第567回 街中に進出して来たイソヒヨドリ (8回目)のそのわけは?
①本来なら海辺の磯にいるはずのイソヒヨドリ (体長約25㌢)
イソヒヨドリは繁殖期になると、高く澄んだ大きな声で「フィー、チョイチョイ、ピー、チョ」と複雑で聴くたびにどう表現したらいいのか悩んでしまうほど、高く澄んだ声で遠くまで聴こえよと、羽を少し広げ気味にして、身体を震わせて泣き続けます。時にはヒバリやセキレイ類のように羽ばたきながらさえずるのです。もうこんな姿を見るのは何年前からでしょうか。
②ゴカイなどの節足動物を捕食するイソヒヨドリ
イソヒヨドリはこの日本においては、漢字表記で「磯鵯」で、磯の鵯と書きます。そうです。海辺の野鳥なのです。①の岸壁からのさえずりや②の磯にいるゴカイやフナムシなどの節足動物などの肉食中心の食生活です。その海辺野鳥であるイソヒヨドリが私たちの住む街中にやってきて、スズメなんかとおんなじように、私のマンションのベランダにもやってくるのです。
③そのイソヒヨドリに近いとされたヒヨドリ
イソヒヨドリの名前の由来は「磯」に住んでいるから、頭には「イソ」がつくのはわかります。しかしその後の「鵯」はどうやって「ヒヨドリ」をあてたのでしょう。③のヒヨドリの写真と④のイソヒヨドリのメスの写真を見比べてみると、明らかに似ていることがわかります。かつてはキジバトがキジのメスに似ているから「雉鳩」と漢字表記されたように…
④珍しいことにメスもさえずるイソヒヨドリ
またこのメスのイソヒヨドリは、野鳥にとっては珍しくメスもさえずるのです。メスでさえずる野鳥といえば、雌雄同色のカワセミとやはり同じく雌雄同色のソウシチョウがいます。どちらも雌雄ともに綺麗な野鳥ですが、このイソヒヨドリは④の写真の通りオスよりも地味な体色となっています。しかしそんなメスもさえすります。
⑤最近ではマンションのベランダでこんな風景のイソヒヨドリ
その身近になったイソヒヨドリがなぜ海辺から⑤のようなコンクリートジャングルの街中に現れ、住むついたかという謎です。ハシブトガラスやハクセキレイ、キジバトの様子とは違うような…この原因としては2011年3月の東日本大震災が考えられます。津波によりイソヒヨドリの繁殖環境の多くも失われてしまい、しかたなく内陸部に移動し繁殖するようになったと考えられます。