第643回 青く光る野鳥の化石
①https://blog.goo.ne.jp/liberty7jp/m/201805より引用のアマツバメの化石写真
「Journal of the Royal Society Interface」に掲載の論文記事に「4800万年前のある日、有毒ガスを噴出する湖の上で、小さな青い鳥が息絶えた。湖に落ちた死骸は湖底の堆積物に埋もれ、見事に保存されて、最古の青い羽毛の証拠をもつ化石となった」その羽毛の持ち主は、Eocoracias brachypteraという絶滅した鳥で、化石の発掘場所はドイツのメッセル採掘場で、ここは保存状態の良い化石が大量に産出する一等地でした。始新世5600万年前から3390万年前までのことです。
②https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/062700376/?ST=m_newsより引用の青く光る野鳥の予想イラスト
研究者たちが青い色を推理できたのは、現生の近縁種であるブッポウソウの仲間と比較できたからでした。羽毛化石の微細な構造を詳しく調べたところ、現生の鳥では、青または灰色のどちらかになる場合とよく似ていたらしいです。日本で青い鳥といえば、オオルリ、コルリ、ルリビタキ、イソヒヨドリ、カワセミの五種。ブッポウソウはどちらかといえば紺色で、灰色よりもカワセミのように青い羽毛がずっと多いことから、太古のこの鳥は濃い青色をしていたと予測しました。
③https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/062700376/?ST=m_newsより引用のライラックニシブッポウソウ
今回の発見により、今までは、青か灰色を作り出すこの化石の構造が、灰色にしかならないと想定していましたが、太古の生き物たちの正確な姿を解明する上で、むしろ貴重な材料を新しく提供してくれました。太古の動物の色を解明する試みは、ここ十年で爆発的に広がり、今回の論文はその最新の成果です。「色革命」の鍵は、メラノソームという色素を含む細胞内の小器官が化石化しうるという発見でした。加えて、鳥の色は、色素ではなく、羽毛の微細な構造により変わります。
④ブッポウソウよりカワセミとなりました
構造色は恐竜の羽毛でも見つかっていて、四枚羽の恐竜ミクロラプトルは、黒い羽毛に青みを帯びた光沢があったといいます。孔雀の羽の黒の光沢、また鳥の羽毛の中には「非虹色」といって、カワセミの青や一部のオウムの緑色のように、どこから見ても青っぽい光を反射する構造色があります。化石のE. brachypteraに残っていたメラノソームを鑑定した結果、非虹色の構造色だった確率は99%で、灰色の羽毛の確率は19%しかなく結果的にみて、この化石の鳥は青かったのです。
⑤恐竜の子孫に近いならイソヒヨドリ
このように、世界的な発見が発表されましたが、やはり現在でも青い鳥野鳥は貴重な存在です。前述したように日本には、ルリビタキ、オオルリ、コルリのヒタキ青い鳥三兄弟、この青く光る鳥の化石のカワセミ、これに加えて最近街中に進出して来たイソヒヨドリの五種が挙げられます。私は単純人間でありますから「青く光る野鳥の化石」と言われれば、⑤の写真のイソヒヨドリのような青い鳥ではないかと思ってしまいます。恐竜の鱗のような模様が身体にあるからです。