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第2027回 「玄鳥至 (つばめきたる)」

①https://www.birdfan.net/2017/09/08/55324/より引用の春先に産まれ故郷に帰って来たツバメ(体長約17㌢)

   前回のスズメの項のタイトル同様に今回も七十二候より「玄鳥至」に致しました。スズメは私たちにとっては本当に身近な鳥で、一年を通じてその姿を毎日見せてくれている鳥です。ではツバメはといいますと、大体やってきますのは、地域差もあるでしょうが、私の住む街には3月中旬から約半年において、つがい相手を見つけ、巣作りをし、そして子育て、幼鳥から若鳥になるまで産まれ故郷で育て、秋と共に一家や仲間たちと、集団結集し、越冬のために南国に渡って、翌年の春先には戻って来て、繁殖活動を繰り返し続けています。

②https://www.j-muse.or.jp/rika09/summer/pr04/index.htmlより引用のつがいのツバメ(左がメス、右がオス)

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   七十二候の「玄鳥至」(玄鳥=ツバメの古名)では、4月4〜8日がツバメが帰ってくるおおよその日でありますことを表していますが、実際には三月中旬項で、要するに春にツバメが現れるということになります。当初に帰ってきますのは、前年に子育てを終えたオスの成鳥です。このオスたちはその年の古巣があるところに、前年のつがい相手のメスが戻ってきますのを待つわけです。もしお相手が現れない時は新しくつがい相手を探すことになります。ツバメは②の写真でお分かり頂けるように雌雄同色で、写真のように左のメスに比べ、尾羽が長いのがオスということになり、この尾羽が長いほどオスはモテるといいます。ツバメは一夫一妻ということになっていましたが、最近のDNA鑑定では、メスの浮気で産まれて来たヒナの一割程度は、つがい外の子供をつがい相手のオスが育てているようで、人なら裁判沙汰ですね。 

③-1.http://mastax0416.livedoor.blog/archives/9555570.htmlより引用の巣材を運ぶツバメ

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③-2.https://www.advan-group.co.jp/times/tsubame_sudukuri/より引用のつがいのツバメ揃っての巣作り

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   繁殖期は4月から8月で、おもに一夫一妻で年に1~2回、多い時は3回も繁殖をします。 民家の軒下などに雌雄で口から分泌される唾液などを練り込むことで強度を高め、少しずつ泥を重ねていくことでお椀状に作り上げます。他の鳥の中には、巣作りはメスに任せっきりとか、巣材を運ぶオスと巣作りするメスとかある中で、ツバメは巣材も巣作りもつがいが平等に作っていきます。ヒナは巣立ち後、数日間は巣の近くにいて、親鳥から餌を貰います。 2週間ほど経つと、親鳥から離れて、水辺の葦原等で、集団で夜を過ごす様になります。

④https://tenki.jp/amp/suppl/usagida/2016/03/13/10751.htmlより引用の雌雄で子育てするつがいのツバメ

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   ツバメの子育て期間は、約1ヶ月半です。一日ひとつずつ卵を生み、全部で5〜6個の卵を生みます。孵化する時期をあわせるため、はじめの数個を生んだ時点では、抱卵せず、産卵を初めて3〜4日後に抱卵を開始します。これも自然の知恵だと思います。ツバメでは雌雄で抱卵を行い、昼も夜も交代で座り続けます。親鳥が巣にすっぽりはまりこんだようにじっと座っていれば、抱卵しているのに違いありません。しかし、最近の観察結果ではメスの抱卵率は約97%と圧倒的に多く、オスはやはり外に出て、メスのために餌を集めているのではないでしょうか。これも一昔前の日本の家庭の働くお父さんの姿を見ている様に思えます。

⑤-1.https://a3dea4.exblog.jp/32289297/より引用の幼鳥に給餌する親鳥のツバメ

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⑤-2.より引用の渡り前のねぐらとなる葦原でのツバメ

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   ツバメのヒナは孵化してから20日前後で巣立ちます。ヒナから幼鳥となりますが、③の項に記述する様に、まだまだ自分で餌を摂ることが出来ず⑤-1.の写真のように、親鳥から給餌されます。ツバメの餌の捕獲は空中を飛ぶ羽虫をクチバシを開けて捕獲しますので、充分な飛行技術が必要です。このように時期を経て幼鳥から若鳥となる時に、ツバメの二つ目の七十二候の玄鳥去(つばめさる)」がやってきます。ツバメは羽虫が主食の肉食で、羽虫がいなくなる晩秋や冬では生息出来ません。そのため、七十二候では、9/17~9/21頃に越冬のための渡りが始まります。この頃になりますと親鳥は若鳥を連れ立ち、仲間を伴って⑤-2.の写真のように葦原にねぐら入りし、数日後に産まれ故郷の日本から三千㌔以上先に渡っていきます。


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