第509回 七十二候(しちじゅうにこう)キジ(7回目)の謎
①日本の国鳥のキジ
日本の国鳥でもあるキジ。また昔話の「桃太郎」に登場して、猿や犬と共に桃太郎のお供として、鬼ヶ島に出向き、青鬼や赤鬼をその持ち前の気の強さや勇敢さで対峙して、一躍名をあげました。そんな昔から有名なキジは季節を表す七十二候にも登場するのですが、この古式ゆかしい古事にも不可思議なことが現れているのです。
②オス同士で縄張り争いをするキジ
キジは繁殖期になると、顔の肉垂れが真紅に染まり、非常に縄張りを気にしだします。キジは木の枝より地上性の生活が高い野鳥で、樹上生活よりも天敵や同種の争いごとが多く見られます。②の写真は縄張り確保のためのオス同士の喧嘩です。キジのオスには脚の裏側に蹴爪と言われる趾(あしゆび)があり、これで相手を攻撃します。
③母衣打ちで縄張り宣言のキジ
③の写真は有名なキジの「母衣(ほろ)打ち」です。このディスプレイによって、この場所は縄張りだと宣言して、つがい相手のメスに自分をアピールしているのです。「母衣打ち」は激しく翼を自分の身体に叩きつけ、またその時に普段はあまり鳴かないキジのオスが「ケンケン、ケーン」と大きな声で鳴きあげます。そうすることによって、縄張りと繁殖相手のメスにアピールします。
④オスからの求愛でつがいになったキジ(左が♀体長約60㌢、右が♂体長約80㌢)
④は晴れて繁殖期に自分の縄張りを守り、幾多のオスと喧嘩を繰り広げて、上のようなキジのつがいが出来上がりました。オスは抱卵や育児はしませんが、外敵が家族を襲ってきたら、それこそ鬼退治のごとく、ヘビやキツネなんかの自分よりも大きな小動物にまで、威嚇を繰り広げて家族を守り抜きます。こういうことが国鳥のいわれです。
⑤https://petpedia.net/article/429/pheasantより引用のコウライキジ(キジと同じ体長)
そのきっかけになる「母衣打ち」の頃に、①のお題になっている「七十二候」におかしなことになっています。1月16日から小寒の末候「雉始雊(キジ初めて鳴く)」とあります。この日本には本来ならコウライキジは存在しないはずです。それなのに、「七十二候」にはいます。「七十二候」でいわれるキジも元はコウライキジの事なんですが、わざわざ持ち出さなくてもいいのでは…