第1053回 旅鳥ノゴマ
①https://www.birdfan.net/2011/08/05/15665/より引用の片方の翼を広げたノゴマ(体長約15㌢)のオス
以前に①の写真のノゴマのオスを取り上げたのは、勢揃い歌舞伎役者と銘打った時のことで、この写真はその時に掲載したものです。ノゴマは日本では夏季に北海道に繁殖のために飛来する夏鳥で、岩手県早池峰山でも繁殖例があり、本州以南では渡りの途中に飛来する旅鳥です。南西諸島では少数が越冬する冬鳥となります。平地から亜高山帯にかけ、草原や灌木林に生息し、渡りの途中や越冬地では森林に生息することもあり、食性は動物食傾向で昆虫類を食し、果実も食べます。
②https://www.birdfan.net/2018/05/18/62459/より引用のノゴマの名前の由来となったとされるコマドリ(体長約14㌢)
本州では旅鳥のノゴマは第1051回のキガシラシシド同様に珍鳥とまではいきませんが、本州では旅鳥なので、国内生息期間は短いです。ノゴマの漢字表記は「野駒」で、オスの喉は赤い斑紋が入り、メスの喉は赤い斑紋が入る個体もいますが面積が狭く、多くの個体は喉が白いです。このノゴマの名前の由来は、②の写真のコマドリで、原野に生息するコマドリの意からノゴマと名付けられたみたいです。それにしろ喉の赤は目立ちます。
③https://www.birdfan.net/2013/10/18/24650/より引用のノゴマのメス
③の写真はノゴマのメスです。写真をご覧になってお分かりいただけると思いますが、凄く身近にも見ることができる野鳥です。その野鳥はウグイスです。あの「ホーホケッキョッ」のさえずりで有名な鳥です。このノゴマはヒタキ科やに分類される鳥なのですが、メスに至ってはウグイスやムシクイ、ヤブサメの仲間の顔とにています。これらのウグイスの仲間もノゴマも地鳴きは「ジッジッジ」と同じ鳴き声で、ノゴマのオスのさえずりは「チィチョチチョチ、チョロロ」と鳴きます。
④https://www.birdfan.net/2014/12/12/31649/よりいよく似ているウグイス(オス体長約16㌢、メス体長約14㌢)
ノゴマのメスはウグイスやムシクイの仲間やヤブサメの仲間と姿が似ています。オスだけでいうとこの喉が浮き立つくらいに赤いノゴマも頭頂部にモヒカン状の黄色い帯があるキガシラシトドもオスははっきりした派手な目印がありますが、メスは派手なオスに比べて、非常に地味な色合いをしていますので、はじめにメスを見つけても、ウグイスなのか、ムシクイの仲間かヤブサメかわかる余地もありませんし、ノゴマが旅鳥となりますから、判別する時間もそれだけ短いわけです。
⑤https://www.birdfan.net/2018/06/08/63030/より引用のさえずりが似ているオスのノビタキ(体長約13㌢)
ノゴマはヒタキの仲間でさえずりがうまいと紹介しましたが、ヒタキの仲間はジョウビタキ、キビタキ、ルリビタキ、オオルリ、⑤の写真のノビタキとかなり多く、名前の由来のコマドリ、姿が似ているウグイス、さえずりが上手いオオルリと日本の三鳴鳥がノゴマには関わります。さえずり具合はこのノビタキに似ていますし、春と秋だけに旅鳥として比較的短い期間しか飛来しませんから、あまり観察の機会のない、なじみの薄い野鳥で、鳴き声で判別つかないのがノゴマです。