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第2012回 よそものだった鳥
①https://global.canon/ja/environment/bird-branch/bird-column/biodiversity5/index.htmlより引用のよそものの鳥のイラスト
前回では、よそものとして、日本では外来種の鳥として法律により認定された鳥を紹介致しました。新しいものでは、以前はペットとして飼われていた、大型インコの仲間のワカケホンセイインコ、ソウシチョウやガビチョウは昔からではやはりペットとしてさえずりが美しいと飼われ、その後、鳥の習性上の気の荒さや、鳴き声の大きさなどの理由から、捨てられて野生化した鳥とか、今では、外来種であることすら忘れられている存在のカワラバト転じてのドバトとか、どれをとっても彼ら自身が悪くなく、人間のエゴによって、悪者扱いされた鳥たちもいれば、以前いた生息地の環境の変化で、自ら新転地を求めて流れ着き、今では、日本の鳥になりましたが、以前には「よそもの」だった鳥達を、今回は紹介して参ります。
②-1.https://www.birdfan.net/2018/06/22/63249/より引用のつがいのキジ(奥がオス体長約80㌢、手前がメス体長約60㌢)
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②-2.http://tsmzen.com/ikimono/ikimono_kouraikiji.htmlより引用のつがいのコウライキジ(左がメス体長約53〜62㌢、右がオス体長約75〜89㌢)
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②-1.の写真は昔話の「桃太郎」に登場致しましたキジです。性的二型のためつがいで紹介してあります。この鳥は皆さんもご存知のように日本の国鳥にも指名され、また紙幣にも登場致しました日本を象徴致します押しも押されもしない鳥であることに間違いはないのです。しかし、このキジを調べていきますうちに、この鳥は他から移入されたのではないかの疑問が浮かび上がります。日本と言う国自身も島国で、大陸から分離され出来た国だといいます。その際に大陸にいた民族が今の日本人になったとも言われます。②-2.の写真はその大陸に生息していましたコウライキジです。またそのコウライキジによく似ていますタイリクキジも生息致します。色んな説が飛び交う中で、コウライキジの亜種が日本のキジともいいます。
③-1.https://www.birdfan.net/2018/05/25/62690/より引用のつがいのスズメ(左がメス、右がオス共に体長約15㌢)
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③-2.https://zukan.com/jbirds/leaf92326より引用のつがいのニュウナイスズメ(左がメス、右がオス共に体長約14㌢)
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今、私たちの一番身近にいる鳥であると言うことをいい切りましても、どなたにも異論はないと思うほど、③-1.のスズメは私たちにはお馴染みの鳥だと思います。毎朝、自宅の近くにぴょんぴょん跳ねながら餌を漁っています。人に寄り添って生息しているわりには、人が近づくところころ転がるように茂みの奥に隠れます。そんなスズメも、遠くの昔にアフリカ大陸あたりから農耕技術の伝来と共に流れて来たといいます。元来遠くの日本の民家の周りには今のスズメが生息するように、③-2.の写真のニュウナイスズメがいたといいます。平安時代の文献に貴族、藤原実方が恨みでこの鳥に変身しわ宮中(内廷)に入り、米を喰い表す妖怪「入内雀」と言う物語や「舌切り雀」の雀がこの鳥であるとかいう説もあります。また今いるスズメはヨーロッパに生息していました時にイエスズメに生息地を追われて、日本に辿り着き、ニュウナイスズメを山野に追いやり、今に至ります。
④-1.http://jjb-3.asablo.jp/blog/2019/02/17/9037047より引用のつがいのヒヨドリ(左がメス、右がオス共に体長約27㌢)
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④-2.https://www.google.co.jp/amp/s/sasatto.jp/article/special/niceview_kitakyushu/entry-800.html/tpl/amp.htmlより引用のヒヨドリの渡り
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④-1.の写真は雌雄同色のヒヨドリですが、この写真に限っては雌雄の区別がはっきり出ていると思いましたので、掲載致しました。ヒヨドリは皆さんもご存知のように「ヒーヨ、ヒーヨ」と一年を通じて大きな鳴き声を放つ鳥で、名前の由来も鳴き声そのままです。ヒヨドリは「留鳥」と記されています。しかし、④-2.の写真のように、関門海峡や伊良湖岬のヒヨドリの大群をなしての渡りは有名です。留鳥てはあるものの寒冷地に生息するものは、越冬のために温暖地に渡りを行う「漂鳥」であるとも記されています。この鳥は平安時代で貴族社会に可愛がられ飼われいたようですが、その頃は朝鮮半島から渡って来た越冬の渡り鳥だったのが、日本の気候を気に入り、やがて「留鳥」化したといいます。しかし寒冷地に住む物は以前の渡りの本能がよぎり「留鳥」します。
⑤-1.https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/hakusekirei-segurosekirei-chigai-miwakekata/より引用のハクセキレイ(体長約21㌢)とセグロセキレイ(体長約21㌢)
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⑤-2.https://www.birdfan.net/2019/03/01/68587/より引用のキセキレイ(体長約20㌢)
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日本の古文書の「日本書紀」に日本の国を創設致しました神々のイザナギ、イザナミの二柱が、国生みの一書に、二柱が交合の仕方が分からなかったところ、セキレイが現れ、頭と尻を振る動作を見て交合の仕方を知ったとあります。もしこの鳥が現れなかったら、現在の日本はなかったとなるわけです。それほど重要な役割をこなし、今でも結婚式で古式ゆかしくされる式の会場には「鶺鴒台」なるものが飾られています。日本書紀には「セキレイ」としか表記されず、日本の身近なセキレイには⑤-1.の写真のハクセキレイとセグロセキレイ、⑤-2.の写真のキセキレイの三種が生息していまして、またツメナガセキレイ、キガシラセキレイ、イワミセキレイの三種が加わり、六種となります。しかし、その当時の各セキレイの生息地を調べてみますと、その当時に該当するのはセグロセキレイとなり、今では日本固有種に制定されました。そしてイワミセキレイ、キガシラセキレイ、ツメナガセキレイは日本には渡りの途中で立ち寄る旅鳥でよそもの、またハクセキレイはタイリクセキレイの亜種と言う事で、キジや日本人と同じく、大陸からの鳥である事がいわれます。