![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785883/rectangle_large_type_2_362d4429ff679e228ef86fcb27c55e54.jpeg?width=1200)
第1967回 巣を作らない鳥 ⑴
①https://buncho-days.com/know009より引用の巣がないのに抱卵する鳥のイラスト(文鳥)
①のタイトルイラストの「巣を作らない鳥」と聞きましたら、思い浮かぶのは飼鳥などは、カゴの中に入れられていますから、巣材を調達しようにも出来ないと、思われる方もいらっしゃると思いますが、飼い主が繁殖させようと考えるなら、セキセイインコなら木製の巣箱、文鳥なら藁で編んだ壺巣などを用意してあげれば営巣として、産卵、抱卵、郁雛を行いますし、自然界の中なら、これらの鳥も営巣することは間違いない事実です。ここで紹介していきます「巣を作らない鳥」とは文字通り巣材を一切使わずに、産卵から郁雛までしてしまう鳥のことを指します。前回のコチドリは周りに小石を置き、少しばかりの藁や枯れ草などを産座にしただけの巣でしたが、全く巣材を使わずに子育てする鳥とはどんな鳥でしょう。
②https://intojapanwaraku.com/culture/135130/より引用のヨタカの名前の由来の夜の客引き夜鷹の日本画
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785948/picture_pc_72754bb38978424a36001edccb55fb4a.jpeg)
その巣を作らず、産卵から、抱卵、郁雛まで子育てをする鳥のひとつに③の写真のヨタカがいます。ヨタカの漢字表記は「夜鷹」「蚊母鳥」の二つがあり、名前の由来になっていますのが「夜鷹」です。その意味は江戸時代、ヨタカが夜行性であることと、②の日本画のように夜間に街頭で商売する私娼を夜鷹と呼ばれていましたので、その名前の通り夜行性の為夜に「キョッキョッキョッ」と高く澄んだ声で繰り返し鳴きます。また夜行性ですから、またの名を「蚊母鳥」といいます様に、クチバシを開き飛翔しながら採餌します。
③https://www.birdfan.net/2014/09/26/30396/より引用の珍しい起きているヨタカ
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785955/picture_pc_f6f1a11d5756c860ffe904152361c0b1.jpeg)
③のように掲載させて頂いている写真は、昼間にヨタカが起きて、眼を開いて枝に止まっている写真です。写真は基本的に明るい日中に撮影致しますので、その時間帯ではヨタカは昼間は樹上で枝に対して平行に止まり眠っている最中なのです。ですので、この写真は珍しいです。写真の殆どはヨタカが眼を閉じている写真です。食性は動物食で、昆虫などを食べます。この生態から「蚊母鳥」や「蚊吸い鳥」といった飛ぶ昆虫に関する別名を持っています。口を大きく開けながら飛翔し、獲物を捕食します。ツバメと同じ手法です。
④https://ganref.jp/m/yukika/portfolios/photo_detail/2754977より引用のヨタカ(体長約29㌢)の抱卵
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785961/picture_pc_97327e44e3c494a53828437e5f736fe7.jpeg?width=1200)
ヨタカのオスは求愛期になりますと、翼をV字状に広げながら飛行ディスプレイを行ないます。この求愛行動は滑空、羽ばたき、ホバリングを組みあわせて行なわれ、つがいを形成します。そのヨタカは巣材を使う巣作りをしません。④の写真はヨタカが地上の枯れ草の上に直接抱卵をしている場面です。巣作りは致しませんが、営巣環境には⑴ 巣の直近に草が生えていない ⑵ 抱卵場所は水捌けのよい環境 ⑶ 巣の上空は樹冠などで覆われていない ⑷ 巣の近くに藪や林がある といった共通点が見られ、こうした条件が生じやすい山頂部や稜線付近や伐採跡地の林縁部や崩落によって林冠が混ざり空いた場所、積雪地の落葉広葉樹林での営巣が多いと研究記録があります。
⑤-1.https://www.google.co.jp/amp/s/kitamoto72.exblog.jp/amp/30839116/より引用のヨタカの小さなクチバシがついた大きな口のあくび
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785973/picture_pc_005859882bc86569b09e6a3a29f8a409.jpeg?width=1200)
⑤-2.http://blog.livedoor.jp/kazuyasuk/archives/52080479.htmlより引用のやはりクチバシが小さく口が大きなハリオアマツバメ(体長約21㌢)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785978/picture_pc_c95cc0642011b64ff853ef39e0a3379e.jpeg?width=1200)
⑤-3.https://shikousakugo.jma.or.jp/company/hummingbird_dropsより引用のハチドリ(体長約5〜24㌢、殆どが約10㌢以内)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73785984/picture_pc_16389a22ef95f05fdf7100f333e3df28.jpeg?width=1200)
余録として、ヨタカを調べていますと、この鳥は⑤-1.の写真のように、クチバシが小さな割に、口は大きいです。また⑤-2.の写真はハリオアマツバメです。アマツバメ目の鳥です。ヨタカの仲間にはズクヨタカという仲間がいますが、姿形はそっくりです。ズクヨタカという名前ですがヨタカ類よりはアマツバメ類に近縁だといいます。この二枚の写真を見比べてみましても、食性も同じく動物食です。厳密的にDNA鑑定ではヨタカとズクヨタカは違う部類と思いますが。また、⑤-3.の写真はハチドリです。どういうことでヨタカの項に現れるのか。それは宮沢賢治の小説「よだかの星」にヨタカはカワセミ、ハチドリと兄弟という件があります。宮沢賢治がこの小説を執筆した時にはこの三種はブッポウソウ目に含まれていたらしいです。しかし、現在でもハチドリはアマツバメ目ですから、ハチドリとヨタカは遠縁に近いです。