第757回 いろんな角度から見たウグイス(8回目)
①http://seikatusaouzouburogu.x0.com/season/post-804/より引用の珍しい梅の枝に止まっているウグイス(写真はオス体長約16㌢、メスは約14㌢)
今まで何回もこの日本における「三鳴鳥」のひとつの①の写真のウグイスを語らして頂きました。ウグイスの漢字表記は「鶯」で、中国でコウライウグイスを指していた漢字をウグイスに当てたらしいです。また英名である“Japanese Bush Warbler“は藪の歌い手という意味です。また「梅に鶯」という表現が日本の文献に現れる前に中国の文献に使われていたそうです。中国では『鶯』とは似ても似つかぬコウライウグイスのことですが、その中国の文献を日本は採用しました。
②中国に生息するコウライウグイス(体長約26㌢)
中国から『梅に鶯』という言葉が来て、風情もあり貴族の間に広まり、花札で一般市民にも広まったとみられます。この②の写真のコウライウグイスを見る限り、ウグイスと似ても似つかぬ姿形をしています。英名が“Black-naped Oriole"で「黒襟首の黄鳥」で色さえも似つかないのです。またウグイス科でもないコウライウグイスはなぜウグイスなのか疑問に思います。そのコウライウグイスが梅の枝に止まっている写真なんかは見つけることさえできませんでした。
③https://www.pinterest.jp/pin/555983516475334532/より引用の西洋の鶯ことナイチンゲール(体長約16㌢)
次に世界的に間違われるのが、この③の写真のナイチンゲールこと(サヨナキドリ=「小夜啼鳥」)は西洋のウグイスと言われるくらい姿形も似ていて、鳴き声の美しい鳥です。また別名ヨナキウグイス(夜鳴鶯)や、墓場鳥と呼ばれることもあります。いずれにしろ、また日本のウグイスと同じように森林や藪の中に生息し、和名のとおり夕暮れ後や夜明け前によく透る声で鳴きます。ちょっと違うのは薮や潅木林の地面の上に営巣することです。中国のコウライウグイスより似ています。
④日本では鶯の“影武者"のメジロ(体長約12㌢)
日本では、皆さんも先刻承知のウグイスの影武者的な存在になっているのが、④の写真のメジロです。いわゆる鶯色の野鳥で、梅の花にも良く来るメジロと間違えられました。ウグイスは透き通った良く通る鳴き声ですが、藪の中からさえずり、あの緑っぽい野鳥はこの梅の木に良くくる野鳥となりました。ウグイスは藪の鳥なので、梅の木に止まることは少なく、梅の花が咲く頃、葉はまだ茂っていません。葉のない木にウグイスが止まることは少ないと思います。
⑤https://yaplog.jp/iti819/archive/179より引用のリュウキュウウグイス≒カラフトウグイス(体長約15,5㌢)
最後のほうになりましたが、日本にはこの留鳥であるウグイスのほかに、日本の北のカラフトから、南は沖縄まで渡るリュウキュウウグイスがいます。北寄りになればなるほど長い翼を持ち、遠くへ飛べます。サハリンや南千島の亜種カラフトウグイスは沖縄へ渡り「漂鳥」として、リュウキュウウグイスと呼ばれていました。繁殖を経験した場所に対する執着性が弱く、かつ、長距離の飛翔能力も兼備えていることが、分布域の拡大や再構築を可能にさせる要因となります。