第737回 家族を守るため擬傷するコチドリ
①https://www.ttrinity.jp/product/2523796より引用のイラスト
「擬傷」という行為をご存知でしょうか。親鳥が巣やヒナを外敵から守るために、結果を予測して行動するわけではないのですが、自然の知恵ともいうべき、選択的に定着した反射的行動といえると思います。これは何も②の写真のコチドリだけでなく、チドリ類、シギ類、カモ類、シギ類、キジ類、ライチョウ、ヨタカ、ホオジロ、ホオアカ、ヒバリ、ビンズイ、サンショウクイで知られます。地上に単独で営巣する野鳥や巣やヒナが外敵の目に留まりやすい種に特に発達しています。
②コチドリ(体長約16㌢)
コチドリは「シギチ」の仲間で、河原などの水辺に生息しますが、日本ではコチドリが夏季に本州、四国、九州で繁殖する夏鳥で、西日本以南の暖地では少数が越冬する留鳥です。南西諸島では冬鳥として飛来します。千鳥足は「チドリ」の歩き方に由来します。通常、鳥の足には後ろにも支える趾(あしゆび)がありますが、チドリの指は前三本で後ろに趾がなくよろめいた歩き方をするため、支えられるようになりました。 そのおぼつかない足取りを酔っ払いに例え千鳥足といいます。
③https://bekkann2.exblog.jp/24011506/より引用のコチドリのつがい(左側がメス、右側がオス)
チドリの漢字表記は簡単な千鳥を始め、鵆と鴴があります。そしてチドリはチドリの仲間を表す総称です。②〜⑥の写真のコチドリは私たちにとっては最も身近な種と言えます。チドリのほとんどは「旅鳥」で渡りの途中で日本にやってくる種が多いのです。またメスよりもオスの方がやや大型で、上面と下面の羽毛の色彩が非連続的に分断された色彩の種が多く、これにより輪郭をとらえにくくなり保護色になると考えられています。また③のように雌雄同色の野鳥です。
④https://tmyfharada.at.webry.info/201505/article_9.htmlより引用のコチドリの営巣
「千鳥足」の本家本元のひとつのチドリの仲間のコチドリ。④の写真をご覧いただいたら承知されると思いますが、こんな河原の真ん中に、失礼ながらこんな粗末な石ころを並べただけの営巣で、一家を構えるのです。いくら先程語りましたが、コチドリが周りの景色に溶け込む保護色かもしれませんが、地上での外敵がうろつけば、その保護色すら怪しいものとなってしまいます。またその外敵を素早く見つけるために、身体の割に大きな目玉をつけていているのが特徴といえます。
⑤https://www.google.co.jp/amp/s/sdknz610.exblog.jp/amp/19696443/より引用のコチドリの擬傷
そこでこのコチドリを始めとするチドリの仲間や、地上に営巣する野鳥たちが編み出したのが、自然の知恵であろう「擬傷」という行為だと思いましは。かって、私は地表にやはり営巣するヒバリの巣を知らず知らずのうちに近づいていたのです。するとその巣のある茂みから親鳥か転がるように羽をバタつかせて、鳴きながらでてきました。ハッとそちら方向に目が行き、眺めていきました。この行動が「擬傷」です。コチドリも⑤の写真のように「擬傷」して家族を守っています。