第2171回 鳥の繁殖は春だけか
①https://petpedia.net/article/573/swallowより引用の春告鳥のひとつのツバメ(体長約17㌢)
人間の思春期をとうに超えて、まだ彼女の「か」の字も経験したことのない独身の男にとっては、やはり若い女性がコートを脱いで、春のファッションで街中に繰り出すようになると、男もうきうきして、今年こそはと彼女探しに没頭致しますように、鳥たちも繁殖期には動き出します。そんな鳥の中で繁殖が始まることを身近に知らせてくれます鳥は、またの名をウグイスと同じく春告鳥の異名を持つ、春先三月半ばに日本に帰ってきます①の写真のツバメです。ご存知のようにこの鳥は、羽虫を主食と致します動物食で、冬になると食糧がなくなり、秋口になりますと、南の国に越冬致します渡り鳥です。ツバメは繁殖経験のあるオスが以前のつがい相手のメスを待ち望みます。
②https://www.ko-yu.co.jp/column/hanshoku/より引用の繁殖期の雌雄のドバト(左がオス、右がメス共に体長約33㌢)
①の項のツバメは渡り鳥で、3月半ばから四月半ばにかけて、つがい相手のメスを見かけて、子育てのために、民家の軒先につがいが協力して営巣し、五月には子育てが始まり、繁殖経験の多いつがいは2〜3回子育てをして、八月頃には子育てを終え、秋口九月からの渡りの準備を始めます。また私たちが街中の公園や駅のロータリーで良く見かける②の写真のドバトは、繁殖時期のピークは4〜5月の春から初夏にかけてですが、ハトは典型的な一夫一婦の鳥です。春は他の鳥同様に繁殖期ですが、ハトは雌雄共にピジョンミルクで年中子育てができるため、一年中繁殖が可能です。多いと一年で5〜7回ほど産卵することもあります。
③https://blog.goo.ne.jp/koumisuzume/e/a3da7e177e1d786fa65eb7ea583985c4より引用の交尾するつがいのスズメ(上がオス、下がメス共に体長約15㌢)
次によく見かけるのは③の写真の私たちに一番身近な存在のスズメだと思います。その繁殖は春から夏頃の主に3〜8月頃ににかけて行われます。一年に二回程度は繁殖すると考えられています。また人に対する警戒心は強いので、写真のような交尾は公園などにいるハトよりも見かけることは少ないと思います。しかし人の生活の傍で子育てを行ないます。そうすることで天敵などから身を守る効果があると推測されています。一方、集団で繁殖する習性があり、20つがい以上がいないと繁殖しないという報告もあり、子育て場所であります木造住宅の減少があり、数を減らしています。
④https://www.birdfan.net/2020/04/03/78626/より引用のつがいのメジロ(左がオス、右がメス共に体長約12㌢)
④の写真は春先では一番に仲睦まじい姿をを見せてくれますメジロです。この鳥は普段は余り街中で見かけることは少ないのですが、春先の繁殖時期になりますと、甘いもの目当てで、早春なら椿や梅の花、春真っ盛りなら桜の花の蜜を吸いにつがいでやってきます。その繁殖、子育ての時期は春本番の4〜7月で、冒頭に記述致しましたようにつがいが協力し合って、抱卵、給餌までこなします。またメジロは寒冷地では一回の繁殖時期では二回くらいなのに対して、南の温暖地では最大四回も子育てし、つがいの仲の良さが究めきます。
⑤https://musashi60.exblog.jp/20918195/より引用のヒナに給餌するメスのウグイス(体長約14㌢)
春先に街中の民家の庭先にも現れ、梅の花の蜜を吸う甘いもの好きのメジロは、しばしば「ホー、ホケキョ」のさえずりで有名な⑤の写真(給餌して地鳴きしかしないメス)はウグイスです。ウグイスはあんまり街中には滅多に姿を現さない代わりに、大きく透き通る鳴き声を発しますが、その鳥の姿はなく、窓を開けましたらメジロがいたというわけです。誰もが知っていますさえずりの鳴き声が有名なウグイスは容姿が知られていません。そんなウグイスが8月始めまで鳴いています。どんな事があったのか、一夫多妻で沢山の子持ちが予想されますこの鳥に、ホトトギスが数多く、縄張り内の営巣に托卵され、繁殖が遅れているかも。
⑥http://sugisanforest.blog.fc2.com/blog-entry-129.htmlより引用の子育て中のカワガラス(体長約22㌢)
⑤の項で意外とウグイスの繁殖が遅くなることがわかりました。ピジョンミルクで、雌雄共に子育てするハトは繁殖期のピークが5〜7月で、繁殖機会も5〜7回もあるといいます。それでは繁殖時期の早い鳥はいるのでしょうかと言うことになります。一番早いのは、⑥の写真で、カラスと名前は付きますが、まったく仲間ではない、カワガラスがその鳥です。カワガラスは一シーズン二回の繁殖をします。一回目は1、2月頃からと、いわゆる年明け真冬真っ盛りのこの期間は、ヒナの餌となる水生昆虫の孵化の直前と重なり子育てに都合が良いのです。4月には同じ巣で二回目の繁殖が始まりますので、カワガラスは一夫二妻といいます。