第1168回 鱗のある鳥
①https://tsurinews.jp/110770/より引用の魚のタイの鱗
うろことネットで検索すれば「鱗」と漢字に変換されます。魚編だから当然に画像を検索しても①のように鯛などの魚の鱗が現れます。鱗を持っているのは、絶滅した恐竜は別として、鱗を持つ生き物は、そこから分かれた魚類、爬虫類、哺乳類では、ネズミ目の尾などに角質の鱗があり、センザンコウ類には、二次的に発達した鱗が背面全体を覆います。鳥類は正に恐竜の分け目だと思います。鳥類では、一説には鱗から羽毛が進化したとも言われ、鱗はありませんが、名残はあります。
②https://jp.123rf.com/photo_16340485_爬虫類の鱗、テクスチャ背景のクローズ-アップ.htmlより引用
②は爬虫類の鱗の写真です。爬虫類の鱗は、魚類の鱗と違い、表皮起源です。基本的には硬質タンパクのケラチンを主体とした角質で構成されているため角鱗と呼ばれます。魚類の場合、皮膚の表層に板状の鱗が埋め込まれた構造になっていますが、爬虫類では、皮膚の一番外側の厚く角質化した層が、動きやすいように小片に分割されたものです。爬虫類の鱗は鱗の下に生きた組織があり、周期的に皮下で新しい角質が生成し、外側の古くなった部分は脱皮という形で生え変わります。
③http://photozou.jp/photo/show/169066/168722729より引用の単鱗状のツグミのお腹
鳥類の鱗の概要を冒頭に説明いたしましたが、その鱗の名残は鳥類の脚にあります。脚の鱗の起源については、何十年も前から研究者の興味を引いていて、二つの考え方があり、⑴ 鳥の鱗は爬虫類の鱗がそのまま残ったもの ⑵ 鳥の鱗は二次的に羽毛に由来する構造物 の二点が挙げられます。鳥の足にある鱗は、いくつかの種類に分けられますが、主に中足骨・指骨の背面にある楯状鱗と側面腹側面にある網状鱗があります。鳥類の楯状鱗は爬虫類の鱗よりも鳥類の羽毛に近いものです。
④http://blog.motosu.net/?eid=1090457#gsc.tab=0より引用のカケスの顔の蛇腹状の鱗
鱗の形状を身体に表しているのが、③の写真の単鱗状の毛並みをお腹に持つツグミと④の写真の蛇腹状の毛並みを頭頂部にもつカケス、写真はありませんが、水掻きに網目状の鱗模様を持つのがチドリがいます。水鳥の脚に関しては、脚と趾の脚鱗は爬虫類の鱗と同様で、ツルの仲間は蛇の腹部の鱗に似ており、コウノトリは六角形です。カモ類は鱗状で、ガンは網目状になっています。水掻きの鱗は網目状に広がり、ヒレアシシギ等の趾の縁に発達する鱗状の弁膜は一つ一つが鱗状です。
⑤https://note.com/hiho2351/n/n9ba3c812d807/editより引用の蛇に擬態するアリスイ
猛禽類の脚と趾ではサシバ属は脚の前部は鱗板で、側面は網目状です。ハイタカ属は前部は斜めの鱗板で覆われ、部分的に羽毛で覆われます。ツルたちは脚の前方は蛇の腹状の鱗。後方は網目状の鱗を有しています。ヒヨドリはふ蹠の鱗模様はほとんど消失して皮膚のように見えますし、小型のスズメ目の鳥は鱗がなくなる傾向があります。そんな鳥類の中で、⑤の写真のアリスイはご覧のように、爬虫類のような鱗模様をもち、舌の長さも体長約17㌢に対して、10㌢。まさに爬虫類。