見出し画像

第804回 野鳥のシナントロープ

①http://gaku-blog.net/page/3より引用のスズメのシナントロープ

   『シナントロープ』とは何と、ネット検索してみると、人間社会の近くに生息し、人間や人工物の恩恵を受けて共生する、野生の動植物を指していうとあります。この中の解説でも共生という言葉があり、以前に語りました蜜の在り方をラーテルに教えて、蜂の巣の蝋を分けてもらうミツオシエや、イリエワニの歯に付いた肉片を食べることによって虫歯を予防するナイルチドリ、キリンやシマウマの皮膚に付く寄生虫を食べることで、掃除屋さんのウシツツキなどを共生鳥といいます。

②http://www.forest-akita.jp/data/bird/53-kigi/kigi.htmlより引用の餌を漁るドバトの群れ

画像1

   共生と『シナントロープ』の意味はもっと違い、自然界の生活環境下での知恵が『共生』でなんらかに、人間の関与を受けて生活環境を維持しているのが『シナントロープ』だと思います。ただ誤解しやすいのは『共生』と日本でいう、他の野鳥に自分が産んだ卵を育ててもらうカッコウやラーテルに蜜の在り方を教え『共生』関係にあるミツオシエの『托卵』とはお互いにメリットがなく、托卵する側だけのメリットはこの『共生』や『シナントロープ』とは無関係であります。

③https://mainichi.jp/graphs/20180620/hpj/00m/040/003000g/5より引用の朝にゴミを漁るハシブトガラス

画像2

   私たちの身近に住んでいる野鳥のうちで、人間の民家の軒先や周りであるとか、人工物に営巣する事によって身を守っている、①の写真のスズメと④の写真の夏鳥のツバメ。また人間の食べ残した生ゴミや、人間の食べ物のパンやスナック菓子を餌にしている②の写真のドバトと③の写真のハシブトガラス。そして最後は、共生に近いですが、サカナの大群の水上に群れを作って、漁師が捕獲したサカナを拝借する、⑤の盗賊のようなカモメやその仲間。今では港のゴミまで漁ります。

④https://www.google.co.jp/amp/s/amp.bengo4.com/topics/3187/より引用の民家の軒先のツバメの巣

画像3

    『シナントロープ』と『共生』はよく似ていますが、人間の関与によって、これらの種の生活が賄われている事に変わりはありません。スズメツバメは昔から、人間に守られるために人間の関わる人工物に営巣します。またドバトは昔の姿は家禽であり、人間に飼われていたのが、大きく時間が流れ、人間の需要がなくなって自然にはなたれ、現在でも人間がくれる餌が頼りの食生活。またハシブトガラスは、昔には山林生活で餌を探す生活から、街中の生ゴミ処理の生活変化です。

⑤http://k-kabegami.com/ikanago/800.htmlより引用の漁船の漁とカモメの群れ

画像4

   この項に登場するカモメはどちらかいうと、ハシブトガラスの生活環境に似ています。ハシブトガラスは今では、人間の食べ残して、脂っこいたらものを好みますが、このカモメも漁師の引き揚げた沢山のイワシやアジのおこぼれを頂戴しますが、時には港町で処理されたサカナのアラが入ったゴミを漁ります。また京都の鴨川では、行楽客の弁当のオカズやハンバーガーを巡って、先住のトビハシブトガラスとシナントロープします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?