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第2221回 猛禽類って タカ

①https://hitori-koho.com/hatsuyume-numazuより引用の「一富士二鷹三茄子」のイラスト

②-1.http://bird-muromi.sakura.ne.jp/zukan/taka/kumataka/kumataka.htmlより引用の冠毛を立てたクマタカ(体長約72〜80㌢)

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②-2.Twitterより引用の蜂が主食のハチクマ(体長約57〜61㌢)

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   前回の「ワシ」の仲間の最後が冠毛があり、体長が一番小さなカンムリワシだったので、この「タカ」の仲間の初っ端は体長が55㌢しかないこのワシに対して70㌢以上ありますクマタカ(熊鷹及び角鷹)を紹介致します。このタカの分類は「クマタカ」で、日本に分布する「タカ」の仲間では大型であることが和名の由来です。漢字表記に角鷹とありますのは、カンムリワシ同様に写真のように冠毛(興奮すると角のように立つ)があるからです。森林に生息し、森林ゆえに飛翔の際にあまり羽ばたかず、大きく幅広い翼を生かして風を捕らえ旋回する飛行術のソアリングをすることもあります。基本的には樹上で獲物が通りかかるのを待ち襲いかかります。周年に見られる留鳥です。②-2.の写真はクマタカに容姿が似ていますハチクマ(蜂熊及び蜂角鷹)です。猛禽類ですのに主食がスズメバチなどの蜂です。このタカも「ハチクマ」の分類です。日本では初夏に夏鳥として渡来し、九州以北の各地で繁殖します。日本で繁殖した個体は同様に東南アジアに渡るサシバが沖縄や南西諸島を経由して渡りを行うのとは異なり、九州から五島列島を経て大陸に渡り、そこから南下します。

③-1.https://www.birdfan.net/2019/06/28/71776/より引用のやはり大型のトビ(体長約59〜69㌢)

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③-2.https://www.birdfan.net/2018/02/09/59734/より引用の輸送機オスプレーのモデルにもなったミサゴ(体長約55〜63㌢)

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   この③の項でもカンムリワシよりも体長が大きな「タカ」の紹介となります。③-1.のトビ(鳶)は「トビ」の仲間で、皆さんも一番ご存知の猛禽類だと思います。別名トンビでほとんど羽ばたかずに尾羽で巧みに舵をとり、上昇気流に乗って輪を描きながら上空へ舞い上がる様や「鳶がくるりと輪を描いた」鳴き声が「ピー、ヒョロロ」でも有名過ぎると思います。カラスと争う光景をよく見かけますが、これは、トビとカラスは食物が似ており競合関係にあるためです。猛禽類としては珍しく、動物の屍肉を中心に、カエル、トカゲ、ネズミ、ヘビ、魚などの小動物を捕食します。都市部では生ゴミなども食べ、公園などで弁当の中身をさらうこともあります。屍肉を主食のトビに、また蜂を主食とするハチクマ、③-2.の写真は魚を主食と致します厳密に分けますと「タカ」の仲間ではなく「ミサゴ」科の仲間のミサゴ(鶚、別名魚鷹)は、魚を好んで食べることからウオタカの方が分かりやすい名前です。日本では留鳥として全国に分布し、主に海岸に生息するが、内陸部の湖沼や広い河川、河口等にも生息します。水面をゆっくりと低空飛行し獲物を探し、上空でホバリングし、水中の獲物にダイブするスタイルから米軍が輸送機とするオスプレーのモデルになりました。

④-1.https://www.birdfan.net/2019/01/11/67222/より引用の野を擦るように飛行すると言われるノスリ(体長約52〜57㌢)

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④-2.https://www.birdfan.net/2015/11/20/38631/より引用の宙高く舞うと言われるチュウヒ(体長約48〜58㌢)

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④-3.https://www.birdfan.net/2016/07/29/45275/より引用の身体の割に翼が大きなサシバ(体長約47〜51㌢)

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   この項の三種の「タカ」は飛ぶことに特化したそれぞれの名前の属の仲間です。④-1.の写真のノスリ(鵟及び野擦)は発音から、野を擦るような飛行だからノスリとか、トビに似ていますから「鵟(クソトビ)」とか揶揄されます。日本では留鳥で、平地から山地の森林に生息し、群れは形成せず、単独もしくはつがいで生活します。④-2.の写真はチュウヒ(沢鵟及び宙飛)で、日本には越冬のために飛来する冬鳥で、草原や湿地、葦原等に生息し、食性は肉食性で、魚類、両生類、爬虫類、鳥類やその卵、小型哺乳類等を捕食します。地上付近を低空飛行し、獲物を探しますが、ノスリとよく対比されます。別名サワノスリで、宙高く舞うから宙飛とは言え、低空飛行が得意で、反対にノスリチュウヒよりも高空を飛翔することが多いため、この両者は名前が入れ替わって記録されているという説があります。食性は動物食で、昆虫類、節足動物、陸棲の貝類、ミミズ、両生類、爬虫類、鳥類、小型哺乳類等を食べます。④-3.の写真のサシバ(差羽及び刺羽、鸇)は身体の割に大きな翼を持ちますので、羽を差し替えたという名前の由来もあり、別名を別名大扇(オオオウギ)といいます。翼開長は105〜115㌢もあります。日本には四月ごろ夏鳥として本州、四国、九州に渡来し、標高千㍍以下の山地の林で繁殖します。主にヘビ、トカゲ、カエルといった小動物、セミ、バッタなどの昆虫類も食べます。稀にネズミや小型の鳥等も捕らえて食べ、人里近くに現れ水田等で狩りをします。

⑤-1.https://www.birdfan.net/2019/04/12/69820/より「タカ」の仲間の代表的なオオタカ(体長約50〜56㌢) 

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⑤-2.https://www.birdfan.net/2020/01/24/76542/より引用のハトくらいの体長のハイタカ(体長約32〜39㌢)

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⑤-3.https://www.birdfan.net/2018/09/28/65160/より引用のハトより小さな猛禽類のツミ(体長約27〜30㌢)

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⑤-4.https://www.birdfan.net/2008/10/10/3024/より引用のやはり最小級の猛禽類のアカハラダカ(体長約30㌢)

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   ⑤の項のすべての「タカ」は四種共に「ハイタカ」の仲間です。この中ではやはり、⑤-1.の写真のオオタカ(蒼鷹及び大鷹)と、⑤-2.の写真のハイタカ(鷂及び灰鷹)は非常に良く似ています。オオタカは灰色をした鷹を意味する「蒼鷹(アオタカ)」に由来します。これだけを見てもこの二種は良く似ています。日本における「タカ」の代表的な鳥です。古今、タカといえば、オオタカを指すことが多いです。日本では、留鳥として南西諸島、南方諸島を除く九州以北に分布します。一部に漂鳥の個体もいます。平地から山岳地帯にまで生息し、飛翔能力が高く、中小型の鳥類のハト、カモ等や小型哺乳類のネズミ、ウサギ、オコジョ等を空中あるいは地上で捕らえる里山の猛禽類です。⑤-2.の写真のハイタカは日本では、多くは本州以北に留鳥で、一部に漂鳥がいます。平地から亜高山帯にかけての森林や都市部に生息し、樹上に木の枝を束ねたお椀状の巣を作ります。食性は動物食で、鳥類や昆虫類などを空中または地上で捕食します。良く似た仲間なのに、最大の天敵はオオタカで、そのため、体が大きなオオタカが入り込めない樹木が密生した森に巣が多いです。⑤-3.の写真のツミ(雀鷹及び雀鷂)は日本では基亜種が温暖な地域では周年生息する留鳥で、一部に漂鳥もいます。平地から山地の森林に生息し、単独もしくはつがいで生活します。食性は動物食で、主に小形鳥類を食べますが、爬虫類、小形哺乳類、昆虫なども食べます。漢字表記の雀はスズメも含めた小型の鳥類を捕食することにも由来します。最後の⑤-4.の写真のアカハラダカ(赤腹鷹)は、日本では旅鳥で、春秋の渡りの時期に、九州や南西諸島で数千羽以上の大群が観察されます。平地から低山の森林に生息し、周辺の水田等を狩り場とします。食性は動物食で両生類、昆虫類、トカゲ、鳥類、魚類を捕食します。「キィー、キィー」「キッ、キッ」と高い声で鳴く小さな猛禽類です。

⑥-1.https://www.birdfan.net/2019/05/31/71033/より引用の急降下世界最速のハヤブサ(体長約42〜49㌢)

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⑥-2.https://www.birdfan.net/2021/02/05/81276/より引用のホバリングの名手チョウゲンボウ(体長約33〜38㌢)

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   最近になって、⑥-1.の写真のハヤブサ(隼、鶻、鸇)も⑥-2.の写真のチョウゲンボウ(長元坊)も科学が発達して、DNA鑑定でインコに近種であるとされました。この二種は紛れもなく猛禽類であることは間違いありません。しかし、二種は以前からこの項では大きな意味で「タカ」の仲間としてありますが、学術的な観点からすれば「ハヤブサ」の仲間となります。インコに近種であると言われますと、なるほど二種の顔はインコに似てるいます。ハヤブサは日本では亜種ハヤブサが周年生息いたしま留鳥で、冬季に亜種オオハヤブサが越冬のため稀に冬鳥として飛来します。人間が建設した高層ビル群での営巣例も確認されていますが、自然界でのハヤブサは、河川、湖沼、海岸などの周辺に生息します。食性は動物食で、主にスズメやハト、ムクドリヒヨドリなどの鳥類を食べます。獲物は飛翔しながら後肢で捕えたり、水面に叩きつけて捕えます。水平飛行時の速度は時速百㌖前後、和名は速い翼が転じたと考えられています。チョウゲンボウの名前の由来はトンボの方言の一つである「ゲンザンボー」が由来ではないかと言われています。滑空している姿は、下から見るとトンボが飛んでいる姿を彷彿とさせることがあると言われ、それゆえ「鳥ゲンザンボー」と呼ばれるようになり、いつしかそれが「チョウゲンボウ」という呼称になったと考えられています。日本では、夏季に本州の北部から中部で繁殖し、日本全国各地に冬鳥として渡来します。「キィキィキィキィ」と聞こえる声で鳴き、農耕地、原野、川原、干拓地、丘陵地帯、山林など低地、低山帯から高山帯までの広い範囲に生息します。単独かつがいで生活します。ノネズミや小型の鳥類、昆虫、ミミズ、カエルなどを捕食します。素早く羽ばたいて、体を斜めにしながらホバリングを行った後に急降下して地上で獲物を捕らえることが多いのが特徴。ハヤブサ類ですが、飛翔速度は速くありません。小さな猛禽類のひとつです。

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