第648回 野鳥の三大試練
①https://www.omakizaru.com/entry/avian-influenza-virus-20161214より引用のイラスト
野鳥が命を落としてしまうかもしれない試練は三つあるといいます。その試練とは、1)繁殖期を迎えての子育てと、2)長時間、長距離移動しなければならない渡りの時期と、3)繁殖期を終えた後のエクリプスや季節の変わり目の全毛換羽の時期の三点が野鳥の宿命かもしれません。
②http://www.town.miharu.fukushima.jp/soshiki/12/tori40.htmlより引用のオオルリの子育て
繁殖期を迎え大概のオスは、つがいの相手を迎えるために縄張りを確保して、精一杯さえずり、やっとつがいになれたら、子育てには移行します。まず第一の試練は子育てのヒナから、巣立ち直後の外界のことを知らない幼鳥の時期です。野鳥の大特典は自由に飛べること。しかしヒナの時期は飛べません。また幼鳥も自分で採餌すら出来ません。特にヒナの時期は自由がきかないから天敵の猛禽類や蛇、猫などの天敵が待ち受けます。
③http://www.yamato-zaidan.or.jp/archives/91158より引用のハクセキレイの子育て
私たち人間もそうですが、やっとこさ親元を離れて、巣立っていってくれたとしても、世間知らずゆえに社会において失敗し、親元に相談なんかで親に迷惑をかけたことを思い出します。人間は滅多なことでは死にはしませんが、自然界に住む野鳥にとっては、死を招くことの方が多いのです。まだまだ一人で餌も取れないし、天敵が何なのかも知りません。それを野鳥の親鳥は身をもって教えて、幼鳥を鍛えるのです。そしてその親離れの時期が来たら、わざと子供を突き放します。
④https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32214000325より引用の渡り中のヒヨドリを襲うハヤブサ
②と③は繁殖期を迎え子育ての時の試練です。今度の④は渡りを経験する野鳥たちの試練です。私たちにとって一番身近な渡鳥はツバメです。そのツバメは春先に遥か彼方の南の国から遠路はるばる生まれ故郷の日本にやってきます。当然、山も越えたり海を渡ったりして、島国の日本に帰ってきます。そこにはその群れ襲う猛禽類や、海面スレスレに飛ぶ時は魚にも、はままた天候が立ちはだかります。嵐にあい遭難することだって考えられます。不眠不休で飛び続けるのですから。
⑤https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=24358より引用の換羽(エクリプス)中のオシドリのオス
三つ目の問題は⑤と⑥の換羽の時期です。⑤はカモ類のオシドリのオスです。群れの中で、知らない人が見たら、オシドリのメスばかりが集まっていると思われがちですが、実は繁殖期を終えたこの時期に羽の生え帰りの換羽がおこなれます。秋にその時期を迎え、自分たちにとっても天敵にとっても越冬の準備で食料探しです。オスは目立った色をしていますので、この時期こそメスのように目立たない色に換羽することをエクリプスと言います。その生え替えが怖いのです。
⑥http://photozou.jp/photo/show/240261/225630468より引用の換羽中のシジュウカラ
鳥という生き物にとって、飛ぶということは、生活する上に置いて非常に重要な意味を持つことです。私たちは古来から飛べる鳥たちに憧れを持って接してきました。でも鳥たちにしたら、自由に飛び回れれることができるということは、それだけ広い範囲で行動しないと餌が見つからず生きていけないのです。⑥のシジュウカラの換羽中は満足に飛べはしないと思います。この時期に天敵に見つかり襲われることは死を意味します。だからこの三大試練で一番重要な換羽の時期です。