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第2187回 鳥の刷り込み

①https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/041800234/?ST=m_newsより引用のフクロウの巣箱にカモのヒナ

   ①の写真をご覧頂いた方は、恐らく殆どの方は、森林に設置された巣箱に、何やらフクロウの仲間と、カモのヒナが仲良く穴から顔を出しているいるところであると思うはずです。しかし考えましたら、設置された巣箱を利用致します鳥には、日本では、シジュウカラヤマガラというカラの仲間のほか、普段は樹木の祠に営巣致しますフクロウの仲間や、水鳥ではオシドリが利用する場合があります。でも、どう考えてもひとつの巣箱に二種の異種であります鳥が利用していることは考えにくいことであることは、どなたでも解ります。

②-1.http://blog.livedoor.jp/keikonakayama/archives/51954109.htmlより引用の生まれたてのツバメのヒナ

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②-2.https://blog.goo.ne.jp/taka_owl_bb/e/67c0e2e4e59280e5e3688429d026cf28より引用のカルガモのヒナ

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   私たちが身近に見ることができます鳥のヒナでは、初夏に民家の玄関の軒先に営巣致します②-1.の写真は夏鳥のツバメの巣にいますヒナが一番身近なヒナだと思います。写真はまだ孵化していない卵もありますので、孵化直後のツバメのヒナが写っています。その姿は羽毛もなく、まる裸で目も開かず、動くこともままなりません。②-2.の写真は皆さんもよくご存知のカルガモの生まれたばかりのヒナで、水辺へと引っ越しをしています親子の映像です。産まれたばかりですのに、羽毛も生えていますし、目も開いていて、前を行く親鳥を必死になって、行進しているのがわかります。これは前者のツバメスズメは「晩成性」で、樹上性の鳥で、後者のカルガモやカモ、シギの仲間で「早成性」の鳥で、前者より天敵は多いため、早く自分で独り立ちをしないといけない鳥です。

③https://sp.bokete.jp/boke/1911021より引用のプレーリードッグの食べている餌に刷り込みで群がるホシムクドリ(体長約21㌢)

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   どんな鳥のヒナでも、親鳥の行う生き抜くための行動を見て、成鳥になれば、親鳥と同じことを行うことを「刷り込み」といいます。「刷り込み」といいますのは、鳥は孵化して初めて見る動いているものを親鳥と認識致します。私は幼い頃にひよこを飼っていましたが、やはり、餌をあげるたびにひよこはやり終えて、ひよこを飼育籠に戻さない限り、私に付き纏います。動いて餌をくれる私を親鳥と認識しているのです。よくスズメが巣から落ちて、道端をうごめいています時に、目が開いていれば、こちらが与える餌を食べないけど、開いていなければ、餌を食べるので、なんとか助けてあげることができると、鳥好きの父親から教わりました。この③の写真は北アメリカに存在する哺乳類です。見ての通りに立ち上がって、餌を食べることがあり、その周りに人懐っこいホシムクドリが集団でいて、プレーリードッグが立っているので、人間と勘違いし「刷り込み」通りに、ハトが人に強請る様に餌ごいをしています。

④-1.https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202112120000/?scid=wi_blg_amp_diary_nextより引用のつがいで塚作りするセレベスツカツクリ(右がオス体長約60㌢、左がメス体長約55㌢)

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④-2.https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202112120000/?scid=wi_blg_amp_diary_nextより引用の塚の中で孵化して地上に現れたセレベスツカツクリのヒナ

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④-3.https://weathernews.jp/s/topics/201805/100115/より引用のホトトギスに托卵されたウグイス(写真はメス体長約14㌢)

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   刷り込みがその鳥の習性になることは以前にもご紹介致しましたが、自分の親鳥の普段の行動を見て、自分への行動に刷り込んでいくのですが、いつも思いますのは、④-1.の写真のツカツクリの仲間は、写真をご覧になってお判り頂けるように、つがいが揃って塚作りをしているのを見られても、ツバメのように雌雄揃って、抱卵から、子やつがい相手への給餌を施す家族愛の深い鳥かと思いきや、地面に穴を掘り、そこに産卵し、土や枯れ葉で卵を埋めると、どこやらへ立ち去ります。つまり産みっぱなしで、産卵した卵は④-2.の写真のように、地熱により孵化してヒナとなり、親鳥から給餌はもちろん、何の援助も受けずに育ちます。不思議なことはつがい相手と一生添い遂げる一夫一妻の真面目な鳥です。また、④-3.の写真は托卵鳥のホトトギスが、仮宿先のウグイスの営巣の卵を取り除き、その巣に産卵し、孵化したヒナは産み親のホトトギスから、抱卵さえされずに、仮親のウグイスから抱卵、給餌され育ちます。成鳥となり、巣立ちまた繁殖期には托卵先の鳥の巣に親鳥と同じ事をして繁殖をします。この二種の鳥の育て方には、親鳥からの「刷り込み」はありません。遺伝子なのか親鳥を真似て繁殖します。

⑤-1.https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/photo/14/1319/?ST=m_wallpaperより引用のヒガシアメリカオオコノハズク(体長約16〜25㌢)

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⑤-2.http://oregontori.blogspot.com/2011/02/wood-duck.html?m=1より引用のつがいのアメリカオシ(左がオス、右がメス共に体長約45㌢)

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   ①の項の巣箱の穴からフクロウとカモのヒナが仲良く顔を出していたのと、今回のタイトルのテーマであります「刷り込み」はどう関係あるのでしょうか。このフクロウはミミズクの中称を持ちますヒガシアメリカオオコノハズクといいます。フクロウは樹木の祠に営巣し、その巣で子育てをします。フクロウが顔を出しているその横で同じくカモのヒナも顔を出しています。これは種は違えど「刷り込み」だと思います。そしてこのカモのヒナは⑤-2.の写真のようにアメリカオシのヒナです。この鳥は日本ではお馴染みのオシドリの仲間です。ちょっとだけ違うのは、このカモはフクロウ同様に巣箱にも営巣します。アメリカオシホトトギスと同じように托卵の習性を持っており、そのためフクロウの巣に自らの卵を産み付け、このようなことが起きてしまったとみられています。この後はこの巣箱からヒナは姿を消したといいます。これも「刷り込み」なしの遺伝子です。




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