第2024回 春の鳥
①https://www.sozailab.jp/sozai/detail/43394/より引用の春の鳥のイメージイラスト
みなさんにとって、①のタイトルイラストのような「春の鳥」のイメージはどのようなものなのでしょうか。春のイメージと言いますと、このイラストに登場いたしますように、桜の花が咲き乱れ、そのほかの樹木も今まで枝しかなかったのに、芽吹いてきて、野山の色が青くなり、冬の景色が通り過ぎて、暖かな日には蝶や蜂が飛びかいます。あちこちで、色んな鳥たちがさえずり始めたり、暖かい南の国に越冬していた鳥たちが産まれ故郷の日本のこの地に帰ってきたりします。
②-1.https://www.birdfan.net/2016/08/05/45457/より引用のさえずるウグイス(写真はオス体長約16㌢)
②-2.https://meziro-bird.com/archives/16より引用の「梅の花」とメジロ(体長約12㌢)
全国的にみても、みなさんの春を告げる鳥のイメージはきっと②-1.の写真のウグイスだと思います。「ホー、ホケキョ」のさえずりをご存知でない方はいらっしゃらないと思います。よく言ったもので豊かな声量で、遠くの山野からでも鳴いていますと、輪郭がはっきりしていますから、小さく聴こえてもさえずりだとわかります。日本の三大鳴鳥として、オオルリ、コマドリと並んで美しいさえずりで有名です。いかんせん残念ながら、ウグイスは警戒心が強くて、いつも藪中でしかさえずりませんから、同じく春告鳥の警戒心がそんなに強くない、街中にやってくる②-2.の写真のメジロと間違われる事がしばしばで、日本画の「梅に鶯」は昔からの勘違いを物語っているのです。
③-1.https://www.google.co.jp/amp/s/tenki.jp/amp/suppl/usagida/2016/03/13/10751.htmlより引用のツバメ(体長約17㌢)の子育て
③-2.https://www.birdfan.net/2019/11/22/74879/より引用の街中にもしょっちゅういるシジュウカラ(体長約14㌢)
②-1.に登場致しましたウグイスは誉高きさえずりだけで春を告げ、ウグイスだと間違われることが多い②-2.の写真のメジロは、春になりますとつがいで街中にも現れ、民家の梅や椿の花の蜜を吸いにやってくるこちらも春を告げる鳥だと思います。③-1.の写真のツバメは姿とさえずりで春を告げます。ご存知のようにツバメは夏鳥で、春先になりますと、越冬先の南国から産まれ故郷の地に帰ってきます。「虫食って、土食って、渋い」のききなしは有名です。またそのさえずりはやはり声量があり美しいです。つがいになりますと、民家の軒先に営巣し、子育てをします。ウグイスと違い、人と密接です。③-2.の写真のシジュウカラは年中いる街中の住宅地や樹木のある児童公園でも見られます。気づけば電線で「ツー、ツー、ピー、ツー、ツー、ピー」て春に大きく鳴きます。
④-1.https://www.birdfan.net/2017/06/09/53355/より引用の空でさえずるヒバリ(体長約17㌢)
④-2.https://www.birdfan.net/2018/04/20/61742/より引用の野山でよく出くわすつがいのキジ(左がオス体長約80㌢、右がメス体長約60㌢)
春になりますと、ちょっと脚を伸ばして、野山に散歩に出かけられたその時に出会う春の鳥はいます。最近ではあんまり見かけることが少なくなりましたが、④-1.の写真のヒバリがいます。春になりますと、多分に漏れずこのヒバリも営巣して、子育てを開始します。地上に作られた巣の周りには天敵のヘビやカラス、イタチなんかがいます。私が知らずにその近くを歩きますと、すかさず親鳥が植え込みから出てきた途端に、大きく空に舞い上がり、天敵の気を逸らして、巣のある場所から遠ざけます。その時に写真のように空からさえずります。それと良く似た行動を致しますのが、④-2.の写真のキジです。この鳥も地上生活の鳥で、営巣も地上です。やはり草むらにいますので、気づかない時は大きな身体で束紗バタつかせ驚かされます。ヒバリと違い気性が強く、繁殖期の春には、赤いものを見ると追いかけ回して、相手を退散させます。さすがは桃太郎のお供です。
⑤-1.https://84669014.at.webry.info/202010/article_12.htmlより引用の公園の木立ちの中のコゲラ(体長約15㌢)
⑤-2.https://www.birdfan.net/2020/09/04/80149/より引用の木立ちの天辺でさえずりホオジロ(体長約16㌢)
春になりますと、留鳥なんですが、普段は見られない鳥たちが街中にやってきます。②で紹介致しましたメジロや、③の項のシジュウカラもそうですが、反対に④-1.の写真のヒバリや、④-2.の写真のキジは街中には現れません。地上生活の鳥はそれでなくても天敵が多いのに、街中にはカラスや野良猫、人間に加えて、生き物ではありませんが、車という大きな鉄の塊りまでいるのです。しかし、かつては街中にはこなかった鳥たちが春を機会に動き出します。⑤-1.の写真のキツツキのコゲラが街中に現れるなんて有り得ないと思われる方も多いのですが、本来は平地から山地の林に生息するキツツキですが、近年は緑が増えた街中にも進出し、市街地に近い街路樹や民間の庭木、公園の樹木などでもよく見られます。緑が増えて餌になる虫も増えたからだと思います。「ギー、ギー」と扉がきしむように鳴きます。残念ながら、この鳥の身体が小さいので、木を突くドラミングの音は小さくて聴こえません。スズメにそっくりなホオジロもやってきます。繁殖期になり、子育てには虫は大切なタンパク源であり、早い巣立ちを願うなら重要な餌といえます。その餌の量を獲るために街中にやってきます。現れましたらまずは木立の天辺でさえずります。さえずりの節回しは独特で「ピッピチュ・ピーチュー・ピリチュリチュー」など鳴き、人には「一筆啓上仕候」「源平つつじ白つつじ」と聴こえ、それは有名です。
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