第1862回 身近なスズメの真実
①https://global.canon/ja/environment/bird-branch/photo-gallery/suzume/index.htmlより引用の身近なスズメ(体長約15㌢)
どんな方でも、一番身近な野鳥のスズメをご存知でない方はいらっしゃらないと思います。私たちが小さな頃は、昔話の『舌切り雀』とか「チィチィ、ぱっぱ、チィぱっぱ〜」でお馴染みの『雀の学校』とか、まわりからして『雀』の事を教えてくれました。もっと昔には『雀』の漢字表記について、尾の長いものを『鳥』、尾の短いものを『隹』と書き分けました。『雀』は小さくて尾が短い鳥のことらしいです。分類としては、日本鳥類目録改訂第三版(1942年)によりますと、スズメ科(現在のアトリ科)、日本鳥類目録改訂第四版(1958年)ではキンパラ科、日本鳥類目録改訂第五版(1975年)、日本鳥類目録改訂第六版(2000年)で
ハタオリドリ科でしたが、日本鳥類目録改訂第七版(2012年)では、新しくスズメ科になりました。
②https://xn--zckc1j.xyz/archives/464より引用の枝に止まるスズメ
スズメのいない場所を特定致しますと、小笠原諸島とか、無人島、廃村、原生林、一部の山村、離れ島ということになり、人が住まない場所にはいません。また人家の密度とスズメの個体数に正の相関があり、人家が20軒以上ないと巣を作りません。スズメは20つがい集まらないと繁殖できません。沖縄本島から遠く390km離れた大東島では人が住むようになってから、スズメも住み着きました。青ヶ島に人もスズメもいますが、1,200㌖離れた小笠原は人は住みますが、スズメはいません。人がいるのにスズメがいない数少ない場所です。
③-1.https://jp.123rf.com/photo_22720539_スズメ、スズメ、ねぐら、日本.htmlより引用の成鳥のスズメのねぐら
③-2.https://oasobi.net/group-roost-of-sparrow/より引用のスズメの若鳥たちのねぐら
スズメは留鳥といわれています。成鳥の大部分は留鳥で、③-1.のように小さな群れで建物などをねぐらとします。また、若鳥たちは③-2.のように樹木や薮中にねぐらを形成します。また一部の成鳥は一定地域に留まらず、都市部と農村部を、繁殖と越冬のために移動します。大きな群れで都市の街路樹などをねぐらにしたりします。親鳥の縄張を追い出された若鳥は群れで放浪し、出生地から300㌖以上の移動や渡りが確認されています。成鳥にも100㌖以上移動する個体が知られています。
④-1.https://entame-lab.com/suzume-no-su/より引用の家の軒先に作られたスズメの営巣
④-2.https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/sukaituri-634/entry-11289098502.htmlより引用の換気扇を利用したスズメの営巣
④-3.http://kaonikki256.blog74.fc2.com/blog-entry-286.htmlより引用の電柱を利用したスズメの営巣
④-4.https://www.google.co.jp/amp/s/inokou0518.com/archives/389/ampより引用のツバメの巣を利用したスズメの営巣
『スズメ』の営巣形態は開放営巣と隙間営巣があり、開けた樹上に営巣するのは熱帯アフリカのスズメ類に多く、日本のスズメは④-1.〜4.の形態で隙間に営巣するのは日本のスズメです。そのいずれの営巣形態でもスズメ類はドーム型の巣を作ります。隙間を利用しても尚且つドーム型の巣を作るのは、隙間営巣の習性は最近獲得したものであり、開放営巣が本来の営巣形態だという事です。
⑤-1.https://www.pinterest.jp/pin/329466528963530979/より引用のスズメの巣の卵
スズメの産卵は毎日一個ずつ、⑤-1.のように5~6個を一回の産卵で産みます。最後の卵は斑点が大きく模様が違います。これを止め卵と言います。暗い穴の中なのに卵の殻の色は白くありません。これはスズメの先祖が樹上に皿状に営巣していたからと考えられます。抱卵は雌雄交代で、抱卵しますが、メスの方が多い割合で、メスとオスの対比は10:1です。夜はメスが抱卵しますので、その前後はメスの離巣時間が長く、メスの離巣時はオスが抱卵します。オスには抱卵斑がありません。
⑤-2.http://www.uchinome.jp/nature/animal/2017/animal29.htmlより引用のスズメの子育て
⑤-3.http://www.ukima.info/newslog/what/suzume.htmより引用の幼鳥への親スズメの給餌
⑤-4.http://maroleopie.blog118.fc2.com/blog-entry-225.htmlより引用の外の世界を幼鳥に教育実習する親スズメ
また孵化してもヒナには目が見えず、毛も生えていませんから、抱雛が必要です。孵化後7~8日まで行います。⑤-2.のような餌運びはメスはオスの三倍です。ヒナが巣立ちしても⑤-3.のように親鳥は幼鳥に給餌します。その他には親鳥は幼鳥を連れて、外の世界で教育実習します。この風景が昔から見られ、童謡の「雀の学校」ができました。夜間は、繁殖期はメスは巣内で寝ますが、オスは別の場所で寝ます。メスは繁殖には大切です。
⑤-5.https://gigazine.net/news/20200904-why-bird-nests-not-covered-poop/より引用のメスのスズメの抱卵班
⑤-6.https://gigazine.net/news/20200904-why-bird-nests-not-covered-poop/より引用の多くの鳥は巣内のヒナのフンを処理する
繁殖期の雌雄には、⑤-5.の写真のメスには抱卵斑(お腹の部分の割れ目)が出来、腹部中央に筋が見えます。繁殖は年二回(35%)行われて、巣作り(10日)、抱卵(12日)、巣立ちまで(14日)、巣立ち後の給餌(10日)という観察記録です。オスは縄張に他のメスが来ても攻撃しません。また幼鳥にも攻撃しません。⑤-6.の巣内のヒナの糞は孵化後間もなくは、ヒナの消化能力が不十分で、糞に栄養が残っているので、親が食べます。日が経つと咥えて捨てます。これはスズメだけでなく鳥の殆どです。
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