第2159回 鳥のいろいろ ⑸
①-1.http://japanese.china.org.cn/life/2014-09/06/content_33398347.htmより引用のシャカイハタオリの重さ1tを超える巨大マンションの営巣
①-2.https://worldstaff.hatenablog.com/entry/20141225/1419493964より引用のマメハチドリの直径3〜4㌢の巣
前項でも紹介致しましたように、鳥の身体の大きさにも大小がありますように、鳥の子育ての場であります巣にも大きさの大小はあると思います。それは鳥の身体の大小にも関わってもいますが、そんな身体の大きさを超えた世界一ダントツに大きな巣はあります。①-1.の写真はシャカイハタオリというスズメの仲間の巨大マンション式の集団営巣です。シャカイハタオリの身体の大きさは体長約14㌢で日本のスズメよりも小さな身体です。しかし、正しく分類すればコロニーということになるのかも知れませんが、コロニーは個々の巣の集合体ですが、この鳥の巣は一塊に出来ていて、平均で重さ1tはあるといいます。またこれとは正反対に鳥の巣の中で最小ということになりますと、世界一小さな鳥でありますマメハチドリの巣ということになります。直径約3〜4㌢の極小サイズ。
②-1.https://blog.goo.ne.jp/kiyosato_001/e/6c17b2cffc43f4580357e3e63570b62fより引用のミソサザイの壺型の巣
②-2.https://msampo.exblog.jp/27103169/より引用の横穴式のカワセミの巣
②-3.https://ameblo.jp/titosi614/entry-12525487933.htmlより引用の簡単過ぎるチドリの巣
では、繁殖するために日本の鳥はどんな巣を作っているのかといいましたら、よく見かけるお椀状の形をした一般的な鳥の巣と言われるものです。こんな巣は、ヒヨドリとか、ツバメも壁に引っ付ける形のお椀状で、カラスの巣も基本的にはお椀状です。しかし、森林に生息するミソサザイやメジロなんかは②-1.の写真のような壺型で、これが上向きか、横向きかの差はあります。また、②-2.の写真は土崖に作られた横穴式の巣で、これが樹木の幹となりますとキツツキの巣です。こんな手の込んだ巣作りもありますが、②-3.のコチドリの巣は河原の砂地に周りに小石を並べただけの簡単な巣で、この他にもヨタカは林の落ち葉の上にさらに落ち葉を敷いただけの巣です。キジバトの巣も簡単な、木の枝を敷き詰めだだけなので、下から見たら透けて見えるような簡単な作り方です。
③-1.https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/gai-ni-mimamo-ra-re-soda-tta-do-m-bee-su-wa-ro-zu-tsu-i-niより引用の民家の軒先のツバメの巣
③-2.http://o-little-place.blog.jp/archives/35224627.htmlより引用の電柱の角柱を利用したスズメの巣
③-3.http://tanpopo201210.blog.fc2.com/blog-entry-67.htmlより引用の針金ハンガーを使ったカラスの巣
それでは、私たちに身近な鳥の変わった巣はどんな作りでしょう。③-1.の写真は、カップ麺のカップを人間が、巣台の上に固定し、そのカップの中にツバメが、泥をこねて作りを強化したのだと思います。多分、もう少しで完成と言う時になんらかの原因で、落ちたか、崩れたかして、人間が巣作りを助けたのだと思います。スズメは住宅難に陥っています。本来ならツバメもそうですが、木造の日本家屋に営巣します。ツバメは玄関先に、スズメは屋根の通風口や都袋に藁などで作りますが、いまの日本の一軒家は鉄筋コンクリート建、しかし③-2.の写真のように、電柱にある角柱を上手く利用しています。ツバメの古巣を使ったり、強奪することもあるといいます。また、知能の高いカラスも住宅難のはずですが、こちらは頭を使って、なんとか頑丈な巣を作ろうと、③-3.の写真のように、ベランダに引っ提げてあります針金ハンガーを拝借してこの様に頑丈に作ります。
④-1.http://andes-fuji.sakura.ne.jp/birds_archive/nature/no175.htmより引用のキゴシツリスドリの奇妙な巣
④-2.https://ailovei.com/?p=82731より引用のキムネコウヨウジャクの奇妙な巣
④-3.https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32245000102より引用の青い飾りもので飾られた巣を見せて求愛するアオアズマヤドリ
この項は日本の鳥ではないのですが、非常に変わった巣を作る鳥たちです。④-1.の写真は食虫植物のウツボカズラのような形をしたキゴシツリスドリの奇妙な巣です。この鳥は中南米の森に生息する、黒い体に黄色の特徴的な模様を持つ鳥です。高い木の枝にヤシの葉や草を巻き付けて細長い形の巣を作ります。スズメバチの巣の近くに巣を作り、その巣の近くにいることによって、天敵の猿などが近づかない利点があると考えられています。またこの鳥の身体は蜂と同じ黄色と黒の配色だからか、スズメバチには襲われません。④-2.の写真はキゴシツリスドリの巣に似たキムネコウヨウジャクの奇妙な巣はヤシの葉を裂き、体が重い猿などの外敵が近づけない細い枝先に巻き付けて妊婦さんのお腹のような形の巣を作ります。巣はしっかり枝先に巻き付けられているため、地震にも強く、風にも飛ばされません。④-3.の写真はオスのアオアズマヤドリは繁殖期になると小枝など平行に組み合わせた構造物のあずまやを作り、その周囲を青い物や白色や黄色の物を集めて装飾します。収集する物は花びらや鳥の羽、実など自然の物に限らず、ペットボトルのキャップ、ボールペン、ビニールテープなど人工物も含まれます。メスがあずまやの近くに現れるとオスはあずまやを飛び越す行動を繰り返し求愛し、メスがオスを受け入れると、あずまやの隙間に入り交尾します。オスが作成したあずまやは繁殖の為の巣としては使わず、交尾後にメスは木の枝や葉を組み合わせたお椀状の普通の巣を作り、卵を産みます。
⑤-1.https://www.birdfan.net/2017/05/12/52528/より引用の雌雄逆転のつがいのタマシギ(左がメス体長約26㌢、右がオス体長約22㌢)
⑤-2.https://www.birdfan.net/2015/09/04/37224/より引用の子育て中のオスのタマシギ
今までに紹介致しました鳥の巣はオスも手伝って作りますが、必ずメスはなんらかの形で営巣には関わるのが通常です。しかし、鳥の世界にも、人間社会で最近増えてきています「主夫」が存在しています。⑤-1.の写真はつがいのタマシギです。鳥のことに関心を示される方には、おそらく右側の身体が小さく地味な色合いの方がメスで、また左側の身体が大きく、派手な色合いの方がオスと思っておられる方は多いと思います。しかしタマシギは雌雄逆転なのです。人間の女性のように綺麗にお化粧されるようにタマシギのメスはオスより派手で身体も大きいのです。また他の鳥のメスには子育てのために産卵をする大事な巣であるがために、自身が特に内装まで巣作りに関わりますのに、タマシギではメスは産卵するだけで、その後の抱卵も⑤-2.の写真の巣立ち独り立ちまでの子育ては「主夫」でありますオスが全て担います。