第1691回 卵生の鳥
①https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=鳥の卵より引用のイラスト
鳥類が卵生の理由(脊椎動物の綱で、胎生の種が一種もいないのは鳥類だけ) ⑴ 飛行の制約→飛行に大きな負担が掛かり、胎生になれない。
反論→❶ コウモリは、体重の40~44%の重さの胎児を抱えて飛行する。
❷ 渡り鳥は20~30%、時には100%にもの蓄積脂肪を抱えて飛行する。
❸ 飛べない鳥には全く関係がない。 ⑵ 性ホルモン→哺乳類の場合、性染色体がxyだとオス、xxだとメス。子宮の中の胚は胎盤で母体とつながり、酸素や栄養素を受ける。胎児がオスの場合、母体のメスホルモンがメス化させてしまう危険性があるが、胚の中のy染色体がメス化から守る働きをする。鳥の場合、zw型(性染色体を均質化で持つとオス、異種で持つとメス)
zo型(メスが性染色体の一部を欠く)の性決定様式
もし鳥が胎生になると、オスの胎児をメスホルモンから守るものがないので、メスばかり生まれる危険がある。
反論→蛇類も鳥と同じzw型の性決定様式だが、
2,300種の蛇類では20%の胎生が知られている。
②https://www.istockphoto.com/jp/ベクター/カットイラスト鳥の孵化赤ちゃん-gm513138879-47766448より引用のイラスト
⑶ 孵化→❶ 卵の中の雛が呼吸運動を行うのは孵化の1日か2日前。クチバシを気室に差し込み、呼吸する。その頃には気室は卵全体の1/4の体積になっている。 ❷ 卵は尖っている方が殻が厚く、強度が高いので
雛は、卵の尖っていないほうから出る。カルシウムが吸収された卵殻はもろくなっていて、雛がつつく力でも容易に割れる。 ❸ 卵の中のヒナは卵歯と呼ばれる突起が、上クチバシの先端にでき、後頭部に頭を動かすための特別な筋肉が発達する。
❹ 卵歯と特別な筋肉で卵の内側から穴を開ける。
孵化後、数週間の内に吸収されたり脱落し、筋肉も成長につれ小さくなる。 ⑷ 同時孵化→❶ 孵化後すぐに安全な場所に移動することができるのは、離巣性か早成性の種で特に重要。マガモでは二時間以内に全てが孵化する
マガモの抱卵期間は28~29日なので、何もしなければ孵化には1~2日のズレが生じる。 ❷ 卵は水分蒸発により、卵の鈍端の二重の卵殻膜の間に気空ができ、孵化の2~3日前に卵内のヒナはクチバシを卵殻膜に突き刺し肺呼吸を始める。 ❸ より成長した卵内のヒナはゆっくり、成長の遅いヒナは早く鳴くことで、同腹卵の卵内で、ヒナは互いの発育段階を知る。一番最初に孵化したヒナが騒ぐことが刺激になり、孵化を同調させる。
❹ 孵化が長時間遅れると、自分だけ置いて行かれ孵化が早すぎると空腹のまま長時間待たされる。
③https://www.irasutoya.com/2014/07/blog-post_5621.html?m=1より引用のイラスト
⑷ 「孵化」→鳥類では、卵黄膜が孵化酵素によって溶け始めるのは孵卵三日目。卵黄膜は徐々に溶け出し、消失した部分には胚のヘソからつながっている血管網が発達して、卵黄を吸収できるようになる。
⑸ 体温→孵化直後は30度程度しかないので、親に暖めてもらう必要がある。 ⑹ ヒナの口→多くが赤。喉の皮膚の下を通る血管によって赤く見える。ヒナが餌を食べると、血液が胃に移動して喉の赤味が薄れる。胃が空のヒナが最も赤い、親はより赤いヒナに餌を与える。
④https://www.google.co.jp/amp/s/www.buzzfeed.com/amphtml/akikokobayashi/hitogotojyanai20より養子関係のイラスト
人間にも④のような簡単な図式ではなく、ジェンダーによる養子関係がありますが、鳥類にもあります。 ⑺ 養子→76%の科で報告される
❶ ひなまぜ→ケワタガモ類、ツクシガモ類、コオリガモ、アイサ類、アラナミキンクロ、アメリカオシ、シジュウカラガンで知られている。
❷ 繁殖密度が高い種類や、樹洞で繁殖する種類。
巣立ったヒナを連れて泳いでいる家族郡が出会い一時的にヒナが別の親についていくこと。親は気にせず、自分の子と同様に扱う。親が餌を与えるわけではないので、親の負担は増えない(鴨類等)
❸ 薄めの戦術→多くのヒナを獲得することで、敵に襲われても自分のヒナがやられる確立を低めようとしている。
❹ 危険分散→自分の連れているヒナが全滅しても、他の親に預けた自分のヒナが生き残る。
❺ ヒナの移動→シロハラアマツバメ、ミツユビカモメ(8%) より良い親を求めて引っ越す説、寄生虫説
❻ おばさん行動→ホンケワタガモのメスが、他のメスが連れているヒナに付いていき、捕食者からヒナを防衛することがある。ヒナを失ったメスや繁殖をしなかったメスが行う。
⑤-1.https://karapaia.com/archives/52157532.htmlより引用の孵化してすぐに高所巣穴からダイブするオシドリのヒナたち
⑤-2.http://blog.livedoor.jp/mikann7/archives/50655683.htmlより引用の産まれたての巣のスズメのヒナたち
⑻ 早成性の特徴→❶ 綿羽 ❷ 開眼 ❸ 離巣性 ❹ 自分で採餌 ❺ 親鳥から独立
早成性1
1. ツカツクリ類→❶ 有り ❷ 開眼 ❸ 離巣性 ❹ 自分で採餌 ❺ 親鳥から独立
早成性2
2. カモ、シギ、チドリ類、レンカク、タマシギ、セイタカシギ、サケイ→❶ 有り ❷ 開眼 ❸
離巣性 ❹ 自分で採餌 ❺ 親鳥に従う
早成性3
3. キジ目、ダチョウ科→❶ 有り ❷ 開眼 ❸ 離巣性 ❹ ー ❺ 親鳥に従う
早成性4
4. カイツブリ、アビ、クイナ類、ツル、ミフウズラ、ツバメチドリ→❶ 有り ❷ 開眼 ❸ 離巣性 ❹ 親から給餌 ❺ 親鳥に従う
半早成性
5. フラミンゴ目、カモメ、アジサシ類、トウゾクカモメ、ヨタカ→❶ 有り ❷ 開眼 ❸ ー ❹ 親から給餌 ❺ 親鳥に従う
半晩成性1
6. コウノトリ目、サギ、タカ類→❶ 有り ❷ 開眼 ❸ 留巣性 ❹ 親から給餌 ❺ 親鳥に従う
半晩成性2
7. フクロウ目、ネッタイチョウ→❶ 有り ❷ 閉眼 ❸ 留巣性 ❹ 親から給餌 ❺ 親鳥に従う
晩成性の特徴
8. グンカンドリ、ウ、カツオドリ、ペリカン、スズメ目、ブッポウソウ類、キツツキ類、ハト科、インコ目、カッコウ科、アマツバメ目→❶ 無し ❷ 閉眼 ❸ 留巣性 ❹ 親から給餌 ❺ 親鳥に従う
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