第2095回 虫みたいな鳥
①-1.http://www.kotaro269.com/articles/43717.htmlより引用の異次元世界の虫のアンドロイドのようなオスのアカミノフウチョウ(体長約21㌢)
①-2.Twitterより引用のつがいのアカミノフウチョウ(上がメス、下がオス)
①-1.のタイトル写真のアカミノフウチョウをご覧になられて、皆さんはこの鳥の印象はどうだったのでしょう。私ははっきり言いますと、とても地球上の生き物とは思えず、異次元世界のアンドロイドの昆虫かと思いきや、①-2.の写真の繁殖行動の一環としてのつがい相手のメスを拝見して、これは鳥の仲間なんだと安心致しました。オスを見た限りではとても地球上の成分とは思えなかったからであります。そのメスも頭頂部はとても派手な色合いと言うしかありませんでした。漢字表記は「赤蓑風鳥」。こんなにカラフルな色合いなのに、地味な和名で、Wilson's bird-of-paradiseとウィルソンさんの天国鳥とはなんて派手な。
②-1.http://www.kotaro269.com/articles/62771.htmlより引用の翼を擦り合わせて、スズムシのように音を奏でるキガタヒメマイコドリ(体長約9〜16㌢)
②-2.https://mushinavi.com/manual/breed_suzu.htmより引用の翅を擦り合わせて音を奏でるスズムシ
①の項のアカミノフウチョウは容姿が鳥類離れしすぎていて、どちらかと言いますと、私には昆虫類のように思えましたので、まずは紹介させて頂きました。この②-1.の写真のキガタヒメマイコドリはマイコドリ科の仲間で、性的二型のオスが派手な出立ちの典型的な容姿で、繁殖期にメスへの求愛行動は共にダンスを踊ることから、マイコドリと言われます。その中でもこの鳥は、あろうことか、さえずらずに翼を使って音楽を奏でます。まるで②-2.の写真のスズムシが両の翅を擦り合わせて、音楽を奏でますように、この鳥も口でさえずることが出来ますのに、スズムシやコオロギのように羽を擦り合わせて鳴くのです。マイコドリの仲間は特異な求愛行動をとる種が多く、キモモマイコドリはムーンウォークをする鳥として有名になりました。翅音での求愛はこの鳥だけです。
③https://www.birdfan.net/2009/10/23/4511/より引用のつがいのキビタキ(手前がオス、後ろがメス共に体長約14㌢)
外国の鳥みたいに、容姿が昆虫に似ていたり、またスズムシやコオロギのように翅を擦り合わせて音楽を奏でるみたいな、奇抜な鳥はいませんが、離れたところから、聴いていますと、虫の鳴き声かと思わせる鳥ならいますので、ご紹介致します。③の写真は夏鳥のオスはナルシストと呼ばれるキビタキのつがいです。鳴くと必ず頭を上下にしてお礼みたいな仕草をすることでも有名です。ナルシストの由来は体の色が水仙(学名・ナルキッソス)を思わせる事から。 ギリシャ神話に登場し、湖面に映り込んだ自分の美貌に魅せられ、恋焦がれたまま水仙に姿を変えた美少年に由来します。
④https://www.birdfan.net/2021/03/05/81710/より引用のカヤクグリ(体長約14㌢)
④の写真は日本にしか分布しないと言われるカヤクグリです。日本の鳥らしく漢字表記は「茅潜」や「萱潜」です。茅や萱は日本特有の建物の茅葺き屋根の純和風の建造物です。そんな和風のカヤクグリは名前の由来通りに茅原の中に潜んでなかなか外には現れません。こんな生態を見てみても、草むらに潜んでいるコオロギなどの虫を思い起こします。「チリリリー」から始まるさえずりは「チュリ、チュリ、チュリ、チュリリ、ヒリリ」とまるで鈴のようにか細い鳴き声らしいです。それは澄んだ早口でさえずる秋の虫です。
⑤https://www.birdfan.net/2021/06/11/82564/より引用のヤブサメ(体長約10㌢)
⑤の写真はミソサザイやキクイタダキと並んで小さなウグイスの仲間の夏鳥のヤブサメです。ヤブサメといいますと、京都で行われる日本の古式弓馬術の流鏑馬を思い出す浮かべますが、この鳥の漢字表記は「藪雨」「藪鮫」です。後者の『鮫』は眼が小さいという意味の「狭眼(さめ)」に由来するということで、おそらく当字だと思います。また写真のように、常に林の下層で生活することが多いので、なかなか姿を見ることができないと言われていますが、渡り期にはまれに市街地の公園などで見かけられることもあるようです。こんな状況からも樹林の下の方から、さえずりが聴こえてきましたら、虫かと思っていますのに、その鳴き声は「シィシィシィシィ」とか細いさえずりを聴かされてしまいますと、侘び寂びの世界です。
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