第1142回 キツツキって
①https://chicodeza.com/amp-freeitems/より引用のキツツキのイメージイラスト
キツツキという名前の鳥はいません。キツツキの漢字表記は「啄木鳥」で、これはキツツキという種類の総称です。またそれを裏付けるように、キツツキの個別名称は「〜ゲラ」とか後ろに古名のケラがつきます。その古名のケラの漢字表記も「啄木鳥」とキツツキと同じ漢字が当てはめられます。また「啄木鳥」は木を『啄(ついば)む』(つつく)鳥の意味ですから、キツツキもケラも同じ事になります。キツツキの仲間で有名なのは②のアカゲラ、③のクマゲラ、④のコゲラの三種です。
②http://karapaia.com/archives/52194463.htmlより引用のアカゲラ(体長約24㌢)
キツツキには、アオゲラ、アカゲラ、クマゲラ、ノグチゲラ、コゲラ、ヤマゲラ、アリスイの七種います。その中でも、キツツキといえば、②の写真のアカゲラがよく代表種に選ばれています。世界中どこにでもいるキツツキです。その亜種の多さも関係しています。日本では北海道に亜種エゾアカゲラが、本州、四国に亜種アカゲラが留鳥として周年生息します。四国での生息数は極めて少なく、九州以南には分布しません。オスの成鳥は後頭が赤い羽毛で覆われ、名前の由来です。
③最大級のキツツキのクマゲラ(体長約46㌢)
③の写真のクマゲラは日本最大種のキツツキです。日本では北海道、東北地方北部にしか生息していません。写真を見てお分かりのように、クマゲラの頭の形は西洋式ハンマーに似ています。このハンマーヘッドの部分か鋭く尖ったクチバシです。後頭の羽毛は伸長する冠羽です。全身は黒い羽毛で被われ、英名のblack woodpecker = 黒いキツツキの由来になっています。種小名martiusは「軍人の」の意で、黒い羽毛が軍服を連想させることに由来します。身近でないクマゲラです。
④最小のキツツキのコゲラ(体長約15㌢)
クマゲラやほかのキツツキと比べて、私たちに最も身近なキツツキといえるのは、④の写真のコゲラです。ハクセキレイやイソヒヨドリと同じように、最近になり街中に進出してきました。体長約15㌢で、スズメと同じくらいの大きさです。日本では全国の亜寒帯の亜高山や帯針葉樹林から亜熱帯照葉樹林まで広く分布します。基本的には留鳥ですが、寒冷地に棲む個体は越冬をします。また、キツツキにしては良く鳴き声を発して、よく「ギー、ギー」ときしむような声はコゲラです。
⑤異色のキツツキのアリスイ(体長約17㌢)
このキツツキの仲間のアリスイだけは、ゲラがつかない名前です。アリスイ(蟻吸)はその名前が示すように木の幹などにいる蟻を長い舌を使って吸い取るように捕食するので、この名前がつきました。また珍しく、日本では北海道、本州北部では夏季に繁殖のため飛来する夏鳥、本州中部以西では冬季に越冬のため飛来する冬鳥です。日本国内だけで渡りを行います。また⑤の写真でもお分かり頂けると思いますが、鳥なのに哺乳類に擬態します。自分の天敵である爬虫類に化身します。