第1936回 日本らしい鳥 ⑵
①https://template-box.jp/sozai/detail/4582/より引用のイラスト
②-1.http://www.birdfan.net/2016/08/05/45457/より引用のさえずるオスのウグイス(体長約16㌢)
②-2.http://www.birdfan.net/2019/08/02/72611/より引用のさえずるオスのオオルリ(体長約16㌢)
②-3.http://www.birdfan.net/2018/06/15/63206/より引用のさえずるオスのコマドリ(体長約14㌢)
古来、絵画に描かれていた鳥や、飼育されていた鳥の中からさえずりの美しい鳥たちも私は日本の古式ゆかしい鳥だと思います。②-1.〜3.の三種は上からウグイス、オオルリ、コマドリの日本の三鳴鳥です。この三種のさえずり上手な鳥の中でもウグイスは今の世の中でも有名な「ホーホケキョ」のさえずりは余りにも有名です。その他にも梅の開花している時期と重なり「梅に鶯」という取り合わせが古来、詩歌や絵画によく使われてきました。本来なら春先の梅にはメジロが花の蜜を吸いにやってくるのですが、季節物の風物詩として、今でもその日本画は重宝されます。また日本の春ゆえの別名もあり、春告鳥(はるつげどり)、花見鳥(はなみどり)、歌詠み鳥(うたよみどり)など日本色豊かです。これほどまでに日本が匂う鳥なのは他の二種が夏鳥に対し、留鳥だからこそです。
③https://tenki.jp/amp/suppl/usagida/2016/03/13/10751.htmlより引用のツバメ(体長約17㌢)の子育て
日本には古くから、二十四節気の各節気を更に約五日ずつの三つに分けた七十二候と言われる気象の動きや動植物の変化を知らせる短文でなり、古代中国で考案された季節を表す方式があります。季節の春を知らす鳥には②の項のウグイスがいますが、もうひとつの春告鳥として、その第十三候に「玄鳥至 (つばめきたる)」 4/4~4/8頃の節があります。古文書に『つばくろめ』とか『ゲンチョウ』と表されるのは、昔から春先になりますと、繁殖のために生まれ故郷の日本に帰ってくるツバメです。野鳥なのに、人の住む民家のそれも玄関の軒先に③のように営巣して、子育てを行います、育った幼鳥と共に秋口には南の国に越冬を行う渡り鳥です。では②の項のオオルリやコマドリも同じ渡り鳥だから日本の鳥ではない様に思われますが、ツバメだけは身近な民家に営巣致しますので、多くの日本人にはツバメは日本の鳥です。
④-1.http://www.birdfan.net/2017/10/27/56374/より引用のホトトギス(体長約28㌢)
④-2.http://www.birdfan.net/2014/06/13/28805/より引用のカッコウ(体長約35㌢)
七十二候に表れるウグイスやツバメのようではありませんが、ウグイスが春を告げ、ツバメが営巣して子育てを行うころ、桜の花が散り、葉桜になった桜には毛虫が現れます。その毛虫が現れるのを診測るように、④-1.の写真のホトトギスが日本に渡ってきます。初夏の五月、山口素堂が詠った「目に青葉、山ほととぎす、初鰹」の句は有名です。また聞きなしの「特許許可局」はあまりにも有名です。そんなホトトギスの別名は子規をはじめ、時鳥、郭公、不如帰とおお昔から親しまれる日本の鳥です。反対にホトトギスの別名の一つの「郭公」は別の托卵仲間の④-2.の写真のカッコウです。こちらは別名を閑古鳥と呼ばれ、ホトトギスと同じ仲間にしろ、日本の鳥とは思えません。
⑤http://www.birdfan.net/2020/09/04/80031/より引用のカイツブリ(体長約26㌢)の一家
良くカモの仲間と間違われる⑤の写真はカイツブリの親子一家です。日本の古文書の「古事記」と「日本書紀」にも『ニホドリ』の古名で登場しています。カイツブリにはまだ別名があり、鳰(にお)、鸊鷉、鸊鵜(共に読みはへきてい)があります。琵琶湖は古くからカイツブリの仲間の構成種が多かったことから「鳰海(にほのうみ)」の別名があります。これは水鳥が集まる湖の意味で、その由縁から、カイツブリは滋賀県の県鳥に制定されています。また漢字『鳰』も「水に入る鳥」を意味する会意字で、和製漢字です。日本のカイツブリの仲間はアカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリがいますが、三種とも冬鳥です。留鳥はカイツブリのみで、身体も日本のカイツブリが一番小さく、日本の鳥らしさです。
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