 (小林一茶)
(61) コジュケイ 小綬鶏(春)
小綬鶏の 来鳴く山辺の 春の霜 (田中鬼骨)
注釈 小鳥来る(秋) 群れて目立つので秋。単に小鳥だけでも秋の季語。
(62) コマドリ 駒鳥(夏)
注釈 (こま)(のどあか)
こま鳥の 声ころびけり 岩の上 (園女)
(63) コヨシキリ(夏)
あけがたや 舌打ち鳴きの 小葭切 (山田みずゑ)
(64) コルリ 小瑠璃(夏)
注釈 古名はちはひるり 地面近くで囀る
歯朶くらし 小瑠璃のこゑの まろびくる (秋桜子)
④http://kix757.cocolog-nifty.com/1958/cat54590953/index.htmlより引用の鳴きやんで尾羽を垂らすサンコウチョウ
さ〜す) (65) シギ 鴫(秋)
注釈 主にタシギ
刈跡や 早稲かたがたの 鴫の声 (松尾芭蕉)
(66) 白鷺(夏)
美しき距離白鷺が蝶に見ゆ (山口誓子)
(67) ササゴイ(夏)
笹五位や 山だの早苗 やはらかに (中西悟堂)
(68) サンコウチョウ(夏)
三光鳥 鳴きやみし尾を 垂れにけり (秋風)
(69) サンショウクイ 山椒喰(春)
山椒喰 松風絶えて 鳴き澄める (水原秋桜子)
(70) シジュウカラ 四十雀(夏)
老の名の ありともしらで 四十雀 (松尾芭蕉)
かへるやら 山陰伝ふ 四十から (岡田野水)
(71) シメ(秋)
北風はげし 鴲は梢より こぼれ落つ (安田春玲)
(72) ジュウイチ 慈悲心鳥(夏)
注釈 じひしんちょう(ジュウイチの別称) ジヒシンと鳴く。
蚊も喰はで 慈悲心鳥の 鳴音哉 (高桑闌更)
(73) スズガモ 鈴鴨(冬)
鈴鴨の 声ふり渡る 月寒し (服部嵐雪)
(74) ❶ スズメ 雀(無季)
草紅葉 何に飛び立つ 雀かな (寺田寅彦)
❷ 雀の子(春)
雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る (小林一茶)
われと来て 遊べや親の ない雀 (小林一茶)
雀子や 走りなれたる 鬼瓦 (内田鳴雪)
④https://www.pinterest.jp/pin/716283515717988801/より引用の走るハクセキレイ
せ〜ち) (75) ❶ せきれい 鶺鴒(秋)
鶺鴒の なぶり出しけり 山の雨 (小林一茶)
鶺鴒の とどまり難く 走りけり (高浜虚子)
❷ せきれい 石叩(秋)
注釈 セキレイの別名。尾を絶えず上下に動かす習性から。
谷底を 一つ歩けり 石たゝき (原石鼎)
(76) セッカ(夏)
聞くならば 青田の雪加 夙く来ませ (川島彷徨子)
(77) センダイムシクイ(夏)
朝餉の座 仙台虫喰を きくは誰 (水原秋桜子) (78) たか 鷹(冬)
鷹一つ 見つけてうれし いらご崎 (松尾芭蕉)
大北風に あらがふ鷹の 富士指せり (臼田亜浪) (79) タゲリ(冬)
畔ゆけば さとき田鳧が まず翔てり (秋湖)
(80) タヒバリ(秋)
たひばりの 翔けて柴刈り 来りけり (柳芽)
畔雲雀 夕波あかりに 見えにけり (中村草田男)
(81) タンチョウ(冬)
丹頂の 朝日戴く 冬至かな (飯島吐月)
(82) ちどり 鵆
闇のや 巣をまどはして 鳴く鵆 (松尾芭蕉)
(83) チュウヒ(冬)
ちゅうひ翔つ 朽木の白き 原野より (紫蓮女)
(84) チョウゲンボウ(冬)
観音の 鳩にとくなれ 馬糞鷹 (小林一茶)
⑤http://www.tousan13.com/?p=13612より引用の雪上のツグミ
(85) ツグミ(秋)
鶫飛び 斑雪に落す 声短か (堀口星眠)
(86) ツツドリ(夏)
筒鳥を 幽かにすなる 木のふかさ (水原秋桜子)
(87) ツバメ 燕(春)
盃に 泥な落としそ むら燕 (松尾芭蕉)
大津絵に 糞落しゆく 燕かな (松尾蕪村)
海面の 虹をけしたる つばめかな (宝井其角)
(88) ツミ(冬)
天辺に 聴く風音や つみ翔てり (末廣)
(89) トキ(秋)
鴇啼て 雲に露ある山路哉 (拳白)
(90) トビ
流れ鳶 ながし春日 ゆるぎなし (上村占魚)
(91) トラツグミ(夏)
虎鶫 累代の闇 裏戸より (木村蕪城)
(92) とりくもにいる 鳥雲に入る(春)
注釈 春、渡り鳥の姿が雲間に入り、見えなくなる光景。
鳥雲に 入て松見る 渚かな (加舎白雄) (93) とりさかる 鳥交る(春)
注釈 鳥の交尾など
寺山の 霞の奥や 鳥交む (青木月斗)
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