第1293回 鳥のオスとメスの事情 ⑵
①-6.つがいのハシブトガラス(左がオス、右がメス共に体長約56㌢)
カラスと言いますと、何かずる賢くて、雌雄の間でもうまく画面夫婦を装って、浮気なんかをするように思えますが、色んなカラスがあり、①-6.の写真のハシブトガラスは普段から集団行動はしませんが、つがい相手は一夫一妻を守ります。もうひとつのハシボソガラスは集団行動のカラスで、縄張り意識は強いから絆も強いです。ハシボソガラスは一年を通してつがいと行動し、ハシブトガラスは何年も連れ添います。このように一見浮気症にまえるカラスの仲間は一夫一妻の真面目。
②-1.オスのウグイス(体長約16㌢)
②-2.http://www.forest-akita.jp/data/bird/16-uguisu/ugu.htmlより引用のメスのウグイス(体長約14㌢)
②-1.の写真はウグイスのオスで、②-2.の写真はウグイスのメスです。今までの身近な野鳥は殆どが雌雄同色で、一夫一妻の野鳥でした。実に全体の約92%を締める圧倒的な数値です。このウグイスは一夫多妻の代表的な存在です。このタイプの野鳥は僅か2%しかいませんが、この種は早成性の鳥が多く、育雛の手間がかからないのでメスだけで育児して、オスは色んな場所に巣を構えます。浮気というか、本妻なしの複数の愛人宅に隠し子みたいな感じです。セッカも一夫多妻です。
②-3.https://blog.goo.ne.jp/osakagasob/e/14995c465937c9da6757bcaea9575812より引用のミソサザイの子育て(上がオス?下がメス共に体長約10㌢)
②-3.の写真はキクイタダキと小ささを争う僅か体長約10㌢の野鳥のミソサザイです。渓流の薄暗い森林に生息して、大きな声でさえずる野鳥です。ヨーロッパではそのさえずりを日本の三鳴鳥であるコマドリと人気を争うほどの上手さです。そのミソサザイもウグイスと同じく雌雄同色の一夫多妻ですが、同じタイプでも違うところがあります。ウグイスやセッカは子育てを手伝いませんが、ミソサザイやオオヨシキリなどは複数のメスに産ませた我が子の責任持って子育てをします。
②-4.http://www3.famille.ne.jp/~ochi/bird/tancho.htmlより引用のつがいのタンチョウ(左がオス体長約140㌢、右がメス体長約130㌢)
ウグイスやミソサザイのような一夫多妻の野鳥がいる中、人間社会でもそうですが、一夫一妻は当たり前のことで生き物の社会では自然のことだと思います。その当たり前の一夫一妻の野鳥のなかでも、②-4.の写真のタンチョウなどの鶴の仲間や白鳥の仲間には写真のように求愛ディスプレイの時につがいの誓いを立てて、絆を深めるように巣作りや給餌、子育ては当たり前のようにこなし、また何年もそのつがい関係を解消することなく、添い遂げます。相手が亡くなれば再婚します。
②-5.http://photozou.jp/photo/show/169066/18181735よりつがいのトビ(左がメス体長約69㌢、右がオス体長約59㌢)
では世間から獰猛とされる猛禽類のつがいはどうなんでしょう。猛禽類を見ていると、何故か力で捻じ伏せるような感覚がありますが、そうではないようです。猛禽類は大きく分けて、鷲鷹とフクロウに分かれます。フクロウは一夫一妻に変わりないのですが、一年毎に繁殖期のつがい相手をかえます。しかし②-5.の写真のトビのような鷲鷹は種の保存のためヒナの数は1〜2くらいの少数のため、卵やヒナを守るメスのほうが大きな仕組みになっており、どうやら女性上位で一生遂げます。
②-6.http://www.erikokusuta.com/message/message65.shtmlより引用のつがいのアホウドリ(左がメス、右がオス共に体長約91.5㌢)
②-6.のアホウドリの写真を検索していますと、何故かすごくいちゃいちゃしているつがいの姿を写した画像が多く見受けられます。それも身体を寄せ合って仲睦まじいのと言えばないくらいのものです。一夫一妻の仲のよい雌雄同色の野鳥の仲の良さの度合いを分類してみますと、⑴ 繁殖期の間だけのつがい関係(殆どの一夫一妻の鳥) ⑵ 一年中(セキレイ、コゲラなど) ⑶ 何年も一緒(鶴、白鳥、カラスなど) ⑷ つがい相手が死んでしまっても再婚しない(アホウドリ)。愛を貫くアホウドリ。