第610回 野鳥の飛行の考え方
①http://www.wbs-y.org/birdwatching-guide/identification.phpより引用のイラスト
鳥が空を飛ぶということは、①のイラストで『揚力』を生み出すのは「次列風切羽」という羽が重要な役割をしていて、羽ばたきにより得られる『推力』は主に「初列風切羽」の先端が後ろ上方へねじれることで生じます。翼の断面は、上面が膨らんでいるので翼を通過する空気は、下面より上面の方が長い距離を通過します。そのため、上面を通過する空気のスピードが速くなり圧力が減少し、上向きの力『揚力』が発生し、どんな鳥でも身体を宙に浮き上がらせる事が出来ます。
②http://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/seibutsu/00000059/28.htmlより引用のイラスト
以前にも語りましたが、色んな種類の野鳥がいて、その生息する環境の違いからいくつもの飛行形態があります。また『飛行』は空中を進むことを意味し、『飛翔』は空中を飛び続けることを意味する等と解説されています。この項では鳥の飛行ですが、鳥の他にも昆虫なども飛行いたしますし、哺乳類ではコウモリも飛行しています。しかし、ムササビやモモンガは宙を滑空いたしますが、それは「滑空」であって、鳥や昆虫、コウモリのように、羽ばたきによってではありません。
③https://midorinotori.com/?p=7557より引用のドバトの「羽ばたき飛行」
③の写真はドバトの「羽ばたき飛行」です。多くの野鳥はこの飛行方法で飛びます。私たちの身近な野鳥であるスズメやドバト、キジバト、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ムクドリ、イソヒヨドリなど、街中で簡単に見られる野鳥たちとシジュウカラ、メジロ、ウグイス、アオサギ、コサギ、マガモなど数え上げたらキリがありません。また意外と思われるかもしれませんが、夏鳥であるツバメも飛び立つ時には羽ばたき「滑空」するグライダー飛行です。
④http://spilonotus.blog92.fc2.com/blog-entry-2784.htmlより引用のヒヨドリの波状飛行
羽ばたき飛行で飛び上がり、ヒヨドリなどで見られる「波状飛行」があります。これは強く羽ばたいて上に上がる勢いをつけ、翼を閉じて弾道を描いて進む方法です。この飛び方は必要なエネルギーははばたき飛行と同じ程度ですが、筋肉の使い方が断続的になることに生理上の利点があるとされます。この飛行方はヒヨドリを始め、セグロセキレイやハクセキレイなどの仲間、コゲラなどのキツツキの仲間、またカラ類ではシジュウカラ、アトリの仲間のシメなどです。
⑤https://torihana.at.webry.info/201601/article_32.htmlより引用のスズメの「ホバリング」
その他、⑤の飛行しながら空中停止する「ホバリング」はミサゴやチョウゲンボウ、ノスリなどの猛禽類、カワセミ、ヤマセミなどのブッポウソウの仲間、アジサシ、コアジサシの仲間など、海外ではハチドリが有名ですが、実は⑤の写真のようにスズメやヒヨドリ、メジロ、ジョウビタキなど色んな野鳥がかっこよくとはいかないけど、「ホバリング」をします。他には「滑空飛行」のツバメ、そして上昇気流に乗って大空に舞い上がる「帆翔」はトビ、サシバなどの猛禽類やユリカモメ、その気流を長時間利用するダイナミックソアリングをするアホウドリやオオミズナギドリ 。