第1859回 複雑なフクロウ
①-1.https://jp.123rf.com/photo_37423787_白地に赤のブックマークに本の横にあるフクロウ.htmlより引用のフクロウのイラスト
『フクロウ』という呼称のフクロウはいますが、正式にはラウルフクロウと呼ぶらしいですが、昔からフクロウで通っていますので、現在でもフクロウです。また総称の『フクロウ』には二つに分かれ、中称で大まかに耳のように見える羽角といわれるものがないのが「フクロウ」で、羽角のあるものが「ミミズク」の仲間となります。総称でも、中称でも、呼称でもフクロウはいるのです。またフクロウの漢字表記は「梟」「鴞」の二つがあり、私は昼間に木に止まり休んでいる鳥という象形文字の「梟」がなんとなく似合っています。
①-2.https://www.istockphoto.com/jp/search/2/image?phrase=オーストラリアガマグチヨタカより引用のフクロウ?(オーストラリアガマグチヨタカ 体長35〜50㌢)
日本の『フクロウ』は「フクロウ」であります。フクロウとシマフクロウ、キンメフクロウ、シロフクロウの四種で、「ミミズク」はアオバズク、オオコノハズク、コノハズク、コミミズク、トラフズク、リュウキュウコノハズク、ワシミミズクの七種の『フクロウ』は日本に十一種います。また『フクロウ』は①-2.の写真のようになんとなくヨタカ(写真はオーストラリアガマグチヨタカ)に似ています。これは今から8,000万年前にヨタカ目と共通の祖先から別れたという事になります。ヨタカの仲間も『フクロウ』同様に夜行性の鳥です。
②-1.https://www.birdfan.net/2019/02/08/67958/より引用の羽角のないフクロウ(体長約50㌢)
②-2.https://www.birdfan.net/2009/06/12/4022/より引用の羽角のあるシマフクロウ(体長約70㌢)
②-3.https://www.birdfan.net/2010/01/08/4795/より引用の羽角のあるコノハズク(体長約20㌢)
②-4.https://www.birdfan.net/2019/08/02/72545/より引用の羽角のないアオバズク(体長約29㌢)
上の②-1.〜4.の写真は大雑把な羽角のない「フクロウ」の仲間と、羽角のある「ミミズク」の仲間の例です。上記のように「フクロウ」のフクロウ、キンメフクロウ、シロフクロウには羽角がないですが、シマフクロウにはあります。また同様に羽角のある「ミミズク」にはコノハズクやトラフズクなど六種には羽角はありますが、アオバズクにはありません。何をどう踏まえてこのような分別にしたのかが不思議でなりません。シマフクロウは“シマフズク“、アオバズクは“アオバフクロウ“とでも名付ければ、さぞかしすっきりします。
③http://www.koueki-suntory-aityou.jp/topics/1211.htmlより引用の『フクロウ』の耳の位置
『フクロウ』の多くの種では、耳の形、位置、大きさが左右対称ではありません。左右対称になっているのは、「ミミズク」のアオバズクで、非対称はげっ歯類を食べる種とされます。フクロウ、トラフズク、コノハズクなどの夜にしかし採餌しない『フクロウ』です。またその❶ 耳の位置 ❷
大きさはどうかといいますと、
トラフズク→❶ 左耳が上 ❷ 眼の4倍 ❶ 右耳が下 ❷ 眼の3倍
コノハズク→❶ 左耳が1㌢以上高い位置
フクロウ→❶ 左耳が高い位置
④http://sugisanforest.blog.fc2.com/blog-category-1.htmlより引用の闇夜に音もなく狩をするフクロウ
効能
⑴ 両耳時間差により音の水平位置を決め、両耳内強度差(音圧の差)により垂直位置を決める。
誤差は1~2度(垂直方向、水平方向とも)
人のように同じ高さだと、水平方向の音源定位は良いが、垂直方向の定位は不十分。
⑵ 聞き取れる周波数は人とほぼ同じだが、感度が極めて良い。立体聴ができる。
⑶ 一般の鳥は耳孔が横を向いているので後ろの音も聞けるが、フクロウの耳孔は前向きなので、側方60度以上の音は感知できない。そこで、フクロウは必ず餌に顔を向ける。
⑷ 最も敏感な音域は7~8kHz。ネズミが枯れ草の上を歩く周波数。雪の下にいるネズミを捕らえることも出来る。
⑸ メンフクロウは、左耳の位置が高いだけでなく、左耳は下向き、右耳は上向き。中脳が発達。
⑹ 顔に対する耳の穴の占める割合はフクロウ<トラフズク<コミミズク ⑺ フクロウは主に枝にとまって獲物を探し、コミミズクは飛びながら獲物を探します。トラフズクは両者の中間。『フクロウ』は雨が降ると雨音で獲物の音を消してしまうので狩ができません。
耳の蓋は柔らかな皮膚と羽毛で覆われています。
⑤-1.https://akiba2960.com/jp/eye/より引用のフクロウの眼
殆どの鳥の眼は真横か、やや横向きについているのですが『フクロウ』だけは人と同じく、真正面についています。また、色盲ではありませんが、色弱的です。ネズミやコウモリは、昼間は眼が見えにくいのに対し『フクロウ』は網膜には色彩を区別する錐状体(コーン)をかなり持つので、昼でも人と同程度見えるようです。しかし、鷲鷹と違い、近くは見えません。つまり被写界深度が浅いと言えます。『フクロウ』が暗い所でもよく見えるのは明暗を感知する桿状体(ロッド)が多く備わっているからです。明所も暗所も視界は良好です。
⑤-2a.https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/african-eagle-owl/entry-10032697773.htmlより引用の人の眼球
⑤-2b.https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/african-eagle-owl/entry-10032697773.htmlより引用の『フクロウ』の眼球
⑤-2c.https://www.asahi.com/edu/nie/tamate/kiji/TKY200707090333.htmlより引用の『フクロウ』の視覚
⑤-3.https://togetter.com/li/911205より引用の『フクロウ』の耳孔の奥には眼球
『フクロウ』は単眼視と両眼視ができます。⑤-2a.2b.参照のように、眼球は普通の鳥は扁平ですが『フクロウ』は奥行きのある「筒状」で、焦点距離が長く、遠くの物が大きく見えます。また⑤-2c.のように、眼は球形でないので動かせるのはたった2°(人は100°)で、その大きさは体重が人の1/90ほどなのに、人とほぼ同じ大きさです。
両眼の視野は人より狭い70°で、視界は普通の鳥より狭い110°です。視野が広い鳥はヤマシギ360°、ハト337°で、人でも180°あります。暗闇の中では
人と比べて、100倍の感度です。キンメフクロウだけは10倍。暗闇でも良く見えるのは桿状体の長さ80~90ミュウもあり、人の60ミュウより長く優れて夜は良く見える。タペタム(照膜)は猫の目が光るのと同じで、僅かな光を集めて明るくします。櫛膜(しつまく)という人には無い構造は、格子越しに外を見ると、動く物が良く見えるのと同じで、僅かな光量でも良く見えるという仕組みです。