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第1632回 独身鳥のヘルパーさんと親鳥の事情

①http://marandr.com/17679192より引用の赤ちゃんをあやすインコのヘルパーさん

   人間社会でも、哺乳類でも何種類かには、かならず親の子育てを手伝う、親離れしたはずの若い個体が、弟妹の面倒をみているケースがあります。それをヘルパーと呼びますが、鳥も当然います。そんな鳥たちのヘルパーの定義はなんでしょう。       ⑴  自分では繁殖せずに、他の巣の繁殖を手伝う個体のことで、協同繁殖ともいう。                              ⑵  極地や温帯域に少なく、熱帯域に多く、北半球より南半球に多い。オーストラリアは特に多い。   ⑶  オスに多く、死亡率の低い種に多い。低い死亡率では個体群の転換速度を低くする。そのため、独立繁殖の機会が減少し、分散独立を遅らせる。   ⑷  ヘルパーは性的に未成熟な若鳥の場合が多い。
自分の縄張や、繁殖相手を得られなかった個体。
巣作りに利用できる場所や餌の不足が原因か。       ⑸  親の子育てを手伝うヘルパーの場合、自分と共通の遺伝子を多く持つ個体を残せる。子育てを手伝うことによって、繁殖の経験を積み、自分の子育てに役立てることができる。また、繁殖していた個体が死んだ場合、よく知り尽くした縄張りを手に入れる機会が増える。                                       ⑹  ヘルパーが多いほど縄張り面積が広くなり、ヒナへの給餌回数が増加。次の繁殖に移るまでの期間が短くなり、ヘルパーの存在により子育ての成功率が高まり、この性質も高い割合で遺伝する。

②https://www.google.co.jp/amp/s/tenki.jp/amp/suppl/usagida/2015/03/13/2291.htmlより引用の兄弟をヘルパーする若鳥のスズメ(体長約15㌢)

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   ヘルパーする若鳥が非繁殖個体の場合には、血縁ありが多く、繁殖個体の場合は自分の経験をいかす血縁なしの個体が多いです。またヘルパーがいますと、親鳥の生存率も比較的長くなるようです。ヘルパーを行う種は世界で358種(3.9%)で、バンエナガオナガカケスカイツブリカワウオオバンハヤブサコゲラツバメイワツバメカワセミカヤクグリイワヒバリヤブサメシジュウカラホオアカスズメムクドリルリカケスなどで観察されています。

③-1.https://blog.goo.ne.jp/romeo135bb/e/53a914f0e729efa902073872c7025da0より引用のムクドリ(体長約24㌢)の集団生活

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③-2.http://mukudori-bird.com/archives/35より引用のムクドリの群れ

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   ②の写真のスズメと③-1.、-2.の写真のムクドリは身近な野鳥で、ヘルパーをして繁殖期を過ごす野鳥です。しかし、同じヘルパーでも違うところがあります。スズメは本来なら年に2〜3回、20家族以上の大親たちがいて、そこからそれぞれが繁殖して、大家族を結成します。一回目の繁殖で幼鳥となった兄たちが2回目、3回目に産まれたヒナたちをヘルパーします。反対にムクドリは大集団を結成して、もうつがいを組まなくなった元親鳥が、未熟なつがいの子育てをヘルパーします。

④https://www.birdfan.net/2021/06/11/82564/より引用のヤブサメ(体長約10㌢)

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   身近でない野鳥の④のヤブサメは夏鳥で、その名が示しますように生息地が藪中でしかもウグイスの仲間です。ウグイスの繁殖は一夫多妻の完全なオス主導型で、そんなウグイスの仲間であるヤブサメは一夫二妻の繁殖形式をとります。またその子育てもヘルパーを使って子育てをしますが、そのヘルパーは全てオスで、あまり手伝わず、さえずっていて、ヒナが巣立つとつがいのオスが世話をし、メスは離れた別の巣でヘルパーだったオスと二回目の繁殖をします。密男されたようです。

⑤https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ハリオハチクイより引用のハリオハチクイ(体長約28㌢)

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   ⑤の写真はブッボウソウの仲間で蜂が主食だと言う日本では迷鳥のハチクイです。飛びながら蜂を捕獲し、毒針を抜いてから食べるといいます。また仮に刺されても抗体ができていて平気みたいです。このハチクイのヘルパーの使い方は変な親親のようです。巣立った若鳥の息子が首尾良く結婚して子育てを始めると「実家に戻ってヘルパーをしておくれ」と誘いに来て、親は息子の新居に足繁く通い、懇願しておだてて、ついには実家に連れ帰ってしまいます。成功率は40%らしいです。

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