第1471回 裁縫する鳥
①https://buhitter.com/search?q=野鳥より引用のイラスト
日本の昆虫でもハマキムシという虫がいて、植物の葉を丸めて、自分の出す糸で葉巻のような囲いを作り、春になると蛾になって飛び立つ虫がいます。自分で糸を使う器用な蛾の幼虫です。鳥類の中にもこんな器用な鳥がいます。インドから中国南部にかけての南アジア、フィリピンを除いた東南アジアと広く分布するマングローブの森に生息しているオナガサイホウチョウです。英名をテーラーバードという文字通りの裁縫師です。虫と同じように、生地には木の葉を使うみたいです。
②-1.http://photozou.jp/photo/show/202143/12749142より引用のオナガサイホウチョウ(体長約12㌢)
②-2.https://www.pinterest.ca/pin/146789269088744811/より引用のアカガオサイホウチョウ(体長約10㌢)
②-3.https://secure.birds.cornell.edu/cassso/login?service=https%3A%2F%2Febird.org%2Flogin%2Fcas%3Fportal%3Debird&gateway=true&locale=jaより引用のズアカサイホウチョウ(体長約11㌢)
「えっ、鳥が裁縫なんかできるの」という声が聞こえてきそうですが、この鳥はまさに人間がするような裁縫を行う鳥です。では、サイホウチョウとはどのような生態をしているのでしょう。②の写真はオナガサイホウチョウで、他にはアカガオサイホウチョウ、ズアカサイホウチョウの三種がいます。民家の近くに巣を作ると言いますから、日本で言えば、スズメより少し小さな鳥だといえます。巣は露出した空間には作らず、メスが枝の大きな葉をクモの糸で袋状に縫い合わせます。
③https://www.google.co.jp/amp/s/www.excite.co.jp/news/article-amp/Karapaia_52289862/より引用のオナガサイホウチョウの巣作りの最初
サイホウチョウの特徴は、何といっても巣作りにおいてみられる裁縫です。一,二枚の大きな葉を折り畳んだり、裁縫したりして巣を作っていきます。巣作りを行うのはメスで、巣は小さい木や藪の中に造られます。クチバシを我々が裁縫する時の針のように使い、葉の縁に穴をあけ、そしてクモの糸を通して裁縫をしていきます。クモの巣の糸がない時には、草などを用いて糸の代わりにします。その作業中オスは見張り役をしています。
④https://blog.goo.ne.jp/to3300/e/cec6f177d235431431e8dec45ff66d98より引用のオナガサイホウチョウの巣作りの途中の様子
この④の写真はサイホウチョウの巣作りの途中経過の出来栄えを表すための写真です。サイホウチョウが玉結び・玉止めの代わりに使うのは粘液の塊らしいです。どこから分泌するのかわかりませんが、穴から糸が抜けないようにしっかり止めてあるそうです。人のように、裏と表に交互に糸を通し、並縫いとか返し縫いはやりません。一箇所ずつ鋲のように止めていくそうです。二枚の葉を袋状に縫い終えると、植物の綿毛や草などを詰めていき、その途中経過を写真で表しています。
⑤-1.https://ameblo.jp/megu-lancholy/entry-12508922416.htmlより引用のオナガサイホウチョウの巣作りの仕上げ
⑤-2.http://koharu2009.blogspot.com/2011/06/blog-post_5386.html?m=1より引用のサイホウチョウの巣の完成
⑤-1.のイラストのような過程を経て、⑤-2.のように巣は完成します。植物の綿毛や草などは、人間のベッドのように、快適なクッションとなり、産まれてきた雛を守ります。その仕上がり具合を見てみると、葉に2㌢間隔ぐらいでいくつか穴を開けて植物の繊維を穴に通し、繊維の端はほつれないようにからめて完成させます。クチバシ一本で仕上げるのですから見事としか言いようがありません。袋状の巣を身体のクチバシと趾(あしゆび)の爪だけを使って五日ほどかけて作り上げます。
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