第1864回 烏と鴉って両方ともカラス
①-1.https://kotori-pastry.com/karasuwounitukau/2483/より引用の右の烏(ハシボソガラス体長約50㌢)と左の鴉(ハシブトガラス体長約56㌢)
私は昔からカラスの漢字名が『烏』と『鴉』の二文字あることが不思議でたまりませんでした。調べると『烏』は同じく黒い身体の「ウ」もこの漢字を当てはめています。しかしカラスの場合はハシボソガラスの漢名であり、コクマルガラスの事でもあり、またカラス類の総称ともいわれます。
よく言われるのは、黒い鳥で、眼がどこに有るかわからないので、鳥の目の部分を減らした象形文字です。だから「ウ」にも当てはめているのです。しかしややこしいから「ウ」にももう一つ『鵜』という漢字が当てはめられます。また難しくいいますと、古代中国では反哺の習性があるものを烏、ないものを鴉としました。この文字には『黒い』や『太陽』の意味があるという事です。
①-2.YouTubeより引用の漢字の烏と鴉
もう一つの『鴉』は〔あ〕とも読み、ハシブトガラスの漢名です。ハシボソガラスとは違い反哺しないほうのカラスです。漢字の左側の「牙」は音を表す意味もあります。変わった音を出す鳥の意味で、どちらも鳴き声を模した擬音語由来です。
反哺の考えが生まれてから吉鳥となりました。中国神話では太陽にも三足鳥が棲むといい、太陽の象徴です。熊野神社で有名な八咫烏のことです。
②https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/hashibosogarasu-hashibutobarasu-chigai-miwakekata/より引用のハシボソガラスとハシブトガラス
ハシボソガラスとハシブトガラスの身体の比較は ⑴ 体長 ❶ ボソは(平均)46~54㌢(50㌢) ブトは❷ 53〜60㌢(56㌢) ボソより13%多い ※1. 体長はブトの最小個体とボソの最大個体が同じくらい
⑵ 体重 ❶ 320~686g(503g) 1. メス480g 2. オス550g
❷ 600g ~750g(670g) 1. 600g 2. 730g
⑶ 脳の重さ ❶ 8.8g ❷ 10.7g
⑷ 眼球の重さ ❶ 3g ❷ 3.4g
⑸ クチバシ ❶ 細い 直線的 ❷ 太い カーブしている
⑹ クチバシの長さ ❶ 5.3㌢ 1. 45.1㍉ 2.52.6㍉
❷ 6.8㌢ 1. 62.7㍉ 2. 71.1㍉
⑺ クチバシの太さ ❶ 1.9㌢ ❷ 2.7㌢ ボソより42%多い
⑻ 舌の長さ ❶ 2.7㌢ 1. 26.4㍉ 2. 27.6㍉ ❷ 3.0㌢ 1. 28.3㍉ 2. 30.7㍉
⑼ 舌の幅 ❶ 0.8㌢ 1. 7.6㍉ 2. 8.2㍉ ❷ 1㌢ 1.
9.3㍉ 2. 10.1㍉
⑽ 額 ❶ 出っ張っていない ❷ 出っ張っている ※2. ブトのおでこの出っ張りは骨ではなく羽毛なので、雨の時やまだ羽毛が伸びきってない個体では出っ張りは小さい
(11) 羽の金属光沢 ❶ 艶がない ❷ 強い
(12) 翼 ❶ 翼は尾の先端近くまである 青っぽい 羽ばたきが大きい ❷ 翼は尾より短い 赤紫
羽ばたきは軽くて浅い
(13) 換羽 開始(雛の巣立ち後) ❶ 5月下旬 ❷ 6月上旬 終了 ❶ 9月中旬 ❷ 10月上旬
(16) 初列風切の換羽期間 ❶ 105日前後 ❷ 115日前後
(17) 羽ばたき ❶ 深い ❷ 浅い
(18) 飛行時の尾羽 ❶ 短め 角張る ❷ 長め 丸い
(19) 巡航速度 ❶ 時速40㌔ ❷ 時速36㌔
(20) 歩き方 ❶ ほとんどウオーキング ❷ ウォーキングとホッピングも
(21) 鳴き声 ❶ ガー 濁っている あまり鳴かない
❷ カー 澄んでいる よく鳴く
(22) 周波数 ❶ 高い 1~8kHz
❷ 低い 0.5~6kHz
(23) 最大音圧周波数 ❶ 1.7kHz ❷ 1.3kHz
(24) 最高周波数 ❶ 10.4kHz ❷ 6.1kHz
(25) 鳴く姿 ❶ 頭を上下して鳴く ごめんなさい
❷ 尾を上下して鳴く 頭を突き出し、高圧的
(26) 幼鳥の声 ❶ ガー(めったに鳴かない)
❷ ウンアー
(27) 分布 ❶ 広い 北方系 極東からヨーロッパまで
❷ 狭い 南方系 アジアの東部と南部
(28) 渡り ❶ 北部で繁殖した者は南部へ
❷ あまり移動しない
(29) 精巣 ❶ 3~4月に最大値 ❷ 5月に最大値
(30) 営巣場所 ❶ 常緑樹52% 落葉樹25%
木の中ほど
❷ 常緑樹が多い(92%) 木の高い所
(31) 繁殖開始時期 ❶ 葉が芽吹く前
❷ 木の葉が茂ってから ボソより20日遅い
(32) 卵の重さ ❶ 19.4g ❷ 23.6g
(33) 人への攻撃 ❶ 人を襲わない ❷ 人を襲う
(34) 生息環境 ❶ 田園地帯、川 地上
❷ 森、日本では都市部 樹上
(35) 食性 ❶ 農作物を好む 草の実
植物性が強い クルミを車にひかせる
樹木の種子を好む 木の実
❷ 肉食性が強い ロウソクや石鹸も食べる
(36) 食べ方 ❶ その場で ❷ 安全な場所に移動してから
(37) 貯食 ❶ あまりしない ❷ よくする
(38) ペリット ❶ 親指大 糞のようにしっかりした形
❷ ぺちゃっとしている 形がハッキリしない
③https://www.froebel-tsubame.jp/shopdetail/000000008145/より引用のカラスの身体のイラスト
⑴ 脳→カラスの脳は14g(人は1,250g~1,390g)
⑵ 眼→0.5ルクスほどの暗さでも図形の識別ができるので、夜でも飛べる
網膜の神経節細胞は約350万個(人は100万個)
本物の肉と食品サンプルを的確に見分ける
⑶ 臭覚→臭覚の発達が弱く、臭神経はハトの1/3の細さ
⑷ 耳→外耳道の入り口は直径6mm
⑸ 鳴き声→メスはオスに比べて発声器官が小さいため、周波数が高い。
⑹ 舌→普通の鳥には舌に固有舌筋がないが、カラスにはある 舌には丈夫な突起が喉に向いて、『かえし』状となり、一度飲み込んだ餌が滑り落ちない構造となる
⑺ 餌袋→そ嚢は無い。
口腔内から咽頭にかけての部分が大きく広がり、
貯食するとき、この袋に食物を詰め、運搬する。ハシブトガラス、ホシガラス、カケス、カワラヒワなど
④-1.YouTubeより引用のカラスの生活
④-2.http://www3.famille.ne.jp/~ochi/kaisetsu-01/02-kakubu-meisho.htmlより引用の翼の構造の図解
⑻ 食事量→一日の食事量は100g
⑼ 消化管→食道10㌢ 腺胃2㌢ 筋胃4㌢ 小腸88㌢ 直腸1.5㌢
⑽ 精巣→非繁殖期 長径3㍉ 繁殖期 長径15㍉
(11) 羽→ハシボソガラスの羽は紫色の光沢ある黒色だが、春期換羽しないため、夏羽は光沢なく、褐色を帯びる。黒いので太陽の光を吸収し、暑そうに感じるが、光沢があり、光を反射するので、体温の上昇を防ぐ
(12) 換羽→ヒナの巣立ち後に換羽開始
❶ 初列風切→1~から始まり、次列風切より先に終了
❷ 次列風切→初列風切5~6まで進んでから次列風切1~風切で最後は次列風切6まで
❸ 三列風切→次列風切より早く始まり、早く終わる
❹ 尾羽→初列風切4まで進んでから、中央尾羽~
初列風切より先に終了
(13) 行動範囲→最大で40km(片道一時間)
(14) 頭部の脱羽→春~初秋の換羽期間に起こる。
カササギ類で特に多く、頭の全ての羽毛を一度に換羽
⑤-1.https://www.birdfan.net/2016/04/15/42549/より引用のハシブトガラスのつがい(左がオス、右がメス)
カラスの雌雄は⑤-1.の写真のように、オスの方がやや大きく、個体差の範囲内です。額や肩が角ばっているのがオス。なだらかなのがメス。ハシブトガラスのクチバシの長さ(②の項の⑸参照)もオスが長いです。巷ではつがいでゴミ置き場の生ゴミを漁る時に、近くの電線などから見張り役をするのがオスで、袋を破り生ゴミを出す実行犯がメスです。メスは抱卵斑で腹部が白くなり、繁殖中なら抱卵しているのがメス。カラスの仲間では抱卵はメスのみです。抱卵中のメスにオスが給餌するときは巣の近くに餌を置くようです。(鳴き声はガララ)ヒナに餌をやるのも殆どがメス。人を攻撃するのはハシブトガラスのオスのみ。つがい関係は生涯続きます。見た目よりかなり献身家です。
⑤-2.https://www.advan-group.co.jp/times/kenzan_hansyokuki/より引用のカラスのヒナ
⑤-3.https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アオムネカラスフウチョウより引用の祖先とされるアオムネカラスフウチョウのイラスト
カラスの繁殖期の求愛はオスは尾羽を広げ、頭を上下に振って、メスの周りを踊って歩きます。繁殖期は春真っ只中の3月~4月中に巣造り完成させ、4月に産卵します。一日一卵、3~5卵産卵し、順次抱卵します。孵化しないものが一卵ほどあり、巣立つのは二羽ほどです。ヒナの孵化直後の体重は14gくらいで、一卵目から抱卵しますので、最後のヒナが孵化するのは五日ずれることになります。孵化後七日で眼が開き、十日後、風切羽が生え始めます。孵化後2~3週間まで、口の中が赤く、成長に伴いピンクになります。舌の先端から黒くなります。口腔内は咽頭まで真っ黒になるには三年かかるようです。幼鳥の羽は褐色です。良く子育て中のカラスが攻撃するといわれるのはハシブトガラスのオスだけです(②の項の(33)参照)。ガララララとしゃがれた声で鳴いてから、攻撃します。人でいうと親戚にあたるのが、美しさで有名なフウチョウと共通の祖先です。良く見るとメスのフウチョウはカラスと似ています。
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