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第822回 托卵の攻防

①https://originalnews.nico/76938より引用の托卵される仮宿の左側ノビタキ(体長約13㌢)と托卵する側の右側カッコウ(体長約35㌢ )

   「托卵」する日本での野鳥といえば、①の写真のカッコウを始め、ホトトギスツツドリジュウイチの四種のみですが、世界的に眼を向けるとあの「共生」で人やラーテルに蜜蜂の蜜の在り方を教えて、自分はその巣の蝋や蜂の子を食べるミツオシエは善良な野鳥かと思いきや、ハチクイの巣に「托卵」する育児放棄。そのほかまだまだ托卵する野鳥はいますが、以前にもその「托卵」に対する仮宿の育ての親鳥と托卵する側がオナガカッコウのように応酬合戦をしています。

②https://note.com/hiho2351/n/ne7faec1729a5より引用の仮親オナガ(体長約36㌢)

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   その応戦の代表的なものが、①の写真のノビタキが巣にカッコウが近づいてきたのを察知して、やり合っているのがこの写真です。やはり托卵されると自分の子孫を残せず、一年に一度の繁殖をカッコウの子育てで終わります。その一番いい例が、オナガとの攻防です。托卵されてオナガの生息数が三割も減ったと言います。そのオナガが警戒して、おっきなカッコウの卵を排除しようとすると、モビングで対抗して防御したと思うと、その後カッコウはその留守の際に巣を破壊します。

③http://birds-nobuky.cafe.coocan.jp/memo17-04.htmより引用のカッコウに破壊されたウグイスの巣

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   ③の写真のようにカッコウやその他の「托卵」する野鳥の報復が怖くて、カッコウのヒナを育てる野鳥もいる中、オナガは対決を決意し、カッコウの卵を巣の中で見つけたら、積極的に排除にかかり、またそれに対応するべき一日二日では出来ないのですが、今度は托卵する側のカッコウたちが④の写真のように、以前なら仮宿にその野鳥に里親が産んだ大きさの卵より大きかったものを、産みつける野鳥の産む卵の大きさに合わせるというやり方でカッコウの方も必死になってきます。

④https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32214000155より引用のホオジロの巣に托卵したカッコウの卵(一番上側の茶色っぽい卵)

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   カッコウを始めとする「托卵」に頼るしか子孫を残せない野鳥は、やはりこれも自然の知恵を借りて、色んな模索を続けるのです。今は卵の大きさだけを似せてきているカッコウですが、そのうち「托卵」する側のカッコウも、卵の柄を似せる方向へと急速に進化を遂げ、識別から逃れるように対抗していくでしょう。種の存続をかけた、進化の戦いが行われているのです。自分で育てたくても、抱卵するべき温度を保てない羽毛のなさ。なぜ自然界に「托卵」が存在するのでしょう。

⑤-1.https://www.jsps.go.jp/seika/2009/index_vol3_3.htmlより引用のアカメテリカッコウのヒナ

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⑤-2.https://www.jsps.go.jp/seika/2009/index_vol3_3.htmlより引用のハシブトセンニョムシクイのヒナ

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   冒頭にも「托卵」は日本だけでなく、世界中の色んな地区に存在します。キウイバードでお馴染みのオーストラリアにも、現地の「托卵」をするカッコウがいます。やはり、オーストリアの方はもっと進化していて、托卵する側の卵からヒナにかえって、そのカッコウのヒナは自分より大きくなるのに、育ての親は悲しいかな大量の餌をカッコウのヒナに与えます。それに対抗した育て親は排除にかかり、防御すると今度はカッコウの親は⑤の二枚の写真のようにヒナまで似せます。

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