第661回 野鳥のつがい相手との繁殖 -1-
①https://www.illust-box.jp/s/sozai/64648/より引用のイラスト
②http://www2.kobe-c.ed.jp/shimin/kitagawa/contents/magamo/index.htmlより引用のマガモのつがい(奥側がメス、手前側がオス)
前回の第658回では、野鳥達の性について語りましたが、その繁殖期につがいの相手を見つけたとなりますと、人間で言うところの結婚に当たる「繁殖」となります。前回ではマガモの熾烈な「交尾」のための繁殖相手の奪い合いを語りましたが、その壮烈な競争の原因は、雌雄同色ではなくオスは繁殖期にメスに求愛するため、メスが地味な色合いに対して、自らは派手な出で立ちで求愛するし、また派手ながら天敵に狙われる率が高いので、一時期だけの「一夫一妻」となります。
③https://publicdomainq.net/swans-heart-0006711/より引用のオオハクチョウのつがい(左がオス、右がメス)
ちょうどこの③の写真のオオハクチョウのつがいは、②の写真のカンムリカイツブリと同じように「求愛行動」の一環で、偶然でしょうけどお互いの首をハートマークにしています。オオハクチョウはタンチョウと並んで、体長約140㌢と最大級です。岸辺や中州に枯草やトクサやスゲの根・ミズゴケを組み合わせた直径2m・高さ50mに達する円錐形の巣をつくります。最長25年10カ月経過した雌の個体が確認されています。その間ずっとひとつのつがいを貫き通します。あっぱれ。
④https://zukan.com/jbirds/leaf103595より引用の一夫多妻のミソサザイのオス
いままで、この④の写真のミソサザイのようなさえずりが上手い野鳥はそのさえずりの自身からか、「一夫多妻」が多いです。ウグイスやセッカなどを紹介してきましたが、今回のミソサザイを語るにはもしも三鳴鳥が『四鳴鳥』であったなら、ウグイス、コマドリ、オオルリに続いてこのミソサザイが選ばれていたと思います。縄張りを確保し、いくつもの営巣、そして身体に似合わないおおきなさえずり。その自信たっぷりな振る舞いに複数のメスがつがいになるのです。
⑤求愛場型の一夫多妻のキジ
こちらは岩手県と岡山県の県鳥であり、日本の国鳥で、あの昔話の桃太郎にも登場し、その話しの中で勇気を買われた⑤の写真のキジ。写真ではお付きのように二羽のつがいのメスを引き連れて登場しています。そのキジも「一夫多妻」なのですが、キジの場合は公開の場所にてオス同士が、「母衣打ち」などでつがいのメスを争う闘いを繰り広げ勝利したものが「一夫多妻」の権利を得ます。でもつがいとなっても営巣や子育てはメスの役目。ただ近くでボディガード約。この国鳥が…
⑥https://www.nuno666.com/archives/2808より引用の乱婚のカヤクグリのつがい
乱婚、乱婚と言われても、この⑥の写真のカヤクグリやイワヒバリなんかは高山に生息し、いつも餌を巡ってあれこれ探し回っています。またこの二種の性格も正反対までとは言えませんが、人への警戒心が薄いイワヒバリに対して、カヤクグリはその名の漢字表記(「茅潜」「萱潜」)の通りに茅に潜入して生息するほどの用心深さです。その環境も手伝って種の保存の為に、餌が少ない時は「一夫多妻」また餌が多い時は「一妻多夫」として合わせて「多夫多妻」として生息します。