第624回 水辺の名ハンターコアジサシ
①日本には夏鳥としてやってくるコアジサシ(体長約28㌢)
①の写真のコアジサシは漢字表記で「小鯵刺」。本州以南の河川、湖沼、海に飛来し、普通に見られます。翼長くスマートで、その翼はツバメのようです。水面の上を飛びまわり、獲物のことアジなどの小魚を見つけると、頭から水面に飛び込んで捕獲します。コアジサシの鋭く尖ったクチバシを皆さんもご覧になると、なるほどアジなどの魚を串刺し仕留めることが可能かと思うでしょう。同様の理由から「鮎鷹(あゆたか)」の異称もつくほど、小魚捕獲の名手と言えます。
②ホバリングして獲物に狙いをつけるコアジサシ
コアジサシをはじめとするアジサシのに仲間はオオアジサシ、エリグロアジサシ、クロアジサシと日本にはなんと全世界四十四種のうち十七種が飛来します。カモメの仲間なので種類も多いです。正確に言うとアジサシの仲間はカモメ科に分類されていますが、カモメの仲間に比べると体つきは細くよりスマートで、飛翔速度も速く、飛翔距離もかなり長いのがアジサシの仲間です。その速さの理由として、アジサシの仲間なら、どの種も行いその捕獲の仕方を知りたいと思います。
③水中にダイブして獲物を捕獲するコアジサシ
コアジサシはそのツバメのような尖った翼とクチバシで、先のとがった翼で空気を切るように飛び、ツバメのように長く切れ込んだ尾羽根をもっていて、高度5〜7mくらいの上空を飛び交わしたり、ホバリングなどをして小魚、イカなどを見つけると、3〜12mぐらい上空から水中に飛び込んで捕食します。コアジサシの狩をするところには必ず数羽から十数羽の群れがいて、それが水上を飛び回り、そのうちの一羽がホバリングからダイビングを合図に我をもと先に続きます。
④繁殖相手のメスに給餌するコアジサシ
日本では、夏鳥として渡来し、本州以南の各地で繁殖していますが、繁殖地が埋立などで破壊されて減少して絶滅危惧種に指定されています。ほかにも天敵のカラスは捕食されるなど、決してコアジサシにとって、日本は安住の地ではありせん。それでなくてもコアジサシの毎年の日本への飛来数は安定していないといいます。一地区に百数羽の飛来が確認された年度もあれば、またその次の年度は数十羽しか飛来しないとか、まるでキレンジャクなどのレンジャクと似ています。
⑤http://rongsananaka.blog88.fc2.com/blog-entry-156.htmlより引用のコアジサシの巣
そんなことを言ってもコアジサシは夏鳥として、日本に飛来して、繁殖期を迎えて繁殖相手をこの日本で探し、意中のお相手が現れたら、④の写真のように、繁殖相手のメスに対して「求愛給餌」て魚などのエサを相手に与えて結ばられるのです。コアジサシはカモメ科でありますが、その前にシギチの仲間でもあります。それ故に⑤の写真のように、河原や砂原に少しだけ窪みを作った本当に簡単に営巣して卵を産みます。卵は砂や小石の保護色になっており襲われにくいからです。