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第1539回 歩いて渡る鳥
①https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=2122384&word=横断歩道を渡るひよこたちのイラストより引用の横断歩道を渡るヒヨコのイラスト
歩く生き物で思い浮かび光景は、蟻の一列になって餌を運んでいる姿が私にはあります。 ①のタイトルイラストのように、ヒヨコが列をなして歩いているような光景は見たことがありません。ましてイラストのように横断歩道を渡る光景はありません。しかし、ヒヨコのような家禽ではなく、野鳥の世界にはカルガモの親子が街中を歩く光景は有名で、たびたびニュースにも登場いたします。また、動物園や水族館の何らかのショーで、ペンギンが、私達のいる場所に歩く光景もあります。
②http://zukan-move.kodansha.co.jp/column_list/birds/4.htmlより引用の渡鳥
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鳥類には春先に産まれた地に帰って来ます「夏鳥」や、繁殖地の北の国に産まれて、越冬のために秋口にやって来る「冬鳥」また、春秋の渡りの途中に休息地に立ち寄る「旅鳥」悪天候などにより、予測されたルートより外れた「迷鳥」。国内での寒冷地から冬に暖冬地に移動する「漂鳥」に分けることが出来ますが、殆どの鳥類は飛ぶことが出来ますから、私たちが憧れる遠くの地にも自由に移動出来るのです。しかし、鳥類の中には、飛ぶことが出来ない種もある現実があります。
③Twitterより引用のエミュー(体高160〜200㌢)の群れの行進
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飛べない鳥で、気候の変化、天候不順によって、移動する飛ぶことが出来ない鳥に、③の写真のオーストラリアに棲むエミューがいます。エミューの大移動を調べているネットに、1932年大発生し、農産物に甚大な被害を出したエミューに対して「エミュー戦争」と言われる軍による強制的な駆除と追い出しを実施しました。この作戦で現生種の一種のみを除いて絶滅したとみられます。当時の影響からか、雨季と乾季の時期に水を求め、定期的に移動し標識調査で500km移動します。
④-1.https://aquarium-japan.jp/magellanic/より引用の水中を泳いで渡るマゼランペンギン(体長約70㌢)
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④-2.https://www.naturingnews.jp/?p=12593より引用のカンムリウミスズメ(体長約24㌢)
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何も飛べない鳥はエミューやダチョウだけではありません。④-1.のペンギンや、飛べなくはないですが、ほとんどが海洋生活を送る⑷-2.のウミスズメの仲間もいます。これらの種は歩いて移動することはしませんが、ちなみにペンギンのなかで唯一渡りをするといわれているのが、マゼランペンギンで、南極に近い地域で繁殖し、冬には北へ約千㌖泳いで移動します。またペンギンではありませんがカンムリウミスズメのまだ飛ぶことが出来ない幼鳥は、親鳥と千㌖以上の渡りを行います。
⑤-1.https://penguin-hikoki.com/emperor-penguin002/より引用のコウテイペンギン(体長約100〜130㌢)の行進
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⑤-2.https://www.istockphoto.com/jp/ストックフォト/行進するペンギン-gm146759555-8383077より引用のアデリーペンギン(体長約70㌢)の行進
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なんだ、ペンギンは潜水が得意だから、泳いで移動地に渡ることができるんだと思っておられる方も多いと思いますが、実はペンギンの一部には、移動するのに、歩いて渡るペンギンもいるのです。⑤-1.の写真はペンギンの中では一番大きなコウテイペンギンです。他の生物がまったくいない南極の冬に氷の上で繁殖するため、つがいは海から50~120㌖も離れた氷の上の繁殖地に歩いて移動します。⑤-2.のアデリーペンギンはこの身体で南極大陸まで平均13.000㌖を歩いて移動です。